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はじまりは初恋の終わりから~  作者: porarapowan
はじまり
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57.恋する乙女は美しい-04.ルークの気持ち

 ルークはこの国デルアータに来てからというもの戸惑ってばかりである。

 単に黒魔石の流出調査と取り締まりの為に、従兄一家についてきただけだった。


 体外的には、(主にイリューリアには)子供達のお守だなどと言ってはいたが、ルークの役目は今回の親善大使一家よりも重要な役目だった。

 それも、さっさとカタを付けてしまった今、別に、さっさとラフィリルに帰っても良いくらいなのだが、何かと理由をつけて残ってしまっている。


 だが、それも園遊会が終わってしまえば、ここに留まる事もなくラフィリルに帰るのである。


 正直言うとルークは、イリューリアの事が気にかかってしょうがない。


 最初、子供達が、イリューリアをみて「おかーしゃま」と呼んだ。

 見ると初めてあった頃のルミアーナそっくりな少女が戸惑いながら立っていて…。


 見た目はそっくりだし魂の色さえ似ていた。

 だが似ているとは言っても、その質は全然違うものだった。


 綺麗…だった。

 感動するくらいに…。


(あ、もちろんルミアーナのが綺麗じゃなかった訳ではない)


 ルミアーナの魂の光は乳白色の中にもきらきらと虹の光を織り込んだオパールのような色合いだ。

 それに比べるとイリューリアの魂の色は、真っ白な真珠のような輝きだ。


 淡い光沢のある白。

 その真珠色は内から淡く光を放っていた。


 義母の呪いによって自我を閉じ込められていた彼女の()はある意味、()()()()()()()無垢なままだった。


 何の色にも染まらず、闇に飲みこまれることもなく白い輝きを保っていたのだ。


 これは驚くべきことなのだ。


 黒魔石に狙われた高貴で無垢な魂…魔物に成り果ててもおかしくない状況だった。


 これは死の間際、エマリア殿が自分の持てる祈りの力のすべてで愛する娘と夫の加護を願ったお陰だろうと推測された。


 それ以外の説明はつけようもなかった。


 エマリア殿も血族の姫だったのだから内なる血には聖なる魔力を持っていたに違いないのである。

 その時に月の石があれば、間違いなく黒魔石の呪いなど蹴散らすことが出来ただろう。

 今さら、無かった時の事を思いめぐらしたところで仕方のない事だが…。


 そして、呪いが取り払われた今、彼女のそのむき出しの無垢な魂が汚されはしないかと心配なのである。

 ()()()()()()彼女の容姿はその心根や魂のごとく美しすぎる。


 その魂は無垢すぎて、心配になる。


 今まで呪いによって謀らずも囲われていた壁のお陰で護られていた核が今はむき出しなのである。


 その内なる美しさにルークは魅せられた。


 こんなにも美しい魂はルミアーナ以来である。


 しかしルミアーナは、自分なんかが心配しなくても、全然大丈夫なくらい強くて逞しかったし、ダルタスや精霊たちが守っていて、欠片も心配がいらない。


 むしろ、何かあったら助けてくれよと頼みたいくらいの頼もしさで、問題外である。

 ルークがもつルミアーナの中身への印象は「凄いな!おまえ!」と一目、置く感じなのである。


 それにひきかえ、イリューリアの魂は、思わず守ってやらなければと保護欲を掻き立てられる。


 生まれたの雛を見守るように、壊れ物を扱うように…この世でもっとも壊れやすく美しい宝石を真綿でくるむように…守りたい。


 そんな気持ちがルークに沸々と湧き上がるのである。

 自分でもどうしてここまで…?と思うのか思い当たらない。


 二十一年間、生きてきてこんな心の奥底から守りたいと思う相手に出会ったのは生まれて初めてなのだった。


 何しろ心が読めてしまうルークである。

 ラフィリルの第二王子としての身分をも持つルークには、何かと二心をもって近づく女性が多く、女性に対して夢も希望もなかった。


 その点、ダルタス一筋のルミアーナだけは認めていたが、あくまでも従兄の運命の人である。

 ダルタスを幸せな従兄だと思いつつも、自分には、そんな特別な存在はいないものと期待もしていなかったのである。


 ルークは真剣にどうすれば、あの美しい彼女の魂を守れるのか考えていた。


 いっそ誰も振り向かぬような平凡な容姿になるよう魔法をかけて?

 いやいや、それでは、せっかく自分の本来の姿を認めた彼女を喜びから谷底に突き落とすようなものである。


 本当は諸外国の男達も集まるこの園遊会からも、あの、考えなしのローディ王子やデリカシーに欠けるザッツ将軍からも隠して自分の両腕の中に囲い、隠してしまいたい心持ちだった。


 そんな気持ちを、大親友のルミアーナに告げるとルミアーナにまるで痛い子を見るような眼差しで「ふっ」と笑われた。


 そして…。


「ルーク…それが、恋よ」と言われたのだった。


 パキーン!と、頭の中に稲妻が走るような衝撃をルークは受けた。


 他人の心は読めるのに自分の心の読めていないルークだった。


 そして、明確に答えた親友ルミアーナの回答は、ルークの心にすとんと落ち着き収まった。

 ルミアーナへのリスペクトは、ルークの中でもう一段階、上がったのだった。


 だが、しかし、この答えは多分、わりと朴念仁なダルタスにでも出せた答えだったかもしれないが…。


 魔法修行一筋!(と、いっても騎士団に入って武術修行していた時期もあったが浮いた話ひとつなかった。)

 それほどに、自分に恋だのなんだのとは無縁だと思うような二十一年間を生きてきたルークだったのである。


 そう、一見、世慣れていそうなルークだったが、実はルークにとってイリューリアこそが初恋だったのである。

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