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なろう小説家のためのパソコン講座

 小説を書くための手法のアドバイスは、エッセイの中にいろいろありますが、ここでは使うパソコン、ワープロソフト、その他ハードウェアやソフトウエアの話をします。これから小説を書き始めようという人や、書籍化することになった人の参考になればと思います。短編完結ではありますが、今後も読者様からのご質問、ご指摘に応じて内容を追記、改稿いたします。+ネタで書籍の文法も最後に追加しました。


※Windows10のサポート終了対応のため2024/11/30改稿

※onedrive、インボイス、バックアップサーバーの話2025/4/16追加



●「初心者に向いたパソコンはありますか?」

 ……なろうを見るのも投稿するのもスマホやタブレットでやっていたのでパソコンがよくわからない。このエッセイを書いて読者様から来た質問の一つです。非常に重要だと思うのでまずこれを先頭にします。私には完全に盲点で、そこからかと思いました。

 大変難しい質問だと思います。残念ながら、実は「初心者向け」のパソコンという奴はないのです。

 パーソナルコンピューターはすでにウィンドウズという基本の操作ができている人が使うものという前提で商品化されており、付属するマニュアルはスイッチや差し込み端子の説明が載ったぺらっぺらの紙がついてくるだけ。車を買っても「道交法」や「交通ルール」のハンドブックがついてこないのと同じですね。車を運転するのはすでに免許を持っている人、という前提で車が売られているのと同じですか。


 さて家電製品と違ってパソコンは「機種やメーカーごとに操作方法が全く違う」ということがありません。それはすべて共通のベースとなるソフトが「ウインドウズ」で、どのパソコンを買っても、操作方法に差は全くないのです。だからパソコンはどれを買っても同じということになります。違うのは性能と機能、大きさとデザインだけです。これも車とよく似ていますね。

 なので、パソコンをこれから始める人は、「わかるWindows11」とか、「これからはじめるWindows11」とかのいかにも初心者向けのタイトルの本を買って、それを読みながら操作を覚えていくしかありません。これはパソコンメーカーさんがパソコンのマニュアルにWindowsのマニュアルを入れてくれていないので仕方がありません。


 どのパソコンを買えばいいかですが、これはもう電気店で新品のWindows11のノートパソコンを買うべきです。これより古いWindows10とかそれ以前のものを中古で買う意味は全くありません。安く売られている中古のノートパソコンの多くはセキュリティチップの関係でWindows11にアップデートできないのです。仕方ないですね。

 ウインドウズ10は2025年10月のサポート終了が公表されています。2015年から使われていますから10年もサポートしてくれていたわけで、文句も言えませんな。



●ノートパソコンを買う場合

 画面の大きさは13~15インチ。記憶させるドライブはHDDハードディスクは避けてSSDソリッドステートドライブを最低でも128GBかそれ以上、価格は十万円以上。


 初心者が欲しくなるものに小型のかわいいノートパソコンがありますが、画面が10~12インチと小さいモバイルパソコンは避けます。これらのノートパソコンは画面に合わせてキーボードも小さいので長文作成に全く向いてないため、後で大変後悔することになります。

 DVDドライブはあっても無くてもどちらでもいいですが、レンタルDVDで映画を見たいならDVDドライブはあったほうがいいと思います。外付けのDVDでももちろんOKです。


 パソコンは聞いたことのないメーカーのものは避けて、知っているメーカー製にしましょう。見た目が格好悪いものは避けていいです。ずっと使うものですからデザインが気に入らないものを選ぶ必要はないです。図書館やファミレスにも持っていきたいなら13インチ。家の中で使うだけなら15インチがおすすめです。14インチはこれをギリギリ両立できますので選択肢としては悪くないです。

 ちなみに画面サイズは15インチがB6単行本と高さがほぼ同じ、12.5インチが文庫本とほぼ同じとなりますので目安としてください。

 本を読むのに老眼鏡やハヅキルーペが必要な人は15インチを買ってください。これ以下の大きさの画面は事実上全く使えません。


 あと一つ、ちょっと高くなってしまいますが、初めて買うパソコンはワードプロセッサのソフトが最初から入っているものがいいでしょう。これはマイクロソフト・オフィスでも国産のWPSオフィスでもどちらでもいいと思います。小説を書くのにはどちらも十分です。

 操作を間違えて書いた小説が消えてしまうとガッカリし、もう一度最初から書く気力もなくなります。ワープロで書いてから、投稿画面に文章を貼り付けましょう。

 小説はなにより楽しく書くのが一番ですので、見やすく広い画面でフルサイズのキーボードを打つのをまず第一に考えてください。

 文字入力はローマ字入力です。経験上かな入力はいつまでたってもタッチタイプ(キーボードを見ないで打つ)が習得できません。タイプライター時代から連綿と続く長い歴史の上で今のキーボードの形になっているのは理由があります。圧倒的に習得が速く、文字入力のスピードも遅くありません。やってみればすぐにわかります。

 このエッセイでは後半、デスクトップでないと仕事にならないと論じていますが、それは書籍化が決まり、出版社様とデータのやり取りをするようになってからの話です。なろうに投稿しているだけでしたらノートパソコンでも用は足りるかと思います。



●Windows VS Mac

 さて現在なろうに投稿する以上、原稿用紙に小説を書いている人は一人もいないという前提で話をします。ツールは、スマートフォンかパーソナルコンピューターか、あるいはタブレットというところでしょうか。小説を読むだけならタブレットでもスマホでもよいのですが、書くのならば物理的なキーボードが断然大量の文書入力が高速にできますので、投稿する側ならばまずパソコンを使うものと思います。


 パソコンはなにがいいかを考えると、真っ先に思いつくのはまず、Windowsか、Macかということでしょう。これはどっちでも、お好みでと言うしかありませんね。Windowsでなければできない作業、Macでないとできない作業というものは小説家には無いと思います。長所短所の差は、小説を書くという点から見て特にありません。

 さてMacもWindowsも両方使ってみた感想ですが、「直感的で使いやすい」MacOSも30年前に確立されたインターフェースを未だに使い続けているため、後付け後付けで拡張され融通が利かず全然変わっていない部分もあり、はっきり言って今となってはもう使いにくいです。初代ブラウン管iMacを触ったときの、「PC98より遅せぇええ!」というあの衝撃は今でも変わらず、Windowsより速いと思ったことは一度もないですね……。



●ノートパソコンか、デスクトップか

 次に小説を書き始めるならノートパソコンか、デスクトップかという話になるでしょう。電気屋さんに行くとノートパソコンばかりでデスクトップはゲーミングPCコーナーにしかありませんが、現在でもビジネスの世界では多くのデスクトップパソコンが使われているように、文書作成、入力業務では圧倒的にデスクトップパソコンが有利です。

