【e2m11】手も足も出ない
地の文なしじゃきついです。試しにやりましたがもうやらない。
さて桜チーターズは、一気に4失点という目に遭いました。ボットの活躍で、なんとかスリーアウトを取ってイニング終了。この試合は3回までなので、あと2回しか攻撃は残っていません。
「人間のような立ち振る舞いがー、とか言ってた俺がバカだった。明らかにボット以下じゃん」
「(¯―¯٥) もーあきたー」
「オメーが1番足引っ張ってるだろ! 仕事しねーなら、さっきのポイント無効! シンイチ差っ引け!」
「いや、先輩わざとやってるわけじゃないから、そりゃねーだろ?」
「(灬╹ω╹灬) おーみやくん♥」
「んな時だけ優男になんなコノヤロー!!!」
有能なカレンちゃんが、もどかしさの余りに、目を釣り上げます。まあ、ケンカせずに攻勢に入りましょう。
『次のバッター、エンジニアのメグちゃん。解説の大宮くん、どうでしょうか?』
「急に振るな……まあ期待できるんじゃね? 身長高くて体幹もしっかりしてる」
「Hahaha. 見ときんしゃい!」
『さあ肩で風を切って入りました。1球目見逃し。2球目はボール。3球目打った! あー残念ショートゴロ!』
「かー! あげん球速あっと思わんやった。タイミングん合わん」
『次、スナイパーの小早川さん。皆さーん、経験者ですよー』
「警戒心、上げないで」
『ご、ごめんなさい。さあいざ尋常に……初球打ち! おあ〜ピッチャーライナー! けどファインプレーです残念……』
「ごめん」
小早川さんの表情はいつもと変わらないものの、気まずさから目を合わせずにいます。しかし大宮くんはすかさずフォロー。
「ドンマイ。今のは向こうの運がよかった」
『えっと次のバッターは、私、悲劇のヒロイン鹿島梢。まともに挑めば、見逃し三振が関の山ですね。なので、交渉して塁に出させてもらいます』
メニュー画面>交渉>東ライオンズ>提案>フォアボール>交渉成立
お知らせ【次のヒロインは出塁します:鹿島梢】
『やったね!』
「は? なんなんあれ?」
「鹿島流ソリューションだな。RPGかよ」
「頗るめでまどうなり。こずゑどのの徳をばあるなりけり」
『さて1塁からお伝えしております。ボットは打席に入らないので、バッターは再びカレンちゃん。唯一安打を記録している選手です』
「ヘッ、梢ちんも悪知恵回るじゃん。アタシは正々堂d――」
お知らせ【東ライオンズは故意四球を選択 次のヒロインは出塁します:桜カレン】
「ちょおおおお!」
『うわぁ。私が2塁、カレンちゃん1塁にスポーンしました。警戒されてますねぇ』
「つまり、俺が狙われてるってことじゃん……」
「なああん、そげん弱気になって。シャキッと気合いば入れて行かんね!」
ストライク→ストライク→ストライク→アウト(スリーアウトチェンジ)
Shinchi was fragged by Karen's Panzerfaust!
