47.決戦当日--12-マルガリータ連行される
「いやぁああああ!!私の!私の石がっ!”黒魔石”がぁあっ!」
マルガリータは両手で頭を抱え半狂乱に叫んだ。
胸元にあったブローチが黒魔石だったのかと皆が顔を見合わせた。
真ん中の黒いオニキスのような石の周りには小さなサファイアがちりばめてあり銀細工で止められ可愛らしいデザインになっていて、とてもそんな恐ろしい石には見えなかった。
語るに落ちたマルガリータは、衛兵に捕縛され牢に入れられることとなった。
無論砕けた黒魔石は回収された。
ルークが手元から放った光は右腕につけたブレスレットから放たれたものである。
そう、そのブレスレットには月の石が嵌めこまれていた。
黒魔石を浄化できる力を持つ月の石である。
その石の力を引き出せるのは血族だけである。
血族…それは、始まりの国ラフィリルの創造主である魔法使い達の血と魔力を内に宿すものの総称とされている。
王家は特に、その血を絶やさぬように意識的に子孫を残してきた。
現国王も王子達も血族だ。
ただ月の石に宿る精霊を従えさせることが出来るのは血族の選ばれし唯一の主ルミアーナだけである。
その主と親友のルークである。
「ダルタス殿、ルーク殿、ルミアーナ様、この女は王城に連れ帰り牢に入れます。今宵の捕物が終われば追って処分も決め、ご報告いたします」
そう言って王は王妃と共に深く頭を下げた。
「ああ、そうしてくれ。その女がいない方が、イリューリア嬢の安全の為にもよいだろう。なぁ、ルーク」
「ああ、賛成だ。キリアク王、私はそろそろ、カルム殿の方を手伝いに行かねばならぬので、ぜひ、そうして頂きたい。この女は王が来られる前にもイリューリア嬢を突き飛ばし、先ほどは頬を打った。こんな女を同じ屋敷内に残しては行けぬ故」と低い低い声で伝えた。
その、イリューリアへ向けられる口調とのあまりの違いにマルガリータへの強い怒りを感じる国王夫妻だった。
「厳重に閉じ込めておきまする」
そう言うと国王夫妻は衛兵と共にマルガリータを引き連れて王城へ帰って行った。
イリューリアが不安そうにルークに話しかける。
「あの、ルーク、お父様の手伝いって…一体、こんな夜中に出かけるのですか?何か危ない事に…」と不安げな顔をした。
「ああ、大丈夫だよ。君のお父上に怪我一つさせはしないから…」
「っ…そんなこと言ってません…私はっ…」
イリューリアは貴方の事を心配しているのよ!と心の中で続けた。
はっとしてルークが慌てて顔をそむける。
心に響くその想いに胸が熱くなった。
「大丈夫だよ。すぐに済むし…じ、じゃあ、行って来るね」と慌ててルークは赤くなった顔を見せまいと逃げるようにパチンと指をならし光が渦巻きルークを隠したかと思うと次の瞬間、姿を消していた。
あとには銀色の光がキラキラと残った。




