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大宮伸一は桜カレンにフラグされた。  作者: 海堂ユンイッヒ
42/212

【e2m12】チートはしていない

ごめんなさい、やっと書き終わりました。

「カレンとメグの奴、どこ行ったんだよ……これ暑いし重いしたまらんぞ」

 防爆アーマーを着るよう言われた大宮くんが、インカム(全員こっそり装備)を通して不満を漏らします。しばらく試合は中断、みんなは守備位置でぼんやりとしていました。

 今日の天気も快晴、そよ風が心地よく頰を触ります。つばめの楽しげな(さえず)りが……エンジンとキャタピラ音にかき消されていきます。門が踏みにじられたかと思うと、ヘッツァーが全速力で乗り込んできました。

『リリーフカーかな?(すっとぼけ)』

 戦車はそのままマウンドに直行。マズルブレーキは擲弾(てきだん)発射機になっており、先からボールが見えています。対面しているのは大宮くん……。


Shinichi was fragged by Meg’s tank gun.


「ブンダバー!」

 車長(カレンちゃん)がキューポラから出てきました。

「ダメやん。火薬減らしたばってん、シンの耐えられん」

「けど絶対打たれないでしょ? 次弾装填!」

「判定見てみ。ちかっぱ下げとるばってん、俯角(ふかく)ん足らん」

 カウントボードの緑色が点灯していました。残念、また無益なフラグでしたね……。

「チッ。せっかくユニフォームと同じ色にしたのに……出オチじゃん!」

 カレンちゃんは降車、メグちゃんは車両を脇に持っていきます。私は蘇生回復。

『大丈夫?』

「全然役に立たんわコレ!」

 憤慨してヘルメットを外そうとしますが、重すぎてもがく他何もできません。

「モタモタすんなバカ! 早く脱いで!」

『インベントリーから外せば一発だよ』


 試合再開です。現在ワンボール、ツーストライクです。それはそうと、カレンちゃんすごいね。全然フォームが崩れないし、球速も維持してる。ストレートしか投げれないのが残念だけど。

 投げた! 打った! サードゴロ! メグちゃん取った! グローブ捨てた⁉︎ スプリングフィールドライフルの擲弾発射機にボール装着!

「Gotcha! サミー!」

 1塁に発射ぁ! アウト、アウトです! やったー! けど小早川さん、捕球した手首すごく痛そう……。

「Phew, やーっと討ち取れたばい。キャレンのアイデアも悪くなかね」


 さあ、この調子でアウトを取っていきましょう。けど、フラグはしないで欲しいな。

「おいピンク」

 目線はしっかりと相手キャプテンに据えながら、ピッチャーは落ち着いた声で、まい先輩に呼びかけます。

「(´•ω•) なぁに?」

「わかってるよな?」

「(;-`д-´) そんなこと言われても、わからないよ」

「もー! こいつは強打者で、またスタンドに叩き込むつもりでしょ! だったらわかれ!」

 セットポジションを崩し、レフトにワンワン吠え立てます。

『私や大宮くんじゃないから、以心伝心は難しいって』

「(*´-`) お空にポンポンするの?」

「今すぐ下令しろ。場所間違えんなよ」

 投げた! キャプテン打った! 打球はまたグングン伸びていく! それを阻止するかのように、上空に88(アハトアハト)の色弾幕が一斉に張られます!

『破片にご注意下さい……あ、残念。ホームランです。やっぱ目標が小さすぎたね』

 対空砲火は今や祝砲のように鳴り続いています。チーターズは脱力、更なる戦意落胆を被りながら、悠々と走っていくキャプテンを見送ります。


【桜チーターズ:0 - 5:東ライオンズ】


「ピンク!!!」

「˚‧º·(˚ ˃̣̣̥⌓˂̣̣̥ )‧º·˚ ちゃんと言う通りにしたもんっ!」

「マジ無能……ささみ、オートエイムとかで撃ち落とせる?」

「それは無理ね」


 さて、今ランナーが1塁にいて、左バッターです。

「ピンク気をつけろ。あいつお前の方を見た。流すかもしれん」

「(๑°⌓°๑) ふえ? 何を流すの?」

「……なんもわかってないし」

「キャレン、ランナー来るけん先輩(しぇんぱい)のバックアップできん」

「アタシがやる」

 カレンちゃん投げた! 打った! ボールはレフトフライに! ボットが駆けつけましたが、ぼんやりと立っている先輩が進行の邪魔となっています。ボールは、その足元に落ちました。それを指さしながらニコニコしています。

「(๑❛⃘ᗜ ❛⃘)੭⁾⁾ まい大じょうぶだったよ!」

「誰も心配してねーよ! さっさとボットに渡せ!」

 その間、ランナーは3塁に猛進中!

「ふひひ、悪魔ん花園になっとるばい。ちかっぱ危なかよ?」

 なんと! 塁の周囲にはMの印字された小旗が至る所に!

『地雷にご注意ください』

 ランナー跳躍! 見事に地雷を回避し塁を踏み、そのままホームに!

「What the hell?」

「(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭⁾⁾ えーい!」

 先輩、ぎこちなく送球しました。けど全然距離が足りません。ボットに送球を任せればよかったのですが……。対応完了とばかりに定位置に戻っています。カレンちゃん、既にマウンドから援護に来ていました。捕球、パンツァーファウストの弾頭(火薬抜き、ボール用の凹み有り)に装着! バックホーム!


Shinichi was fragged by Karen’s Panzerfaust.


【桜チーターズ:0 - 6:東ライオンズ】


「バカァ!」

(しょう)(すで)に興もさめ、こと苦うなりまする。櫻どの。常に直球のみ臨んで、常に打たるること限りないではないか。変わり球こそありなむ」

「投げ方知らん! どこに飛んでいくかも知らん!」

 続けましょう。3塁にランナー、ワンアウトです。メグちゃんは、土嚢、竜の歯、ヘッジホッグ等の障害物を3塁線に設営済み。こんな茶番に付き合ってくれるライオンズの皆さんには、チーターズを代表して感謝します。

 投げた! 打った! ライトのボットが反応。捕球アウト! 犠牲フライです。

 3塁の走者は竜の歯を避け、土嚢を乗り越えています。塁には既に有刺鉄線が置かれ、後戻りできない模様。

「ヘイヘイ、ボール!」

 受け取ったカレンちゃんは、やはりパンツァーファウストの弾頭(先と同じ仕様)にボール装着! 発射!

『あのぉ、ランナーは狙わないで下さい』

 幸運にも外れましたが、走塁妨害により進塁が認められました。


【桜チーターズ:0 - 7:東ライオンズ】


「ちょおおお!」

「バカめ。イライラが頂点に達して、とうとう相手に仕掛けやがった。ガキの試合じゃねーか」

「まさに()稚児(ちご)と言わずして、何と言いましょう」


 その後、ピッチャーゴロであっけなくアウト。攻守交代です。多分ライオンズさんは、故障者を出したくないので、わざとそうしたのでしょう。いよいよチーターズは最後の攻撃になりますが、これ勝てるの……?

次で野球イベントは終わります。

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