 理由はいろいろありますが、まず大画面ディスプレイが使えることと、キーボードがフルサイズのスタンダートな物が使えることが大きいです。これらをトータルした入力スピード、文書作成効率はノートパソコンの比ではありません。特に出版社と契約して原稿を入稿するとなるともうデスクトップPCでないと何もできません。


 好きなディスプレイを選べること、好きなキーボードを使えること。これはデスクトップパソコンだけに許された贅沢です。一体型PCではありませんよ。ディスプレイ、本体、キーボードが別々になっているモデルのことです。

 大型の画面に資料となる映像やサイトをウィンドウで並べながら書くこともできるわけで、作業効率は断然高いと言えるでしょう。

 また、このように本体、ディスプレイ、キーボード、マウスが分離されているということは、どれかが故障してもそれだけを交換すれば使い続けることができるので、故障リスクも分散できます。デスクトップパソコンならハードディスクのような消耗品の交換も自分で簡単に行えます。少なくともノートパソコンみたいに、修理に出している間は使えず、修理が上がったら、リカバリされててデータが全部なくなってた、なんてことも最小限に抑えることができます。

 急遽、新しいパソコンを買ったとしても、買うのは本体だけなのでディスプレイ、キーボード、マウスなど今まで通りの環境が使え、なおかつ安いという利点もあります。都度新しい環境に慣れなければならないということが少なく済むわけです。

 ビジネス用スリムタワーでもOKですが、ATXクラスのミドルタワークラスのでデカいデスクトップパソコンは文書作成、ネット閲覧程度でしたら冷却に余裕があるのでファンの回転数が低くとても静かという利点もあります。小説家にはグラフィックボードなんていりませんし、中身スカスカなのに「そんな大きさ必要か?」というデカいパソコンというのは意外といい選択肢だったりします。


 やむを得ずノートパソコンを使う場合は、できるだけキーボードがいい物を使うのがいいでしょう。ディスプレイサイズが13インチ~15インチで、キーピッチが19mmあるモデルがいいですね。モバイルノートはキーボードが狭いので小説を書くにはお勧めできません。あれは外出用と割り切りましょう。

 部屋でも茶の間でもベッドでもファミレスでも、どこでも書けるのがノートパソコンの利点です。いつもアイデアを思いつくまま、場所を変えて小説を書いているというスタイルなら、軽量、薄型、13インチなどある程度の大きさの画面のノートパソコンは選択肢の一つです。


 個人的に避けているノートパソコンは、裏返して背面に大きな通風孔があるパソコンです。これは膝に置いたり、布団の上など柔らかい物の上に置くとかのだらしない使い方をすると冷却通路をふさいでしまいオーバーヒートします。ファンが高速回転しはじめたら、使う場所を変えましょう。



●パソコンの性能はどれぐらいが必要か

 小説を書くなんて、動画を編集したり、グラフィックを駆使したりするのにくらべればテキスト編集だけなんだからパソコンの性能なんてなんでもいいだろ……となりがちですが、ビジネス文書などと比べても圧倒的に大量の文章を作成する小説では、けっこうこの「パソコンの性能」というやつが執筆スピードにモノを言います。書籍一冊分の長さの文書をワープロで、となるとスクロールにもけっこう待たされることがあるのです。とは言え、極端に遅いパソコンでなければ大丈夫。


 お勧めの最低ラインはやはりCore i3ですね。これ以下は避けましょう。とは言ってもWindows11がサポートしているCPUの最低ラインがCore i3ですからこれより性能が低いパソコンはもう売っていませんが。

 ある程度の性能をお勧めするのは現在のパソコンのOSそのものが重くなっている、というのも理由の一つです。発売時はロースペックのCPUで軽く動いていたOSが、アップデートを重ねるうちに重くなって、新OSが発売される頃にはすっかり遅くなってしまったという例は多いです。


 メモリーは4GBあれば一応どんな用途にも使えますが、現在は最低でも8GBが標準で載っていると思います。もうわざわざ4GBの物を選んで購入する利点は無いので、8GBにしておきましょう。

 今のパソコンはみんなSSDソリッドステートドライブなのでHDDハードディスクドライブより速いです。信頼性も高くなりましたし、HDDはバックアップや大容量ファイルの保存だけにしておきましょう。


 国内メーカーのノートPCはどれもお勧めできますが、デスクトップパソコンなら海外メーカー(デル、レノボ、ヒューレットパッカードなど)のビジネス向けのモデルがお勧めです。ビジネスの最前線で大量に使われ続けているこれらのモデルはタフでなかなか故障せず、メンテナンスがきわめて容易です。多くはパソコンの寿命が来るより、OSが古くなるほうが先になるので長く使えます。



●Windows11対応か?

 新品で買う場合は問題ないですが、中古でPCを買う場合、Windows10からWindows11にアップグレードできないパソコンがあります。最低は第八世代インテル……、つまりCPUがCORE i5 E8●●●のように番号が8から始まっているもの。買ったときにWindows10だった場合はCPU他の条件はクリアしている物と思われますが、TPMに対応しているかどうかは機種によって異なります。

 Windows10から11にアップグレードできるかどうかは起動した後、検索ボックスに「tpm.msc」と打ち込んでみるとセキュリティチップのTPMバージョンが表示されます。これがVertionが2.0より小さい(1.2とか1.4とか)のパソコンはWindows11にアップデートできません。2019~2020年ごろのPCぐらいから対応しているようです。

挿絵(By みてみん)


 なおWindows11非対応のPCにプログラムを操作して無理矢理Windows11を入れた不正規PCが今後大量に市場に格安パソコンとして流れますので、そちらは手を出さないように注意しましょう。このパソコンはWindowsアップデートがエラーになります。調べてみてCPUが8番台より下ならば偽物Windows11です。



●ディスプレイは縦型がおすすめ!

