52.園遊会-噂の公爵令嬢
諸外国の賓客を招いての園遊会の前日。
続々と各国の親善大使たちが、この日の為に王城や王城から近い迎賓館に訪れ、デルアータは賑わっていた。
その夜は、園遊会前日は、迎賓館での晩餐会が開かれ、王侯貴族を含みデルアータの特産をふんだんに使った料理がもてなされた。
そして食を挟み、各国の親善大使達は、それぞれの席で互いの国の情報交換を行っていた。
「今年の園遊会は、あのラフィリルからも、親善大使ご一家がみえていらっしゃるとか?」
「おお、さすがデルアータ王国、かの伝説の国とも親交があるとは…ぜひ、この機会にお近づきになりたいものだ」
「「まったくです」」
「ところで、この国の公爵令嬢イリューリア嬢の噂はもうお聞きに?」
「ええ、何でもこの国の王子と国王の弟である公爵将軍が令嬢を巡って争っているとか何とか」
「この国で一・二を競うの貴公子二人が争うほどの令嬢とはさぞかし美しいのでしょうな」
「ふふふ、噂って言うのは尾ひれはひれ付くものですから、話半分に聞くがよろしいでしょう」
「そうですなぁ。いや、でもまぁ、見目麗しい令嬢がいるのは華やいでよろしかろうし、楽しみではありますな」
…等々、諸外国の代表である賓客たちは実に勝手な噂話に花を咲かせていた。
氷の国エリオルンテ王国、山と湖の国タイターナ公国、海洋国ジャニカ皇国、そしてこの世界の始まりの国とも言われる伝説の国ラフィリル王国という大国からの代表の中には年若き皇子や公女もいた。
この集いはこの世界の平和の象徴であり、その平和のかけ橋の役目をこのデルアータ国がするという事に大きな意味があった。
そして、この晩餐会にはこの国の伯爵家以上の身分の令嬢や令息も参加していた。
そんな中、一部の令嬢達の間では、今年の社交界の話題を一気にさらい、あまつさえこの国の結婚したい男性トップツーである王子と将軍の心を射止めたというイリューリアに対して、良くない感情を抱く令嬢達もいた。
「ふん、何が深窓のご令嬢よ!この国の王子と将軍二人を手玉に取るなんて、とんでもない悪女じゃないこと?」
「まったくですわ!一年遅れで社交界デビューしたばかりで、いくら公爵令嬢と言っても悪目立ちがすぎますわよね?慎みがないにも程があると言うものですわ!」などと嫉妬交じりの悪口を言うのは、侯爵令嬢カーリィとそのとりまきの伯爵令嬢サラである。
何しろ、イリューリアが今年の社交界に現れるまで社交界の蝶よ花よ言われて騒がれていたのはカーリィやサラだったのである。
それが今や、イリューリア、イリューリアと自分達の名など話題にも上がらない。
何より密かに狙っていた王子も王弟である将軍の気持ちまで浚ってしまうなど到底許せるものではない。
いくら身分が上の公爵令嬢とはいえ、これまで引きこもって学園にすら通っていなかった令嬢が自分たちよりも褒め称えられ注目されている事に憤りを抑えきれなかったのだ。
…とはいえ、身分はイリューリアの方が上である。
表だって何を仕掛けることも出来ない令嬢達は、ただ悔しさに表情をひきつらせるのだった。
そして、殆どの賓客達が席についた頃、ラフィリルの一行とイリューリア、そして、国王夫妻が晩餐の間に入ってきた。
そして、人々は感嘆の声をあげたのだった。




