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大宮伸一は桜カレンにフラグされた。  作者: 海堂ユンイッヒ
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【e5m1】メインヒロイン昇格

というわけで、新エピソード開始です。よろしくお願いします。

 ユーザーが定義したこの作品への人気タグ:(?)

FPS 暴力 ビジュアルノベル シミュレーション シングルプレイヤー マルチルプレイヤー 協力 KAWAII 物語 ロマンス カジュアル コアゲーマー おっさんホイホイ 笑える 亡きゲー 教育 雰囲気 第二次世界大戦 色気表現←(NEW!) 部分的ヌード←(NEW!)


「お前マジで売りさばいたんか……偽物だろ⁉︎」

「100円でめっちゃ売れた。けどさぁ、生徒会に見つかって――」

 その時、教室のドアが勢いよく開き――

「o(•̀д•́)o スーパー……ッ!」

 アニメ調のまろい声が響くと、アサルトクラスの桜カレンは、片手でパチンと顔を覆った。

「٩(ˊᗜˋ*)و まいちゃんターイム!!! みなさんに、かいせつしy――」

「誰も興味ねーよ!」

「(˶‾᷄⁻̫‾᷅˵) うふふ。サブヒロインちゃんは、今日も元気だね」

 カレンの嫌味に対し、コマンダークラスの常田まい先輩も応酬を辞さない。前エピソードのハバディウム採掘ミッションで、カレンは先輩から補給を受ける代わりに、本エピソード限定でサブヒロインに落ちたのだ。そうしなかったら、今頃俺らはゲームオーバーになっていたかもしれない。

 下克上成就した先輩は、上機嫌にピョンと教卓に登って、全ヒロイン中で群を抜いて巨大な胸をブルンと張った。

「⸂⸂⸜(◍︎˃̶ᗜ˂̶◍︎)⸝⸃⸃ これからまいとおーみやくんの、ラブラブ家族計画が始まりまーすっ!」

 声高にクラス中に宣言する。メディックの鹿島梢が呆れてやってきた。

「恋人を飛ばして、もうそこまで行ってるの?」

「俺に聞くな」

「(◍︎˃̶ᗜ˂̶◍︎) キャー❤︎ 〽ビバビバけっこん、ビバけっこん。おーみやくんと、ビバけっこん❤︎」

 即興の歌と共に、1人妄想しながらクルクル舞う。あれが普通の人だったら、『頭パーなんじゃね?』と呆れるが……常田先輩のように美人とKAWAIIの両方取りで、ピンクのセミロングヘアで、アニメボイスで、すんげー甘い匂して、しかも巨乳ヒロインがやるとなると――

「かわい――あ、ち、違うって。なにやっても“変わってる”の間違いっす」

 アサルトとメディックが、ジト目で睨んでいた。

「おいチビッ! ピンクが出やがったぞ! ウゼーからさっさ駆逐しろ!」

 どことなくカレンが叫ぶと、スローモーになって、教室の窓ガラスがブチ割られた! グラップリングガンにしがみ付き、特殊部隊よろしく突入してきたのは、コバートオプスの辻のぞみだった。

「Σ( ˙◊︎˙◞︎)◞︎」

「あな小面憎し! またもや浅猿(あさま)しき 讒言(うわごと)(さえず)りおって!」

 ヤベェ、既に癇癖(かんぺき)顔と憤怒(こえ)が出来上がってる。しかし先輩も先輩だ。辻さんの怒りに紅潮なんぞ、何事かあらんという態だった。

「( *¯ ³¯*) のんたんごめんねー。このエピソードで、おおみやくんは“常田まいルート”に分きして、『フラグされた』は終わっちゃうからー」

「宮どのッ!!!」

「だから俺に聞くなってwww」

 普通は従容(しょうよう)とし、器量が良く所作も美しい辻さんだが、今や生成(なまなり)の面魂である……。

「なああん? また遊びよっとー? ウチらも混ぜんね♪」

「笑えるシーン、見過ごせない」

 あちゃーと片手でパチンと顔を覆った。移動教室から帰っている途中の、エンジニアのミーガンとスナイパーの小早川ささみ氏も登場した。これは余計に話がこじれそう。

「ごめん。ちょっと疎開の準備だけしておいて」

 既に不穏な空気が垂れ込めているのを察知した俺は、あらかじめクラス連中に勧告しておく。放課前はここ2年F組が悪党の(たむ)ろする巣窟となって、本当に迷惑千万だ。

「(˶‾᷄⁻̫‾᷅˵) あ、めぐたんにささみんだー。ということは〜みんなそろったかな?」

 自らのエピソードでメインヒロインの座を勝ち取り、キラキラ今をときめくコマンダー先輩は、相変わらず教卓の上に陣取っているが、ここが好機とばかりに、他ヒロインに下令する。

「( ´艸`) 今までもり上げ役ありがとー。今から、まいが“おーみやくん時限独占”するから、みんなおじゃまなの。なので――」

 ここで可愛らしくグッと声をチャージする。

「⸂⸂⸜(◍︎˃̶ᗜ˂̶◍︎)⸝⸃⸃ ヒロインさん、全員たい場ー!!!」

 1人盛り上がる中、一層濃くなった不穏を察した連中は、音も立てずにいなくなっていた。もうね、慈悲深い鹿島まで顔が引きつっている。しかし下には下がいて――

「ええい、もう堪忍袋の緒が切れ申した! 百敷(ももしき)の女たらんという(くろがね)の一念侮るなかれ! いざいざ太刀拔合わせん、常田まい! かくいう此は辻家重代の宝刀、“鬼切(おにきり)”。その名に愧じず鬼をも(ひし)ぐなり! 汝も刀の(さび)にしてくれるわッ!!!」