 デスクトップPCを選んだならぜひお試しいただきたいディスプレイがあります。縦型ディスプレイです。最初から縦になっているディスプレイはありませんので、画面を回転させて縦にできるモデルということになります。

 下にこの文書のスクリーンショットを置きますが、情報量の差は歴然ですね。


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)



 通常の横型ディスプレイで、今は16:9などのワイド画面のディスプレイばかりの中、画面の上下サイズが狭く、表示できる行数が少なくて不満を感じることはありませんか? ぜひ縦型ディスプレイを試してみましょう。画面をスクロールする手間が半分になり、文書を作成する、修正する箇所を探す、小説を閲覧する、どんな場合でも大変楽になります。


 小説を書く人は例外なく、大量に小説を読む側でもありましょう。「小説家になろう」のサイトで、面白そうな小説を探す、ランキングを一覧する、小説を読む、あらゆる場面で縦に情報量が多いディスプレイはスピーディーな操作を約束します。ワープロの上下分割機能を使って、上に前回に書いた設定や一場面を表示させながら、下で本文の続きを書くなんて使い方もできてなかなかありがたいものです。

 縦型ディスプレイは一度使ったらやめられません。ぜひ一度体験してください。


 iMacのような一体型ディスプレイは残念ながらコレができません。

 Macにも画面を縦にする設定があり、Windowsと同様に縦画面にして使うことはできますし、iMacに外部ディスプレイを接続して使うこともできますので、お試しいただけると思います。

 MacMiniを買って、縦型ディスプレイにつないで作業するという力技も悪くないですね。どうしてもMacを縦画面で使いたいと言う人になりますが。


 縦にして使うディスプレイのサイズについては、画面のアスペクト比が16:10がよいでしょう。16:9(HD1920×1080)では細長過ぎて横の情報量が不足します。

 サイズは24インチまで。これより大きい27インチだとかなり見上げなければならず、首や目が疲れます。27インチもある場合は横型のままでも十分縦の文書が編集可能かと思います。

 縦にして使うディスプレイはWSXGA+21インチ(1680x1050)、もしくはWUXGA24インチ(1920x1200)をお勧めします。どちらも画面のアスペクト比は16:10です。


 さて縦型ディスプレイにはもう一つ楽しみがありまして、マンガの画面をディスプレイいっぱいに1ページ丸々表示できるという素晴らしい利点があります。電子書籍や出版社サイト他でなろう小説のコミカライズ版を楽しんでおられる方だけでなく、もし書籍化され、自分の作品がコミカライズなどされましたら、ぜひお試しいただきたいPC環境の一つです。

 自分の作品が書籍化されるか、コミカライズされると、毎回絵師さんが描いたイラストのラフ、作家さんが描いたマンガのネーム(下書き)のスキャン画像が編集さんより送られてきます。これをチェックするにもある程度の大画面は必要となりますね。スケジュール的にペン入れ後の修正はほぼ無理だと考えてください。ラフやネームの段階で修正願いをすることになります。


 パソコンのOSも、ソフトウェアも、インターネットのサイトも、今はみんな横型ワイドディスプレイを前提に作成されています。別に横型ディスプレイが使いにくい、これからは縦の時代だと言うわけではありません。横型でもディスプレイサイズが24インチもあれば普通に小説は書けますので、気にしない方はどうぞそのままで。

 現在のマイクロソフト・ワードはこのHD横長ワイドディスプレイをかなり意識したレイアウトになっていて、縦文章を中心に左右に編集上の情報を割り振って表示するようになっていますから、必ずしも縦長ディスプレイのほうが使いやすい、ということも最近は無いようですが。


 ノートパソコンならいくつかのメーカーが3:2という縦に十分なスペースがある画面を採用しています。これも検討に入れたいパソコンです。

 最近使っていたディスプレイが壊れたので思い切ってWQHD27インチのディスプレイ(2560x1440)を買いましたが、これなら目が悪くても横型にして見開き二ページを全画面表示でき非常に快適でした。ただし、デカいですので導入には覚悟が必要。



●キーボード

 キーボードを好きなものを選べるのも、デスクトップパソコンの利点の一つです。何しろ小説を書くという作業、全部がこの「キーボードを打つ」ということだけなのですから、自分に合ったキーボードを使えることは何物にも代えがたいメリットとなります。

 ミスタイプだらけになってしまうキーボードに不満を持ちながら使い続けるなんてことを我慢する必要はありません。そんなキーボードはさっさと買い替えてしまいましょう。私たち作家の仕事はこのキーボードを打つ以外何もありませんから、そこは妥協する必要は全くありません。


 使うキーボードはできるだけフルサイズを選ぶべきです。サイズ違いの小さいキーが混じったキーボードは避けましょう。小説を書くようになれば、デリートやバックスペースだけでなく、ページアップとページダウンキーも多用しますよね。これらのキーはちゃんと独立して横にあり、キーサイズも他のキーと同じか、大型になっているキーボードを選びましょう。エンターキーが小さいのも避けましょう。外国人の方はエンターキーは改行する時しか押しませんので、英字キーボードのエンターキーは小さいですが、私たち日本人は漢字変換するたびに決定で押しますから。


 一番右に0~9まであるテンキー付きのフルサイズキーボードがありますが、このテンキーは必須ではありません。最上列の数字キーを押すほうが手を動かさなくてもいいから早いです。レベルやパラメーターに凝りたい人には必要かもしれませんけど。


 スペースキーもそうですが、最も使うキーが小さい物はダメです。後で苦労します。適当に打ってもタイプミスが発生しないサイズのキーボードがベストです。

 ファンクションキーもフルサイズが理想ですね。かなカナ英字変換をファンクションキーでやっている人は、このキー細長だと苦労します。

 スイッチ形式はお好きなものでいいと思いますが、避けてほしいものがメンブレン式です。安くていいのですが、これはラバーの反発力を使っていますので、長年使うとキーが硬くなってきて手が疲れます。キーも軸がプラスチックのはめ込みで摩耗するとひっかかりが多くなり、ぎしぎしときしむ音もして後でストレスになりやすい方式です。安いんだから調子が悪くなったらさっさと新品を買ってくる、という使い方もできますけど、今使っている慣れたのものが数年後も同じものが入手できるかどうかはわかりませんね。パンタグラフ式か、メカニカルがお勧めです。


 ただ、メカニカルはキーが高くストロークも長いので、ノートパソコンのように低く軽いタッチをお好みの方はパンタグラフを選ぶのがいいでしょう。

 これからパソコンで小説を書き始める人、キーを打つのがまだ下手でミスタイプが多い方は、キーストロークが大きい本格的な、キーの一つ一つがブロック型でちゃんと独立したでかいキーボードのほうがミスタイプは圧倒的に少なくできます。ゲーマーさんが薄くて軽やかなキータッチができるキーボードには見向きもしないでごついキーボードを使うのは、結局あれが一番ミスタイプが少ないからですね。


 雑談ですが、日本人ではまず見かけないんですけど欧米ではタイプライターを両手の人差し指だけで連打する人がけっこういます。「ツー・フィンガー」と言うそうで。凄く高名な作家さんや一流の新聞記者、映画のタイピングシーンで俳優さんでもこれをやるから驚きです。しかも速い(笑)! 笑っちゃダメなんだけど欧米ではわりと普通の事みたいですな。昔のタイプライターは機械式で構造上完全に指を離してからでないと次の字が打てないので、ツー・フィンガーのほうがトラブルが少なかったということもあるのかもしれません。今はそんな心配する必要も無くなりましたが。

 欧米の人差し指をFとJの上に置く「ホームポジション」というやつはエンターキーや「」を多用する日本人小説家には少々使いにくいので、そこは多少自己流でも問題ないかと思います。



