41.決戦当日--06-呆れる国王夫妻の怒り
先ぶれもなく現れた国王夫妻を家令やマルガリータは慌てて出迎えた。
イリューリアの連れてきた失礼な客人の事など知った事ではないマルガリータだった。
「ラフィリアード公爵家ご一行とルーク殿はもう来られているのか?」と国王が慌て気味に問うた。
「は?」とマルガリータが呆けた声をあげた。
「ま、まぁ、娘が勝手に連れ帰ったあんな者たちの事を陛下もご存じなので?」とマルガリータが言うと国王夫妻は血相を変えた。
みるみる顔色が悪くなる。
「勝手に連れ帰った等と何を言っているのです!マルガリータ!まさか、国賓であるあの方々に失礼はなかったでしょうね!」と王妃がマルガリータにきつく言い放った。
「ひっ!な、なな、何をおっしゃっているのです?あんなどこの国ともしれぬ小国の…」
「「何だと!(ですって!)」」と国王夫妻が同時に怒りも露わに叫んだ!
「愚か者め!何を血迷った事を!彼らはあのラフィリルの親善大使!ラフィリルは我が国などよりはるかに大きく遥かに歴史の深いこの世界の最初の国だぞ!そんな事も知らずに、よくも貴族を名乗っていられるな!」と一喝した。
「ひっ!まさか!そんなっっ!」
「貴女という人は!貴族の通う学園を出ていながら一体何を学んできたのです!この世界のはじまりの国ラフィリルの名すら知らないなんてあり得ない!」
「まったくだ!それで方々は、今、どちらに!?」と国王が話にならないマルガリータを無視して家令に尋ねる。
「奥の貴賓室に皆さまお揃いでございます。ですが先ほど奥様が、皆さまに失礼な物言いを」と家令が言うと国王夫妻は目を見開き慌てて貴賓室に向かった。
「「何て事を!」」
わなわなと拳を震わす国王が目で護衛でついてきた騎士に目をやると騎士は、マルガリータの腕をつかみ拘束した。
「きゃあっ!何するの?放しなさい!」と騒ぐマルガリータにかまわず、国王が、王妃とともに、家令に案内された貴賓室に飛び込む。
「よく来たな、国王キリアク!」と怒気を孕んだ声でダルタスが、入り口から真正面にある長椅子のど真ん中にどっかりとすわり、腕を組み足を組んだまま、不遜な態度で王に声をかけた。
「ダルタス殿!すまぬ!家令に聞いたが、何やら失礼があったようだ」といきなり開口一番に国王はダルタス公爵将軍に謝罪の言葉を吐いた。
後ろからは王妃が続き、捕らえられたマルガリータがまるで連行されるかのように入ってきた。
ダルタスはあからさまに不機嫌な顔で後ろにいるマルガリータを睨み付ける。
「ふん、そこの女は一体、何様だというのだ。我が国ラフィリルを辺境の小国だと言い、我が国の魔導士を胡散臭い無礼者と呼ぶ」
「「なんと言うことを!」」王と王妃はもう心臓が口から出てしまうのではないかというくらいに驚いた。
「なっ、何なのです。この無礼な男は!事もあろうに国王陛下を前にして足を組んで投げ出すこの態度!国王様、王妃様!捕えられるべきは、この者たちの方ですわ!」とマルガリータは愚かにも、そう進言した。