『はは……残念』
「( ᵒ̴̶̷̥́_ᵒ̴̶̷̣̥̀ ) おーみやくんかわいそう」
「本当にあの人、主人公なの?」
「かひなきこと。櫻の忿怒の毒を銜みて、亦た殺害の意を停めず」
「フェアじゃない!!! あっち野球スキル全開って卑怯すぎっ!!!」
2人残塁で攻守交代。キャプテンが、場内放送もかくやと思わせる音量で喚きます。
「いてて、最初からこうなるってわかれよ……」
「もー我慢できねー! メグ、梅っぴに繋いで!」
「Yawohl!」
すると、メグちゃんが野戦電話機を取り出しました。学校の内線に繋いでいるようです。
「……もしもし? アタシアタシ! ちょっと音鳴るけど気にしないで(ガチャン!)。うし許可とった」
『何の許可かな?(オートミールおじさんの笑顔)』
「ピンク耳貸せっ!」
「Σ(˚ ˃̣̣̥⌓˂̣̣̥ ) きゃっ! いたいよ」
カレンちゃん、すっごい悪い顔してます……。
「(・᷄ὢ・᷅) いーの? そんなことして」
「スポーツに故障はつきものっしょ? ねぇみんなぁ?(ゲス顔)」
「(。•́︿•̀。) かわいそーだよ?」
「(顔で大宮くんの方をしゃくる)なかよしポイント欲しくね?」
「٩(๑ᵒ̴̶̷͈̀ ᗜ ᵒ̴̶̷͈́)و ほしー! (スマホに)こう空たいですか? 運動場にどかーんと、ねがいまーす!」
「おい……お前何そそのかした?」
「うひひひ」
上空にけたたましいエンジン音が聞こえたかと思うと、ピンク色の爆撃機部隊が……って実況してる場合じゃないよ!
『ライオンズさん逃げてー!』
「もー遅いっ! 全員吹っt…………あれぇ⁉︎」
モンスターフラグの大惨事が脳裏をよぎりましたが、飛行機はただ上空を通り過ぎただけでした……よかった。
「うぉい! なんなのアレ⁉︎ 花火玉1発も降ってこねーじゃん!」
カレンちゃんは先輩の胸ぐらを掴みます。
「( ᐛ )و ちゃんと運動場って言ったよ?」
「ここ、第2、運動場」
「ってことは……?」
時を置かずして、本校舎の方から破裂音が、幾度となく聞こえてきました。野球部やサッカー部は、大わらわに違いありません……。
「もっかい呼べ!」
「(๑•́ ₃ •̀๑) む理だよ。1回ひ行きよんだら、まいちゃんくーるだうんだよ?」
「こんのぉ無能……!」
「(..◜ᴗ◝..) それより、なかよしポイントちょーだい!」
「ヘラヘラすんな! そこで反省しとけアホ!」
「˚‧º·( ᵒ̴̶̷᷄ д ᵒ̴̶̷᷅ )‧º·˚ ええええ⁉︎」
「メグ! ささみ!」
スタメンを全員故障者にするという、チートじみた攻撃は、先輩のおとぼけによって回避されました。しかし、カレンちゃんのあの悪い顔は諦めていませんね。
「宮どの。疇昔妾会の要件を密かに拝見しせり。曰く“認める。ただし高校生として云々”と。彼の一撃、則ち甚だ以つて不可也」
「先輩はまだ入会届出してないから(震え)」
「ROG. すぐエンジンあっためるけん!」
「梢ちんっ!」
凛々しい声が私にも及びます。
『はい』
「身体ステータスがアップするアイテム持ってたよね?」
『あるけど……それドーピングじゃない?』
「大丈夫大丈。正式な試合じゃないし、ちょっとスキルの差を埋めようよ?」
『気が進まないなぁ……』
確かに正式な試合じゃないし、アドレナリン注射もれっきとした私のスキルなので、真っ黒なチートではありません。けど、相手は納得するでしょうか? カレンちゃんは、肩幅を寄せて囁きます。
「ちょっと考えて。これから逆転劇で活躍しないと、読者に“蘇生以外何もしなかったヒロイン”とし――」
『はーい、アドレナリン置いとくから1本ずつ取ってねー』
「おい……グラウンド中に声流れとるぞ」
『ビ、ビタミン剤ですから(震え)』
>BOTSKILL inhuman⏎
「しかもボットんスキル、上げとる……」
「シーッ! 黙ってりゃわかんないって」
「絶対にわかるレベルです。本当にありがとうございました」
『さあ、私たちの本領発揮ですよ! ってことで、今回も読んでくださってありがとうございました!』
次回からまたはちゃめちゃになります。ネタはまとめましたが下書きすら書いていないので、ちょっと時間を貰います。