●ワープロソフト

 これから小説を書き始める人で、ワードプロセッサを使ったことの無い人はまずいないと思います。

 ネットにつないだまま、投稿画面で直接小説を書くというのはやめましょう。ワープロで書き終えてから、コピーアンドペーストでテキストを貼り付けるほうが安全です。なにか操作間違えて書いた小説が全部消えちゃうなんてことあったら辛いじゃないですか。


 ワープロで全話分一つのファイルにしてまとめて書いておけば、どこか修正したいところがあっても(人名地名など)まとめて変更できるんですから、一話ごとに修正しなきゃいけない投稿画面よりずっと編集が楽です。


「小説を書くのにテキストエディターを使うのが通」というのはもう古いです。今や小説はサイトの画面で読む時代。パソコン、スマホ、タブレットでぱっと画面を見て、いかにも読みにくそうなレイアウトになっているだけでもう読者は読んでくれません。

 小説が面白いか面白くないか以前に、まず「なろう」のサイトで見て、どうにもこうにも読みにくい。テンポが悪い。間が悪い。文章がスカスカだ。見た目が汚い。画面で読み取るのが難しい漢字がわざわざ使われている。視線の移動が多くスクロールも忙しくて読んでいて目が疲れるなんてことがあったら、それはワープロを使って書いていないからかもしれません。


 テキストエディターで書いて、作品をアップロードしたら、公開された小説のフォント、文字数、行間などがまったく書いたときと違っていて、サイトで表示されるのは大変読みにくくなっていたという経験はないでしょうか。実際に小説がサイトに表示されたときのイメージが、書いている時はわからないせいなのかもしれません。これは大変損をしていると思います。作品の面白さは何も変わっていないのに、見た目だけで判断されてしまうからです。


 小説家になろうサイトを見ればわかると思いますが、ノーマルの設定ではけっこう行間があります。 行間が詰まっているエディタや、そういうワープロ設定で書くと、読みやすくするために改行、一行空けを多用したくなるかもしれませんが、アップロードされてサイトで表示されるとえらくスカスカに見えてしまうのはそのせいです。

 そういうイメージの違いが起こらないようにするためにも、「小説家になろう」のサイトで見るイメージそのままをディスプレイでも再現できて、編集できるワープロソフトを使うべきだと思います。


 さて「小説家になろう」ではフォントは「Meiryo UI」が使われています。なので、当然小説もその「Meiryo UI」で書くのがベストとなります。綺麗なフォントですので、読みやすく、目が疲れません。ワープロ編集時も使いたいフォントですね。

 横の文字数、行間幅、文字の大きさ、その他の設定もワープロの設定で調整し、「小説家になろう」サイトと見比べて表示されている画面に近いようにしましょう。特に指定が無ければ一行37文字です。行の最初のスペースを入れる「字下げ」は自動じゃなくて、自分で入れるようにしてください。これレイアウトで自動でやる設定になってると、ペーストして貼り付けた時、最初の行のスペースが全部無くなってしまいます。

 Wordでしたら、ファイル>オプション>文書校正>オートコレクトのオプション>入力オートフォーマット、で、「□行の始まりのスペースを字下げに変更する」とオートフォーマットの「□行の始まりのスペースを字下げに変更する」のチェックを外しておきましょう。


 ワープロで書いたときに、読んでみてなんとなく読みにくい。見た目が美しくない文章なら、サイトに表示されたときだってそうなります。

 ワープロを使って、綺麗で読みやすい文章にしましょう。

 パソコンを買ったがワープロソフトが無いという人はフリーソフトの「LibreOffice」で始めればいいと思います。私も使っていました。凝った装飾や段組みが無いなろうの小説では十分すぎます。



●書籍化が決まったら

 もし書籍化のお声がかかりましたら、出版社様によって異なると思いますが、編集さんとの原稿のやり取りは、マイクロソフト・ワードになります。

 出版社様とのやりとりはすべてパソコンのメールです。大容量のファイルはクラウドが使われることもあります。契約書は郵送されて署名捺印して送り返せばOKですし、地方在住でも出版社を直接訪問したり、編集の人と直接会うことは無いですから、「陰キャ」「引きこもり」「対人恐怖症」の人でも全く問題なく出版できます。安心してください。


 編集さんが縦書き表示で指定行数、指定文字数で納められたdocxフォーマットを送ってくれますので、そこに、原稿のテキストをペーストしてから手直しを始めることになります。通常は見開き二ページで編集することになると思いますので、縦になってるディスプレイは横に戻しましょう。


 今までスマホ、タブレット、もしくはパソコンのエディターで小説を書いていた方も、この時点で否応なくパソコンのワープロと向き合うことになります。覚悟しておいてください。

「プロはエディターを使う」というのはもう無いんです。それはプログラマの話です。

 出版社様との原稿のやり取りと、決定稿として印刷所に渡されるファイルがこのワードのファイルなんですから、プロの小説家はワードを使っているということになります。

 他の選択肢、代替手段はありませんのでマイクロソフト・ワードを買ってインストールしましょう。


 また、このあたりからすべての作業をノートパソコンだけでやるのは画面が狭すぎて不可能になってきます。小説を書いて投稿するだけならノートパソコンで十分ですが、書籍化して出版社様とやり取りをするようになったらデスクトップでないと無理だというのはすぐに理解できると思います。すべて縦書き文書で、それを全画面表示できないと話にならないのですから!

 小説などで縦書き文書で印刷されているのは世界でも日本と中国といった東アジア圏だけなので、コンピューターというのはそういうものを編集できるようには設計されていないというのがわかりますね……。できるだけ大画面のディスプレイが欲しいところです。


挿絵(By みてみん)

 この文書を書籍化入稿原稿フォーマットに貼った一例。見開き2ページを1ページとして編集する。「なろう」掲載時と異なり、改行、一行空けが必要最小限に抑えられている点に注目。これは画面アスペクト比を3:2でシミュレートした例で、この画面比率ならノートPCでも見開き2ページが十分編集できそうです。


挿絵(By みてみん)

 主流のHDディスプレイ(1920x1080)で表示させる場合は、Wordのリボン(上のメニューバー)を表示させるのをあきらめて、非表示(リボンを折りたたむ)にすることができます。

 この場合は、リボンから使いたい機能のアイコンを右クリックし、「クイックアクセスツールバーに追加」を選びましょう。画面左の一番上にその機能のアイコンが並びます。小説家が使うのはせいぜい「ルビ、検索、置換、コメント挿入」ぐらいでしょうからこれでも十分な編集作業が可能です。

 下の「タスクバー」を右クリックすると「タスクバーの設定」がありますので、そこで「デスクトップモードでタスクバーを自動的に隠す」をONにするとさらにタスクバー分だけ画面が上下に広がります。


