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一方で… 御影side


 家に着き、リビングでほっと一息ついているとルカに声をかけられた。


 「休んでるとこ悪いけど、さっきの約束覚えてるかな?」



「あぁ、『なんでも言うこと聞く』ってやつですか?」


ルカは微笑んで頷いた。



 そしてどこかに消えたと思うと、黒いカバーのかかった何かを手にして戻ってきた。



 ___嫌な予感しかしない。

 


さっきよりも満面の笑みで、しかし目の奥に見えるのは怪しい光。


 

 身の危険を感じ、じりじりと後ろに後退りをするがソファに足が引っ掛かり後ろに倒れ込む。



  

 腕を顔の前に構え、顔を横に逸らし逃走経路を目で確認しようとすると






 「はい!これ」




黒いカバーを外し、現れたのは…………服?



 よく見れば家でメイドがよく来ている服だ。

しかし、メイド服なのに猫耳と尻尾までついているのは何故だろう。





 …………まさか、これを着れと?





 ダラダラと冷や汗をかきながら、ルカの顔を見ればすでにスマホを構えていた。首には一眼レフまで掛けている。



 「む、無理です無理です!切れませんよ、こんなの……」



「じゃあ、イギリスに帰る?」


 

「それはもっと嫌です!!」


思わず、机を思い切り叩いてしまった。

指先に何か当たった気がするが、気のせいだろう。



 悪魔の選択だろう……。彼女にも申し訳ない。



「じゃあ目の前ではやく……」



 

 「でも、なんでこんな格好しなきゃなんないんですか!!め、メイド服なんて……」



 もう泣きそうだ。



 「え〜、瑞季、絶対着てくれないんだもん。せっかく買ったのにずっと仕舞いっぱなしって勿体無くない?それに、さっき、"なんでも"言うこと聞くって言ったよね??」




 さらに距離を詰めてきて、もう逃げ場はない。


 ……誰か、たすけて、、、

 




  そう願った時だった。





 『ルカお兄ちゃん?なにしてくれていやがるんですか?』



 ………如月さん?どうして…………。



 声のした方を見れば、机の上のスマホが通話中になっていた。


 「あっ、電話…」

 先程机を叩いた時、押してしまったのだろう。



 そんなことを知らないルカは


 「えっ、幻聴?愛されすぎて瑞季の幻聴聞こえちゃった感じ?」



……どこかの誰かさんを思い出すような発言だ。

兄という生き物はどこでもこんな感じなのか?



 電話越しに呆れたようなため息が聞こえる。

如月さん、同情します。



 「ご、ごほん。如月さん?どうしたの?何かあった?」


空気を変えようと、話題を振る。



 『内線の番号忘れちゃって……』


「あぁ、そのことね。えーっと1は………」

 

覚え切れないよね、うちの内線。30まであるんだから。でも、小さい頃は普通だと思ってたから学校の友達の家に遊びに行って初めて異常だって気づいたくらいだった。



 

 「_____ってとこかな。どう?漏れはないかな。」


『うん、大丈夫そう。覚え切れるかはわからないけど…』

 

  乾いた笑いが聞こえる。



  しかし、思い出したように兄に代わって欲しいと言われた時の声色がどす黒かった。絶対に怒らせてはいけない人だと思った。




  そこからのお説教は凄まじいものだった。

こんなに黙り込むルカを初めてみた。…今日会ってから3時間もたっていないけど。



「御影さんもごめん!こんなバカなことに付き合わせちゃって。嫌だってはっきり言ってくれていいからね?」



嫌と言われれば嫌だが、着てみた如月さんを見てみたいという気持ちもあった。



 「……じゃないけど。ただ如月さんの………」

 

 恥ずかしさから思わず口籠ってしまう。



 聞き返され、もうどうにでもなれと腹から声を出す。



 「嫌じゃないけど、如月さんなら絶対似合うなって想像しちゃったの!それに、目の前で着替えろって………」



沈黙が続く。恥ずか死しそうだ。





 ゆっくりと深呼吸する音が聞こえる。

 

 『ルー兄は、私の家族やめてください。もう口も聞きたくありません。さようなら。』


 ブツッ…ツーツーツー



 ………え?どうしてそうなる?なぜ、ルカの話になったのか。電話の切れた音など気にせず、放心状態となる。



 あっ、最後の一言か。彼女は女性だ。目の前で着替えろなんて変態以外の何者でもない。


 自分が想像したということに何か言われると思っていたため、安堵したものの自分の発言のせいでルカが縁を切られるなんて思ってもみなかった。





 しゅんと耳を垂らした子犬のような姿を見て、無意識に彼の頭に手を伸ばしていた。



 よしよしと頭を撫でれば顔を赤くしたまま凝視するルカの顔がそこにはあった。




 いつもの癖で兄にしていたことを他人にもやってしまったと、焦って手を離そうとするが彼の手に捕まってしまう。





 そのまま、手を顔に近づけ生暖かい感触を感じる。




 ビクッと体を震わせれば満足気に笑う彼の姿があった。



 先程まで、慰める側だったにもかかわらずいつのまにか形勢逆転されていたことにショックを受けるが、そんな心とは反対に心臓は激しく波打っていた。


 

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