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マ族と新人記者と冒険者

「マ族、この町に攻めてくるってよ」


 町ではそんな噂が出回っていた。


「連れ去られないように外出は控えときなさい」


 わが子に注意している母親。

 マ族ってあたしは見たことないけど、みんな恐れているらしい。

 冒険者は戦いの準備をしている。

 死人が出るかな? あたしは少し楽しみにしていた。

 冒険者のみなさんがんばってー。死ぬときはあたしに話を聞かせてねー。取材いくからねー。


「うぅ、死ぬ……。僕はきっとこの戦いで死ぬんだ……」


 くらーい顔をした冒険者がいた。太くて黒いぱっつん前髪、頬ににきびが少し。


「なんでそんなにおびえているの?」


 かわいそうだから少しおちょくってやろうと思って話しかけた。


「だって、僕にはスキルなんてないんだ!

ステータスだってめぐまれていないし、レベルも上がっていない。

異世界から転生した冒険者ってだけで、ギルドから戦いに駆り出されてる。

僕に死ねって言っているようなものじゃないか!」


 おおいに死んでくれ。メタクソに記事書いてやんよ。


「おぉ勇者よ、死んでしまうとは情けない。世界はかくも不条理だ」

「うるせぇよぉ! 同情するならスキルをくれよぉ……」

「スキルがあればなんとかなるの?」

「そうだよ! スキルがあれば魔物とも戦えるんだ。本当はこんなはずじゃなかった。チートスキルを手に入れて、僕だけ無双してても良かったんだ」


「そうなんだー」


「そ、そうだそうだ! 元の世界では頑張っても評価されず、ある日急にあこがれのファンタジーの世界に来て、ここが自分の生きる場所だと思ったんだ。

強力なスキルを手に入れて、世界を救って、報奨金もたっぷり、ハーレム生活を送るはずだったんだ。それなのに……」

「スキルなかったのね」

「うん……。スキルがないせいで、パーティーには混ぜてもらえず、僕だけレベルも上がらないし、レベルが上がらないからみんなと差がついて、余計にパーティーに入れなくなるし……。負のループだよ!」


 なんか、落ち込んでいる人を見るとワクワクしてくるよね。


「大変だったねぇ」


 心の中で(笑)をつけた。


「同情するならスキルをくれ! せめて生産スキルでもあれば! 戦いが免除されるのに!」

「あー。コンドームを作るスキルとかね。たしかになくなったらみんな困るわぁ」

「くそぉ……」

「ていうか、何とかしようと思わないの? ないものねだりばっかりして、男として情けないよ? そんなやつ死んでも誰も困らないよね。死にたいの? 生きたいの?

なんか、手伝ってあげようか? 一緒に寝た仲だし」


 男がこちらを向く。どうやら気づいていなかったらしい。口を開けて顔を赤らめている。

 そうそう、なんかこういう情けない反応みるの楽しみなんだよね。


「お、お前は!」

「あたしだよー」

「きょ、協力って言われても……」

「なんかないの? スキルなくても、その、ムソウ? ってのをする方法」

「スキルなくても……。強力な武器とかがあればできるかもしれない。そういえば、序盤で強力な武器を手に入れて無双できるゲームがあった!」

「ほー。強力な武器ね」


 そういえばレオナルド、葬儀の時に打つ剣は特別に思いを込めて打っているって言ってたな。


「腕のいい鍛冶師が、特別に思いを込めて打った剣とかどう? 死者の魂を宿らせるための剣」

「思いを込めて打ったからって、強力な武器ができるわけないじゃないか……。でも、死者の魂を宿らせるって?」

「そう。人を守りたい気持ちを持った魂を宿らせるための特別な剣」

「な、なんかよくわからないけど、もしかしたらすごいのかもしれない」

「でしょ! 魔剣とかかもよ」

「おぉ。それならなんとかなるかも?」

「どうせ、他にいい手段なんてないんでしょ?」

「たしかに……」

「よし。じゃあその剣を手に入れましょう!」


「なんか、あんたが女神様のように思えてきた」

「ふふふー。惚れるなよぉー?」



タイトル案

・マ族襲来か!? 不要な外出はお控えを

・スキルなき子

・異世界転生したけどスキルなし勇者が強力な武器を手に入れて無双する話

・溺れる勇者は魔剣をもつかむ

・しりとり→りんご→ごはん→ンゲルマソード

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