【e5m2】おーみやくん時限独占(1)
短いですが出来ました。
常田まい先輩……抱きつき魔でキス魔なのな。今まで抑えていた方だよ。逆に言うと、今回はもう遠慮なしというわけだ。校内ですら憚らず、これ見よがしにスキンシップをとってくる。他の生徒や教師に白い目で見られようが、知ったことじゃない。休み時間はまめまめしく登場、昼食も2人っきりで取った。授業中と移動教室前ぐらいだろうか、出てこない時って。
放課後。俺は3年生の廊下を歩いていた。J組、つまり学年の優秀クラスにリーンすると……いたいた、ピンクヘアの一際目立つ女の子。
「先輩先輩」
「(∩゜д゜) あ、おーみやくんだ」
突然の訪問にきょとんする仕草よ。本当、何度会ってもメッチャKAWAIIなんて、チートだよな。六花姸を競うの中でも、“美容と健康”にスキルポイント全振りする先輩に、みんなイラつくわけだ。
「あの、一緒に帰りません?」
「ꉂꉂ(*⁰▿⁰*)!!」
パァッと色が煌びやかになると、彼女はバルンバルン胸を揺らしながら突進、俺を教室の中に引き入れた。
「♡(◍︎˃̶ᗜ˂̶◍︎)◞ ⁾⁾ みなさーん! この人が、まいのダーリンで〜すっ! 今からラブラブ帰たくしまーす! ごきげんよ〜」
その時の連中の顔を想像してほしい。
「(˶‾᷄⁻̫‾᷅˵) えへへ。おーみやくんからさそってくれて、うれしいな❤︎」
eスポーツ同好会室でイチャついていると、どうなるかわかるだろ? だからしばらくは寄らずに、彼女と直帰すると決めたんだよ。
腕にベッタリする先輩を見る。いつも糸目でニコニコ愛嬌が絶えないが、今は取り立て上機嫌なのな。
「(˶‾᷄⁻̫‾᷅˵) まいちゃん幸せ〜」
ひょっとして先輩の策なのかも……とうがった見方した。今日までの下地作りとして、先輩はヒロインと騒ぎを起こすよう立ち回った。そうすると俺は、その回避のため先輩につきっきりになる。要は、厄介事が嫌いな俺の性格を逆手にとったわけだ。
「(๑˃̵ᴗ˂̵) ねー今から駅に行きたいな。コインロッカーに、にもつがあるの」
俺の有無を言わさず、グイグイと引っ張って歩いていく。このエピソードでは、どんな騒ぎが起こるんだろうなと、かなり不安だった。
次もほぼ仕上がっているので、そこまで間をおかず出せそうです。