 この時、編集さんが使っているワープロソフトと違うソフトを使うとまずレイアウトが崩れます。プロになった必要な投資だと考え、編集さんと同じワープロソフトを買わなければなりません……。

 これはMacでも大丈夫です。書籍化原稿程度の簡単な縦書きフォーマットぐらいなら、同じWordでレイアウトが崩れることはまずないです。むしろMac使ってる出版社様のほうが多いかな。

 意外かもしれませんが出版社様とのやり取りでは、小説本文以外の資料の提供部分で表計算ソフトのエクセルが使われる場面もあります。設定資料でキャラクターシートとか作るんですよ? 凝ってますね! そうなるとWord単体でなく、officeを買わないといけなくなりますが……。


 編集さんからの校正ですが、まあ出版社様によって違うかもしれませんがこれは、見開き2ページで印刷された入稿原稿に、びっしり赤ペンが入れられたものをスキャンしたPDFファイル、もしくはそれを印刷した下刷り(ゲラ)が送られてきます。

 ワープロ原稿を渡しても、編集さんがそれを書き変えるということはしません。全部作者が、修正を指摘されて、自分自身で手直ししたものが原稿になるのです。作者が尊重されていると言っていいでしょう。


 修正はびっしりですよ。びっくりです。ほぼ全ページに赤ペンが入ります。それなりに小説家として文法、フォーマットのルールも熟知し(たつもりになり)、誤字脱字もよく見直して、ストーリーや設定にも矛盾が無く、人気も出て出版社様からお声がかかって喜んで書籍化原稿を入稿したド素人の作家は、まずここで大ショックを受けると思いますね。プロと素人の仕事という奴はここまで違うものなのかと……いえ、それはいいです。

 ここで言いたいのは、それと原稿を見比べて直していくときにディスプレイが足りなくなることです。横長原稿が二つあるわけですから。


 このとき縦型の大型ディスプレイでしたら上半分を校正文書、下半分を修正原稿に分けて表示させられるので校正作業がスムースにできます。

 でもいささか字が小さくて読みにくく、目が疲れるという場合は、ディスプレイをもう一台用意してPCに増設し、デュアルディスプレイにしてしまうのもいい方法です。これもまた、プロになるための投資として、書籍化できたらお勧めしたいことの一つです。ある程度性能のいいパソコンを買えという根拠の一つでもあります。これぐらいやると、「〇〇さんは筆が早くて助かる」ぐらいの評価は編集さんにしてもらえるかもしれません。

 この作業はノートパソコンを横に置いてやっても同じですので、ノートパソコンを別に持っている人はそれを使えばいいと思います。表示させるだけですから。


 別の出版社様は縦長で1ページずつでした。出版社様によって違うということです。



●スキャナーを活用しよう

 出版社様によりますが、書籍化が近づくと最終確認としてゲラ(下刷り)が送られてきます。

 印刷所フォーマットで、これもびっしり修正が書き込まれたA4またはA3のコピー用紙数百枚です。作者はこれに鉛筆チェックを入れ送り返すか、修正部分をリストにして送るなどします。

 送り返す場合はゲラが手元に残りませんので、これは自分でコピーをしておく必要があります。

 そうでなければ、スキャナーを買ってスキャンしておいたほうがいいでしょう。


 スキャナーはイラストレーターさんへの指示として送る作画資料や、文献、写真の提供にも必要になってきます。ネットに転がってる写真だけじゃなく、自分が持っている文献、図鑑、手書きの図解などを資料にしてほしい場合は必要になります。高いものでなくてもよいので、一台持っていると便利です。ファクシミリで送るよりは上品でしょうな。



●クラウドを活用しよう

 貴重な貴重な、かけがえのない小説のファイル、どこに保存していますか?

 自分のパソコンのドキュメントフォルダ? はい、普通はそうですね。

 バックアップは取っていますか? 外付けHDDに書き込んでいます?

 いいですね。それ毎日やってます?

 昼前にはやりました? 午後はどうです? 寝る前にバックアップしましたか?


 私はクラウドサービスを使っています。OneDriveと、Google Drive、iDrive、Dropboxなどがよく知られていますね。これらのソフトをインストールすると、無料で数GB程度の容量をファイルの保存に使えます。アイフォンやアンドロイドスマホを持っているならもう自分のクラウドドライブを持っているはずですからそちらとパソコンをリンクさせればいい話でもありますな。

 数GBじゃ足りないなんてことは全くありません。書籍化原稿の入稿ファイルでさえサイズなんて300kBになりませんから。

 パソコン内にクラウドのフォルダができますので、そこに文書ファイルを置いておくと、そこからワープロソフトで読み出せば、編集して保存すると自動的にインターネット経由でクラウドサービスのサーバーにも同じ文書が保存されます。

 自分のパソコンの、クラウドサービスのフォルダとまったく同じ内容がサーバーにも保存されるわけです。


 これのいいところは、他のパソコンからでもアクセスできることですね。

 つまり、小説を書くのを自室のデスクトップパソコンでやって、それをリビングルームのノートPCで編集する、なんてこともできるのです。同期はパソコンを起動したとき、文書を保存したときに勝手にやってくれます。デスクトップで文書を書き変えたら、あとでノートパソコンを起動したとき、自動的に書き変えた文書に置き換えられています。

 気を付けるのは編集が終わったら、ちゃんと保存してワープロソフトを終了させる。二台同時にアクセスしないことでしょうか。そうしないと「他のデバイスで使用中」と注意され、保存を強行すると違う内容のファイルが二つできちゃいますからね。


※追記 2025/4/16

 マイクロソフトがだんだん増長したのか、最近は強制的にドキュメントや写真その他のデータが勝手にonedriveに保存されてしまう仕様に変更されるという事態が多発しています。

 なにしろ無料版で15GB、オフィスとセットの有料版でも1TBまでしかないので、無料版だと15GBがあっという間に埋まり警告になり「金払ってサービスをアップデートしろ」としつこいです。

 パソコンを買って起動したらすぐにonedriveの「歯車(設定)」>「同期とバックアップ」>「

バックアップを管理」で、「このフォルダのバックアップをする」を全部OFFすることでこのサービスを拒否することができます。

 onedriveに保存するのは原稿のファイルなど消えたら困る、他のPCと共用するファイルだけにしましょう。「ファイルオンデマンド(使うときだけダウンロードして読みこむ)」はオフにしておけばPC本体にも保存されるのでインターネットにつながっていないオフラインでも使用・保存ができます。


 コレを使っているからと言って、外付けHDDなどへのバックアップは欠かしていいわけではもちろんありませんが、バックアップ頻度は下げることができるでしょう。バックアップするフォルダに、クラウドサービスのフォルダも含めておくのを忘れずに。

