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はじまりは初恋の終わりから~  作者: porarapowan
はじまり
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54.恋する乙女は美しい-01-女神のごとく

 それは、そろそろ王都見物にも飽きてきて、エルキュラート家のイリューリアの部屋でお茶とお菓子を楽しんでいた時の事である。


 ちなみに男達は、相も変わらずデュロノワル一味やそれに関連したもの達への処罰や園遊会の警備の様子が気になるらしく王城へ行き何やら手伝っているようだ。


 今後の黒魔石の密輸対策への指導にも余念がない。


 そもそもルークは親善大使としてついてきたのは黒魔石流出を何とかしなければという聖魔導士協会からの指示であるから、それも当然である。


 ダルタス将軍の方は、愛する妻や子供達が、可愛いイリューリアに夢中で放って置かれるので、暇つぶしといったところであろうが、デルアータの復興支援に大いにで役に立った。


 おかしな話だが、デュロノワル一派は、陰では悪の限りを尽くしていたが、表向きには、慈善事業や街の治安警備、銀行にかわるような商売もしていた。

 それ故にダルタスは現在のラフィリルでの進んだ治安維持運営方法など様々な提案をしているのである。

 その効果は絶大で、デルアータの将軍や兵士、護られる街の人々は、これに感動しきりで感謝感激した。


 そして園遊会もいよいよと押し迫った頃、イリューリアがふと心配事を口にしたのである。


「ああ、お姉さま!どうしましょう…私ってば何の誤解か、この国の王子様と将軍に奪い合われている深窓の姫君とか何とか、尾ひれはひれついた噂が広まっているらしくて…どれほどの美女かと思われているみたいで…」


「あら?イリューリアはとても綺麗よ?それにローディ王子もザッツ将軍も貴女の事好きなのは本当みたいよ?」


 ルミアーナがそう言うと後ろに控えているメイド達はうんうんと頷いている。


 ルミアーナからしたら自分とそっくりなイリューリアを褒めるのはまるで自画自賛?ナルシスかと突っ込まれそうなものであるが、本当に美しいんだからしょうがないだろうとルミアーナは女性にしては豪快で竹を割ったような性格でもって開き直っている。


 ”そうね~私はとっても美人なの~っ!だからそっくりなイリューリアちゃんも美人なのよ~”なのである。


 子供達もにこにこと頷きながら、クッキーとケーキをほおばっている。


 この可愛らしい天使ちゃんたちには、エルキュラート家の召使たちもメロメロでコック長も特大特製のケーキやタルト、クッキーなど作って振る舞っていた。


「まぁ、お姉さままで、そんな噂を真に受けていらっしゃるの?」


「あら、本人たちが言っていたというのだから間違いないわ。イリューリアはどちらがいいの?」


「えええっ?そ、そんな、私は別に…」


 本人たちが言っていたと聞いてイリューリアは驚く。

 思いがけないルミアーナの言葉に困惑するが、イリューリアの心は特に揺すぶられるような気持ちはなかった。


「ローディ王子とは昔、婚約していたのでしょう?どうなの?」

 ルミアーナは気になるイリューリアの気持ちをズバリ聞いてみた。


「そうですね…。好き?だったと思いこんでいました。義母のマルガリータを盲目的に慕っていたように…あの時、真実だとおもっていた感情に私は何一つ自信が持てない…。婚約と言っても子供の頃の話ですし、”王子様と結婚”というものへの淡い憧れも…あったとは…思いますが」と、イリューリアは素直に自分の本当の気持ちを語った。


「じゃあ、今は?」


「今…ですか?ローディ王子殿下の事は()()何とも思っておりません。勿論、この国の王子殿下として尊敬はしておりますが…」


「あら、ではザッツ将軍は?初めての舞踏会で踊ったのでしょう?」


 ルミアーナは情報通である。

 ルミアーナはすっかりこの屋敷のメイド達や家令の心を掴みイリューリアにまつわるいろんな話を仕入れていたのである。


「お、お姉さま本当に、よくご存じで…びっくりしますわ。ザッツ様も同じです。この国の将軍で王弟でもあらせられる方ですもの。尊敬もしておりますが、()()()()です」


「まぁ、そうなのね。じゃあ、迷惑な話よね」


「そ、そんな…迷惑だなんて…臣下としてそんな、不敬なことは申し上げられません…でも…この噂のせいで園遊会で集まる諸外国の方々の反応が心配です。中には”傾国の美女”などという、荒唐無稽な噂まであって…諸外国からのお客様にがっかりされるのが目に見えるようで気が重いのです」とイリューリアが真剣な面持ちで言うとルミアーナが、驚いたように聞き返した。


「あら、まぁ?どうしたの?自虐の呪いは解けたはずでしょうに?」


「まぁ、お姉さま。確かに今の自分を昔、思っていた様にみっともないとかみすぼらしいとまでは思いませんわ!むしろ…けっこう、んん、いい感じじゃないかなぁ?なんて…」と言いながら頬を赤らめるイリューリアは、メイド達が卒倒しそうになるぐらい本当に可愛らしかった。


「で…でも、”絶世の美女”だの”傾国の美女”だのと、とにかく噂の美女のレベルが高すぎて…」とイリューリアが不安を口にするとルミアーナが間髪入れずに口を挟んだ。


「何を言ってるの!イリューリアっ!そのレベルを突き抜けてこそ”なんぼ”よっっ!」


「な?ナ…ナンボ?って???」


「いいからっ、私やメイド達にお任せなさいなっ!ルルー!マーサ!」


「「はいっ!ルミアーナ様!」」


「私達で、イリューリアを噂以上の美の女神、精霊のプリンセスに仕立て上げるわよっ!」


「「お任せくださいませっっ!」」

 ルミアーナが喜々としてそう言うとメイド達は「待ってました」と言わんばかりに弾んだ声で元気よく答える。


 いつの間にかルルーもマーサもすっかりルミアーナに心を許してすごい息の合いようである。


 そうして、選りすぐりのドレスにアクセサリー、髪型にお化粧、万全の準備を整え、園遊会前日の晩餐会をむかえたのである。

 むろんルミアーナ自身の準備は万端である。

 何しろ髪色や瞳の色が若干違うだけで、そっくりな二人である。


 その美しき二人の女神の降臨に園遊会の話題をさらうことは疑うべくもなかった。

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