40.決戦当日--05-マルガリータ、キレる
マルガリータのあまりの不躾さ加減にとうとうルークは堪えきれずに噴き出した。
「ぷっ!ははっ!あっはははは!」つられて双子の子供達まで笑いだす。
「「きゃはははは!」」
「まっ!まぁ、何ですの?」とマルガリータは、眉をひそめた。
一体、何がそんなにおかしいのかは理解できないが自分の事を笑っているのだという事は解ったからだ。
「あはは、はぁ!いや、失礼、何かツボにはまってしまって」とルークが言うと、ルミアーナもぷっと噴き出す。マルガリータはぴきっとこめかみに血管を浮かべて怒りだした。
「まぁ、失礼な!何なんですの?ラフィリーだかラフルアだか知りませんけどそんな聞いた事もない遠い辺境の小国の者のくせに!私はこの大国デルアータの公爵夫人ですのよ!無礼なっ!謝りなさいっ!」と怒鳴り散らした。
「う~ん」とうめき声をあげてとうとうメイド長のマーサが倒れる。
「ひぇっ」と、声なき声をあげ咄嗟にルルーがマーサを抱えて部屋を下がる。
家令のジェームズに至っては、もうこの女、本当に埋めてしまわなくては!と心底思った。
「お義母様!何て事をっ!このお方はあのはじまりの国ラフィリルの魔導士様でいらっしゃいますのよ!」とイリューリアが義母に駆け寄り叫んだ。
「お黙りなさいっ!こんな無礼者を屋敷にあげて!貴女も貴方ですよ!何が魔導士ですか!胡散臭い!そんな怪しい輩をこの屋敷にあげるなんてっ!」とマルガリータはイリューリアを突き飛ばした。
「きゃっ」とよろけるイリューリアを「おっと」とルークが、素早く抱き止める。
そして、先ほどまでの笑顔が嘘のような絶対零度の眼差しをマルガリータに向けた。
「何をするっ!」
「ひっ」と一瞬、マルガリータは凍り付いた。
ルミアーナはあ~あという顔をし、ダルタスが不愉快極まりないという表情を露わにした時だった。
「奥様、お嬢様、只今、お忍びで国王陛下並びにお妃様がお見えでございます!」と召使の一人が慌てて知らせに入ってきた。
「「「「ええええっ!」」」」とマルガリータや召使一同が思わず声をあげる。
マルガリータは、慌てて召使と共に国王夫妻を出迎えに玄関に出て行った。
突き飛ばしたイリューリアの事などお構いなしである。
いきなり突き飛ばされたイリューリアはルークに支えられて頬を赤らめるも、先ほどの義母の無礼な態度に青ざめた。
「あのっ!ルーク!義母が貴方にとても失礼なことを…!本当にごめんなさい」
「君が謝ることは無い」とルークは優しく言った。