 なにかやらかして文書ファイルが一気に消えてしまうと、もう二度と同じ文章を書くことが記憶力的にも、気力的にも不可能になってしまいます。

 バックアップはくれぐれもお忘れなく。



●机と椅子

 世の中に「買ってはいけないもの」というのは数ありますが、この世の中で一番買ってはいけないものは何かというと「パソコンデスク」です! 特にきっちりパソコンサイズでキーボードを載せる台が別になってる机など論外中の論外です。あれはパソコンで仕事をするということが全く考えられていない、まさに「机上で考えただけ」のもので、設計者は実際にパソコンで仕事をしたことがないと断言できるものです。絶対に買ってはいけません。

 ではパソコンで仕事をするのに適した机というのはどんなものかというと、奥行きが十分にあって天板が広い机です。実際に作業を始めればすぐにわかることですが、執筆中ディスプレイから距離を取らないとすぐに目が疲れてしまいますし、キーボードは肘を机の上に置けないと手や肩が痛くなります。作家のパソコン机には奥行きが必要なのです。

 その上で、資料を並べて置けるスペースも必須です。書籍化するともなると、出版社様が送ってくるゲラ(下刷り)を広げながら修正作業をし、場合によってはデュアルディスプレイもしくはノートパソコンを横に置いて仕事をするのですから横幅も必要になります。


 そんな机はなかなか売っていませんので、一番いいのはリサイクルショップに行って家族四人用ぐらいのダイニングテーブルを買ってくることでしょうか。机はデカければデカいほどいい。きっちりサイズにはどんな利点もないとお心得ください。

 椅子は様々な調整ができるビジネス用オフィスチェアが一番です。ゲーミング用バケットシート風なんてのはやめたほうがいいと思いますね……。少しぐらいだらしない姿勢でも座れる余裕がないと辛いですよ。



●確定申告の勧め

 出版社様と出版契約を結んだ際、政府発行の「個人番号カード」のコピーを提出することになりますが、このカード情報を基に印税から出版社様の会計様より源泉徴収され、すでに納税された金額が振り込まれます。収入の報告をさぼったばかりに後で脱税、申告漏れ追徴課税騒ぎなどが起きるなんてことがありませんから安心ですね。何の役に立つのか全く分からなかった「個人番号カード」ですがやっと役に立ってくれました。出版者様から「個人番号カードを教えてください」と郵送で連絡が来ても、怪しまずにコピーを返送してあげて下さい。必要なことです。


 年が明けて二月になると確定申告のシーズンになります。本が売れて何千万円も稼ぐようになるとどうなるかは知りませんが、パート収入と同程度の時期は税務署や役場に行って確定申告だけやっておけばいいと思います。この時にペンネームも書籍のタイトルも職員さんに見られますので、恥ずかしいものやエロで釣ろうとしていた人は恥を忍んでください。

 出版社様から郵送された印税振込書を全部持っていきましょう。


 確定申告の際、パソコンやディスプレイ、キーボードを買った時のレシートも、ワープロのレシートも、確定申告の時に役場や税務署に持っていけば必要経費として認めてくれます。少し還付金が増えますのでぜひ保存しておいてください。資料文献を買い集めたり取材旅行に出かけたり、出版社様と打ち合わせをするために上京したりしない私たちの、ほとんど唯一の必要経費ですから、堂々と提出しましょう。何か購入したらレシートや領収収書をもらうのを忘れずに。ネット購入の売買記録もプリントアウトして領収書の代わりになります。出版社様からお声がかかる前に購入したものでも、ある程度認めてもらえます。以前は取り上げられていたこれらの振込書、領収書なども、現在は個人で保管して置くこと、というふうに変わりました。捨てずに5年間は保管して置きましょう。


 ※こんなものが必要経費として認められました!

 ノートパソコン(中古)「外出時でも作業をするのに必要!」

 SSD、メモリー「パソコンが遅いと仕事にならないので必要!」

 キーボード「壊れたので買い替えた」

 電子メモ機「いつでもアイデアをメモしたり文書編集したりするのに必要!」

 スキャナー「出版社様と資料のやり取りをしたりゲラを保存するのに必要!」

 大型27インチディスプレイ「原稿は縦書き見開き2ページで大画面でないと仕事にならない!」

 オフィスチェア「椅子ぐらいはいいやつを使わないと腰が痛くなる」

 外付けDVDドライブ「大容量の資料の閲覧や出版社様とのやり取りに必要!」

 バックアップ用外付けハードディスク「バックアップは作家の命!」

 ワードプロセッサ(microsoft office 365solo一年契約)「これなしでは事実上なにもできない!」

 PCスピーカー「サウンドブックのチェックに必要!」

 パソコン「壊れたので買い替えた!」

 NASハードディスク「バックアップに必要!」


 ほかにも上京して出版社様を訪問するときの交通費や宿泊費も認められるそうです。まだ行ったことないですけど。


●インボイスに対応しよう 2025/4/16追記

 悪名高いインボイスという増税が行われ、書籍化した人も印税が一千万円もいかない人もこれからは逃れられなくなりました。消費税が3%だった時は手間暇を考えれば控除したほうが安上がりだった税も、10%にもなれば例外なく集めたほうが大儲けと財務省が思いついたということになりますか。

 出版社にインボイス登録しろと言われたら、逆らわずにやりましょう。後で脱税がどうのこうの言われないようにです。実際、某作家さんがこれらの知識が無かったために「申告漏れ」からの「追徴課税」を食らっていました。お気の毒です。

 確定申告が済み、納税額が決まったら、次にやるのはインボイスの確定申告です。

 確定申告と、インボイスの確定申告は別なのです。最初の確定申告で、「消費税込み」の収入が確定していますので、それを元に、町ではなく、市の税務署に出頭して「インボイスの確定申告」をすることになります。わけがわからないので税務署員に書類を全部持って行って見てもらいましょう。受け取った消費税額を国庫に納めて終了です。

 面倒でしたら次の選挙の投票先はよく選ぶことをお勧めします。



●小説を聞こう

 自分の小説を読み返しても、なかなか誤字脱字に気付かないということはありませんか? なにしろ自分で書いた文章ですからね。間違って使っているのにそれを正しいと思い込んでいたり、誤字があっても、文章を知っているものですから、目が勝手に正しく読んでしまったり、送り仮名がヘンでも気づかなかったりと、書いている側はなかなかわかりませんよね。

