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はじまりは初恋の終わりから~(Kindle版公開中)  作者: porarapowan
初恋のおわり
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13/61

13.義母マルガリータ--01

 イリューリアが舞踏会から国王の許しを得て早々に帰ると普段は別邸に住んでいる義母マルガリータが訪れていた。


「イリューリア、お帰りなさい。やはり早々に帰ってきてしまったのですね?心配した通りだわ」

 何故か勝ち誇ったようなドヤ顔の義母がそう言ってイリューリアを出迎えた。


「まぁ、お義母様…どうされたのです?私は本日、社交界デビューの為、王城での舞踏会に出席すると…」


「知っていますとも!だから心配で来たのですよ。貴女が、初めての舞踏会で肩身の狭い思いをして泣いて帰って来はしないかと…案の定、こんなに早く帰って来て…どなたともダンスすらせずに帰って来てしまったのではなくて?」


「まぁ、私を心配して、わざわざ来て下さったのですか?」


「そうよ、大事な娘の事ですもの!私にはお腹を痛めて産んだ自分の子はいませんもの!義理とはいえ貴女の事を本当の娘の様に思っているのですよ」とイリューリアを大袈裟に抱き寄せた。


「お義母様…ご心配ありがとうございます。でも王弟殿下、クーガン公爵様がファーストダンスのお相手をして下さいましたので何とか社交界デビューは乗り切れたかと思いますわ…」


「まぁ、あの猛将で知られる将軍?クーガン公爵様が?それは…まぁ…よかったわ!」と、何故か若干、残念そうにも取れる口調になるマルガリータにメイド達は眉をひそめる。


「ま、まぁ、あの方はお父様の従弟ですものね、きっとお父様が貴女がみじめに一人きりで壁際にいる事の無いよう頼んで下さっていたに違いないわね。本当によかったわ!本当に心配していたのよ?それでなくても社交界デビューが一年遅れて他のデビューの皆さまより出遅れてしまっているし…他のご令嬢達に見劣りして虐められていないかと心配で心配で…」


 この言い様に、側で控えていたメイドのマーサやルルーは、何を言いだすのだと耳を疑った。

 うちのお嬢様に限って他の貴族令嬢に見劣りなんぞする筈も無いではないか!…と。


 何せ、お父上がダンスの相手も頼まないと誰もイリューリアの事など相手にしてくれないであろうとあからさまに言っているのである!

 心配していると言いながらも、先ほどから失礼極まりない言葉の連発にその場にいるメイド達は眉間に皺をよせつつも口出しもできず俯き加減に静かに怒っていた。


 この義母マルガリータは、ことさらにイリューリアに優し気な口調で語りかけるが、イリューリアを侮っているような言葉が格別に多いのである。


 イリューリアが貴族の通う学園にも通わず家で家庭教師をつけて引きこもるようになったのもこの義母のせいだと言っても過言ではなかった。


 学園に通い周りの賞賛の声を聞けば、自分が他人からどう評価されるのか否でも理解できただろうし友人だってできただろう。


 それを、まるでイリューリアを庇っているかのように「旦那様も召使たちも思いやりが足りませんわ!可哀想に!婚約者からのひどい言葉で傷ついた娘ですのよ!これ以上外の世界で傷ついたらイリューリアの繊細な心は砕けてしまいますわ!」とか何とか言って学園にも通わせず引きこもらせた張本人なのである。


 少なくともイリューリアの行く末を心から心配する召使たちはそう思っていた。

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