 と武者声荒げて、吠え狂い罵り叫んだ! インベントリから取り出したその纖手(せんしゅ)には、伝説の日本刀を抜いている。(とき)も上がり、いよいよ女丈夫(おんなじょうぶ)どもの組んずほぐれつ、今や始まらんと、廊下から恐々とした目が注がれたが――

「( ˙³˙) ぼー力はきらいだよ。オニさんかわいそうだし、まいの恋は切れないよ?」

 これである。相手がカレンだったら、お互い気が上がって即デスマッチとなるのだが、さすが上級生だ。鳴きとよむ辻さんの挑発に乗らず、あくまで先輩はマイペース。小早川氏は、手を顎に当て何やら感心していた。

「“鬼は切れても、恋は切れぬ”か……」

「腹立ちまする!!!!!!」

 捨て場に困る怒りの余り、辻さんは濃紅潮、長い玄鬢(げんぴん)を逆立て、天を仰いで切歯扼腕(せっしやくわん)。その破れ鐘声は万雷の如く、学舎はおろか近傍(きんぼう)まで(こだま)した。耳を塞ぐカレンは呆れた。

「オメー血が上りすぎだろ? 献血でもしてこい」

「200ml、よろしくね」

「あのさーお前、いっつもカレンか先輩に喧嘩ふっかけるか、悪口申し奉ってるよな? すげー嫌なヒロインだぞ?」

 ベーンと琵琶のサウンドエフェクトが鳴った。

「あ、あ……あんまりでございまする〜〜〜!!!」

 そして俺から思いもよらぬ苦言を呈された辻さんは、ワッと顔中を涙にしてしまった。

「(;-`д-´) あ、泣かせた」

「女子を泣かせた」

「いかんばいシン」

「待て待て、だまされるな。これは古典の様式美だ」

「おのがいとめでたしと見奉るをば、尋ねも思ほさで、かくことなる事なき人を率ておはして時めかし給ふこそ、いとめざましくつらけれ……」

 六条院御息所(みやすどころ)かな? ショボ降る涙を掻き拭う(かんばせ)は、朝露濡れた紅芙蓉(べにふよう)に似て、色香鮮鮮(あざあざ)としていた。

「……宮どのの仰せは 、ちと心外にぞんぜられる」

「ꉂꉂ(ˊᗜˋ*)ʬʬ だっておーみやくんは、まいの味方だもん」

 いつの間にか、先輩は俺の腕に絡みついていた。しっかし、先輩の誘引フェロモンであるバニリンは強力だな。物質をなめたら、ネオテーム並みの甘味がありそう。

「(˶‾᷄⁻̫‾᷅˵) ねーおーみやくん❤︎」

「は?」

「( *¯ ³¯*)」

「「「「「」」」」」

 迂闊……彼女の手が俺の両肩に軽く添えられると、軽く背伸びをする。彼女は目を閉じ、その水々しく潤った花の唇を、そのまま俺に“致命的臓器ヒット”として食らわせた……。他ヒロインどもは絶句、クラスは色めきだった。

「腹立ちまする、立ちまする!!!」

「うわっ、振り回すな。そのあぶねーもんサッサと仕舞え!」

「٩(゜∀゜三 ゜∀゜)۶  キャー❤︎ またしちゃった、チューしちゃった! まいちゃん大たーん!」

 照れ隠しに、彼女は俺の頭をがっしり掴んで、その豊満な胸に押し付けた。視界が真っ暗で、息すらできない。これってまた酸素欠乏フラグですかぁ?

「まいのおっぱいで、いっぱいいやされて(・・・・・)ね❤︎」

「職分は守りましょうね♯♯♯(オートミールおじさんの笑顔)」

 俺と先輩を即刻引き離したのは、他ならぬ鹿島だった。微笑みやわらかなうちにも、威嚇のある声で、拳すら握りしめていた。

「怖っっっわ!」

「;;(˃̵͈᷄⌓˂̵͈᷅);; ご、ご、ご、ごめんなさーい!」

「いやはや剣呑(けんのん)剣呑。鹿島大明神に聊爾(りょうじ)働くとは、相当おつむりのイカれ具合よ。あなかしこ……」

 一番怒らせたらヤベェヒロインって、間違いなく鹿島様だよな。

「ま、シンも駄目利きやね? シリコンバレーに顔ば埋めたって硬かろーもん?」

 メグのジョークに、人々はドッと湧いた。巨乳で言えば、唯一先輩に張り合えるヒロインだ。まあ、ハーフの彼女はそもそもガタイが良いからな。

「( ・᷅ὢ・᷄) まいちゃん天然だよっ!」

「ウチもばってん?」

「自分も」

「わ、私も……///」

「申すに及ばず」

「アタシもっ!」

「お前は注入しろ」


Shinichi was blasted by Karen's Panzerfaust!


「Σ( ꒪艸꒪) きゃー⁉︎」

「ブンダバー! デイリーミッションクリア!」

「今のは大宮が悪い。セクハラ」

「えっと、騒ぎが収まらないようなので、とりあえず次回へ続きます。今回も読んでくださってありがとうございま――」

「あーその台詞、アタシも言ってみたかったのにー!」

既に13,000字ほど書いていますが、続きではなく、部分部分という変則的な執筆をしています。今回と次回は、台詞の確認が大変なので、そっちに時間が取られそう。

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