 自分の小説をチェックする時間もなかなか取れないとか、そんな人にお勧めは、小説を読み上げソフトで音声に変換してもらって、携帯プレイヤーで聞くことです。


 私はフリーソフトで「棒読みちゃん」という音声変換ソフトを使っています。動画サイトの「ゆっくり解説」などで耳にする人工音声ですね。

 これで自分の小説、またはなろうの小説を、ドラッグしてコピーし、このソフトのテキスト部分にペーストしてから「ファイルに保存」をしますと、テキストを全部WAVファイルにしてくれます。あとは何かのソフトを使ってそれをMP3に変換すれば、ミュージックプレイヤーやスマホで再生できます。USBに入れてカーステレオで再生、なんてこともできますよね。


 この音声変換はたいへん優秀でして、間違った読み方、作者の意図しない読み方をしてくれやがるということがほとんどありません。なろう小説でさえきれいに読み上げてくれるのです(キラキラネーム、中二病技名除く)。文字入力をするIMEのデータをもとに音声変換しているらしく、キーボードで打って変換してくれる日本語ならまず間違いないようです。

 カッコ、カギカッコ、カッコ閉じ、記号などは無視されますのでわずらわしくもなく、ドラマCDを聞く感覚で小説を楽しめます。

 コレを聞いていると、誤字、脱字もそのまんま読み上げてくれやがるので、それまで気付かなかったミスのチェックもできますし、時間も節約できて目も疲れませんので大変におすすめです。通勤通学のお供にどうぞ。



●Linuxの勧め

 もうほんっとうに金がない。パソコンも持ってない。今まで「なろう」はスマホで見ていたんだけど、自分も小説を書いてみたいので、パソコンが欲しい。できるだけ安いやつで!

 そうなるとお勧めは中古パソコンということになりますか。


 2025年10月にWindows10のサポートが終了します。今後大量に中古パソコンが市場に放出されるでしょう。いくら中古で安くても、そこはやはり最低でもCorei3で、メモリーは最低4GB無いものには手を出さないようにしましょう。SNSやネットショップなどの個人情報のやり取りはスマホを使いパソコンではやらない、ということなら古いOSを使い続けてもなんとかなります。

 こうした古いPCはもうWindows11がインストールできませんので、再利用するにはLinuxを入れることになります。どれにもワープロをはじめとしたOfficeアプリが入っていますので、書籍化するまでのなろう小説家のパソコンとして小説の作成から投稿、閲覧まで全く問題なく使えます。


 おすすめはUbuntuです。予算削減に追われる市町村役場で使われている実績もある信頼性が高いOSです。無料で公開されており、インストールも簡単で、同梱されているOfficeソフトはLibreOffice、ブラウザはFirefoxとウィンドウズやマックOSでもおなじみのメジャーなソフトが使われています。Google chromeもEdgeもインストールできますし、ネットの動画再生も普通に行えますし、一手間必要ですがDVDで映画を見ることもできます。MacやWindowsよりシンプルです。

 ネットに常時接続する宅置きPCならばChrome OS Flexもなかなか使えます。こちらもLinuxベースのOSですがスマホ感覚で使用できます。ただ、データは全てGoogle Driveに保存されますのでネットの繋がらないところに持っていくこともあるノートパソコン向きではないようです。あくまで自宅で使うなら、となります。

 最近の注目はLinux mintで、これは古いiMac(2009)にもすんなり最新版が一発でインストールでき不具合が特に見つからず知識がない人に大変優しいOSです。古いPCとMacでOSを統一したいならこれがお薦めという感じで今検討中です。

 デスクトップとノートPC間でデータをやり取りするのならネットワーク共有フォルダなどを作成するよりGoogleDriveやDropboxがLinuxでも使えますからそちらを設定するほうが手っ取り早いかと思います。

なおGoogleDriveは出版社様とのコミカライズ原稿などの大ファイルのやり取りにも使われます。不正アクセスされて未発表作品が流出、なんて心配はまだ大丈夫かな。


 出版社様とWordでやり取りするようなことになるまでの間には、「なろう小説家のパソコン」として全く問題ありません。Linuxで使うなら購入するのはDELLやHP、Lenovoなどの世界販売されている海外大手メーカー製がいいでしょう。世界中の誰かが必ずデバイスドライバを作ってくれていますので、無線LAN、内蔵カメラ、マイク、スピーカーなど全てインストール時に自動的に認識されます。国内メーカーはガラパゴス仕様でLinuxにはデバイスを動かすドライバが無いという悲劇はたまにありますので注意が必要です。

 IntelのCPUならばMacにもLinuxやChrome OS Flexはインストールできます。現在のhight sierra、 mojave、catarinaのサポート外となった古いMacでも、インストールしてLinux専用機として使えます。その場合はLinux Mintがお薦めですね。古いMacだと最新版のubuntuは不具合だらけです。



●Virtual Boxって意外と便利!

 パソコンがどんどん新しくなって、古いパソコンが使えなくなるのは悲しいものです。

 何より悲しいのが、愛用していたソフトが新バージョンのOSでとうとう走らなくなったとき。

 書籍化してからCore i7の強力なデスクトップPCに(必要に迫られて)買い替えたのですが、やはり使いたい古いソフトとか、Linuxとかありまして、どうしようかと思っていましたが、仮想デスクトップのVirtual Boxを導入したらすべて解決です!

 PCの仮想ディスクに中にWindows7とかインストールして、古いソフトウエアを動かすことができますな! Linuxを使いたくなっても、もう再起動なんてしなくてよくて、アプリ感覚で立ち上げられます。

 説明が大変困難なので使い方はググれとしか言えませんが、強力なPCを持ってる人はご検討あれ。



●ファイルサーバーを作ろう! ※2024/4/16追記

 Windows11のパソコンを買って、Windows10しか動かないデスクトップPCが一台あるんだけどどうしよう……、という方。それ、ファイルサーバーにできますよ。

 Linuxで動かすことになりますが、OpenmediavaultなどのOSを入れると、市販のNAS(LANでつなぐ外付けドライブ)と同じように使えるようになります。キーボードもディスプレイもマウスもつなげる必要が無く、バックアップしたいときだけスイッチを入れ、バックアップが終わったらスイッチを切る、なんて使い方ができて外付けドライブと同じぐらい便利です。パソコンやHDDが余っているならいろいろ調べて自力で組んでみるのも楽しいですね。



●おまけ ネット掲載と書籍の違い

 せっかくですので書籍化作家でなければわからないネタを少しやろうと思います。

 まず書籍は商品ですので、コストダウンをしなければなりません。そのためになにをやるかというと、「ページ数を減らして紙を節約する」がまず第一です。ネット掲載時はまったく気にしていなかったこういうことが、書籍作家には求められます。書籍化の際に編集さんに修正依頼されると思いますが、小説独特の文法が、理解できればちゃんと意味があってやっていることであり逆らうだけ無駄だとわかります。


