18.伝説の国からの賓客---02
王の間には国王夫妻とローディ王子、宰相であるカルム・エルキュラート公爵、そしてこの国の将軍であるザッツ・クーガン公爵が、ラフィリル王国から賓客ダルタス・ラフィリアード公爵とその妻ルミアーナを迎えて歓談していた。
話題はもっぱらラフィリアード公爵の妻ルミアーナとイリューリアの『顔』の話である。
「いや、本当に驚きました。本当にうちの娘イリューリアとルミアーナ様はよく似ていらっしゃる」エルキュラート公爵は驚きを隠せぬ様子でそう告げるとルミアーナの方も興味津々だった。
「まぁ、そんなにですの?今からお会いするのが楽しみですわ。イリューリア様のお祖母様はラフィリルの王族だったと聞いておりますもの、私とは遠からず血のつながった親戚ということ…似ていても不思議ではありませんものね」
「「「なるほど」」」
「しかし、鬼将軍と各国に恐れられている貴殿が結婚して家族一番の愛妻家になり果てたと風の噂に聞いた時には耳を疑ったが、よもや本当だったとは…しかもこんなに美しい奥方を…」とザッツが言うとダルタスがにやっとドヤ顔になった。
「ふふん、お前はまだ独身か?可哀想だな」
「なんだと、こいつめっ!こいつめっ!」と大人げなくじゃれあう将軍同士に周りは笑い合った。
ダルタスとザッツは、これまで何度か渡り合った事もある将軍同士であり、国同士が同盟国となった現在はお互いの実力を認め合う良き戦友のような関係だった。
「なぁ、ダルタス殿、時に相談なのだが、案内役のイリューリア嬢の事なのだが、実は彼女は病気かと思うくらい、自分の事を冴えない不器量な娘だと思いこんでいてな…」
「はぁ?イリューリア嬢はルミアーナにそっくりなのであろう?」
「そうなんだが…」
「じゃあ、絶世の美女じゃないか!」
「そうなんだよ!ってか、さらっとのろけるな!」
「いや、のろけるも何も本当の事だ。仕方ないだろう?」
「はいはい、それをね…イリューリア嬢にも気づかせてほしいんだよ」
「何だそりゃ?まぁ、俺は嘘は言わないから、嫁の顔は綺麗だと言うし、嫁の顔とそっくりな娘が自分を卑下していたら、何か勘違いしてるぞ…くらいは言うかもな」
「うん、そんな普通の感じが一番いいかもしれん。たのむ」
「何だかよく分からんが、まぁルミアーナも会うのを楽しみにしているようだし、そろそろ子供達の所へ行くとするか…」
「よ、宜しくお願いします!」とローディ王子も頭を下げた。
「お前は、まず、イリューリア嬢に謝れ!」とザッツに、また頭を叩かれるローディ王子だった。
そんなザッツと王子のかけあいを聞いていた公爵夫人ルミアーナに、
「何々?どうしたの?ローディ王子、イリューリア嬢に何か謝らないといけないような事したの?」とぐいぐい突っ込まれた。
そして、イリューリアが自虐的になってしまった事の発端を皆の前で暴露させられた。
ローディ王子は愛しいイリューリアそっくりのルミアーナから
「あ~、思春期の女の子に…それは…ダメね!最悪…」とダメ出しをされた。
「うわぁあ、も、申し訳ないっ!本当にごめんなさい!反省してますっ!」
王子は思わず叫び、泣きそうになりながら頭をさげたが、
「私に謝ってどうするのよ!事の発端は貴方なんだから謝ってサクッと彼女の思いこみといちゃいなさいな!」と顔に似合わず竹を割ったような性格の公爵夫人は事もなげに言ったのだった。
その後しばらくローディ王子はザッツとダルタスにいじられ、国王夫妻も誰もそれを止めなかったので王子のプライドはズタボロだった。
父であるエルキュラート公爵は、もちろんだが国王夫妻も、事、イリューリアの事に関しては息子に腹を立てていたのだから当然の報いだったのかもしれない。