・行空け、改行

 まず一行開け、改行はナシにします。サイトでは読みやすくするためにある程度文章が続いたら改行して一呼吸置いたほうがいいですが、書籍ではこれらの行空け、改行は最小限にしてページに白紙の部分が無いようにします。一行空けるのは場面が変わったり日付が変わったりしたときだけです。段落やセリフごとに一行空けしてある白紙のほうが多いページなんて論外なんですな。

 そのかわり、文章を区切るときはスペースで字下げします。これが行空けのかわりなのです。

 ワープロの自動字下げ機能を使っている方、そのまま文章を投稿スペースにペーストすると字下げがなくなってしまっていませんか? そこは修正しておき、字下げは自分でスペースを入れるよう習慣付けましょう。字下げを一切やらず改行している人も、そこは逆らわずちゃんと入れるようにしましょう。


・「。」の削除。

 図書館にある古い小説を読みますと、「昔はセリフであるカッコの中にも、最後に『。』をつけていたようです。」

 日本語の文法として間違っていないのですが、現代の小説ではこれは削除されます。

「セリフ(カッコ)で始まる行では行の先頭にスペース(字下げ)を入れない」も覚えておきましょう。どれも限られたスペースにできるだけたくさんの文字を印刷して紙を節約する工夫です。ちりも積もれば1ページ削減です。


・長音表記

 ラノベ小説は読むマンガ。擬音長音が煩雑に出てきます。さてその場合、「ぎゃーー」という長音記号を伸ばす場合は2の倍数です。これは決まっています。必ず修正されます。「ぎゃーーー」はダメで「ぎゃーーーー」はOKなんです。たいてい、この「ぎゃーー」は「ぎゃ――」というふうにダッシュ記号の連続に変更されます。

 これは書籍で出た場合「ぎゃーーーー」が見苦しく「ぎゃ――――」のほうが見やすいからです。マンガも全部そうなっています。むしろマンガから小説に取り入れられた表現ですね。「だっしゅ」で変換するか、「-」で変換すると「―」(全角)になります。


・三点リーダー

 いや、三点リーダーってなに・・・・・・・・・・。

 三点リーダーってのは「…」という一文字です。無言部分を表すのによく使われる中黒の「・・・・」ですが、これは小説では三点リーダーを二つ並べて使うと決まっています……。ワープロでは「・・・」と打って変換キーを押すと「…」という一文字にすることができます。これも印刷スペースを節約するための小説ならではの工夫ですね。かならず二個セットで使います……。これちゃんと従わないと印刷所さんが困ります……。昔、活字を並べて印刷していた時の名残なんだと思いますけど……。

 熟考、長考、絶句時間が長いなどの表現で・・・・・・・・って長くしたくなることがあるかもしれませんが、これも2の倍数だけ三点リーダーを並べましょう…………。


・算用数字は避ける

「12人が参加した」はダメで「十二人が参加した」と漢字で数字を表さなければなりません。「金貨100枚」はダメで「金貨百枚」です。なぜかというと書籍では縦書き表記だから、横に並べないと数値として認識できない表記はダメということですね。これもうっかりやってしまいがちなミスです。

 10~99までは、半角を二個並べて縦に「25」とか「99」のように全角一文字で印刷してくれますので、必要ならそういう表記もできます。

「50メートル」「45口径」「80グラム」のように数値として扱わないといけない場合は算用数字でもOKです。ただその場合も「50m」ではなく「50メートル」というふうに単位記号で省略はダメで、読みを記述しなければなりません。

 なろうらしくスキルをレベル値で並べ立てるような場面は算用数字でも今はOKなようですが、でも「二人」とか「四個」を「2人」「4個」と書くのは今でもダメですね。


・!!!!! ?????

 これも縦書き表記されることが前提となりますので、「‼」もしくは「⁉」という一文字に変えます。

 言い切った感を出したくて「お前は殺す!!!!!!!」と書きたくても、縦書き表記でこれが一行ずらっと並んだ時のことを想像してみてください。無理でしょ?

 ⁉ と ⁈ の混用も嫌われます。統一しましょう。

 これはネットで横書きされているときは気にしなくてもいいです。問題になるのは書籍化されたときだけですからそのときにでも直していただければと思います。


・! ? の後は一文字開ける。

 これってどうなの?と書くのはダメで、「?」や「!」の後はスペースを一つ入れます。これってどうなの? と書きます。理由は不明。わざわざ字数を増やしてでもそうしなきゃいけない理由があるんだと思います! 市販されている小説でもそうなってる? そう決まっているものだ! しょうがないな! とお考え下さい。あと、文が! で終わっているときは「。」はつきません!



●修正はワープロの「置換」を活用しよう。

 上記の作法修正ですが、ワープロの置換機能を使うと一気に修正できて便利です。

 例えば、【。」】>【」】や【 (スペース)「】>【「】を実行すると全文の修正点が置き換わりますので楽ですね。これは小説家になろうの投稿ページの「本文」横にある「入力補助メニュー」の中にも同様の機能があります。時間があるときにでも少しずつ修正しましょう。



 いろいろ書きましたが、まあでも初めて投稿する作品にそこまで要求されるわけじゃあありません。私も書籍化をきっかけに過去作もまとめて全部修正したぐらいです。なろうは誰が何書いて載せようが勝手な世界だと思います。

 なろうは作家のためのサイトです。文法作法がおかしいという理由では削除されませんし、投稿してから一年たってもポイントゼロの作品が削除されたりすることも無いのです。

 PVが一つつけば、その作品は投稿された意味があります。ウケを狙わなくてもいいから気ままに書いて投稿しましょう。批判なんてどうでもいいです。ポイントにはマイナスはないんですから。


 以上、「小説は書いてみたいがパソコンはどうしたらいいかわからない」という人のための、簡単なパソコン講座+でした。ご参考になれば幸いです。


※参考 作者使用PC

 DELL XPS (windows11)

 Macbook air 2013(ubuntu24.04.2)

 Let's note CF-RZ5(ubuntu 24.04.2)

 iMac 2015 22,5in(MacOS12Monterey)

 Dell Optiplex790(Openmediavault/NAS)

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[良い点] 返信ありがとう御座います。この後も改訂する予定があるとの事ですので、絶滅エディタ使いとして一言物申したく(笑) 一時町役場等でLINUX系への転換が流行りましたが、職員からのあまりの評判の…
[良い点] WINDOWS 7の快適な操作が忘れられず、リスク承知で自宅でダウングレードして使用している自分にとってWINDOWS 11は嫌な予感しかしない(笑) [気になる点] 本当にDELLのPC…
[一言] ワープロ専用機でワープロ検定3級を取った世代ですwwPCは子供の言いなりで購入しました(HPは売り切れてマウスにしました)勉強になりました。 読み上げソフトいいかもしれません(入院中に消灯後…
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