【e2m8】全員集合
見直せば見直すほど誤字や変な表現や矛盾が出てきます。今後も見直しは行なっていくので、ご容赦ください。
放課後、我ら即席のeスポーツ同好会と女子ソフトボール部は、第2運動場に集まっていた。奴さんらは、既に声を張り上げながらキャッチボールや準備運動などをやっている。
一方、我々はというと――
「なん? 先輩もかたると?」
「ꉂꉂ(๑ˊ͈ ꇴ ˋ͈) はーい! まいがんばりま〜す」
「今日は紫外線が強いのね」
「( 〃 ❛ᴗ❛〃) はいはーい! 日やけ止めあるよー」
「ありがとうございます」
「チッ、あの一寸婆やっぱ来ねーか」
「Huh? 誰ねそれ?」
「スッゲーうざい奴」
女性4人寄ればなんとかと言うが、全くその通りだ。とめどなく無意味な会話が流れて、文字起こしする気にもならん。
「なああんシン。そげんか所におって」
なんだか居心地が微妙で、少し距離を置いていたが、それは相手を含めて黒一点だったからだ。
「(๑´∀`๑) そーだよ、こっちきて。まいのおとなりにいて!」
「腕組んでる……」
「WOW」
またしても先輩に絡まれた。それはともかく、さっきからなんかモヤモヤするんだよ。何だろう……?
「ねーシンイチィ、なーんか変じゃない?」
「偶然だな。俺もそう思ってる」
「何か重要なことが抜けてるような……」
「辻さん?」
「いや、それはわかってる」
「(´•ω•) こずえちゃんもいないよ?」
「「!!!」」
俺とカレンは、青ざめてお互いを見交わした。
「アンタ……梢ちんにソフトやるって言ったよね?」
「いや、それは企画者のお前が言うべきだろ……」
カレンは慌ててスマホを取り出し、鹿島にかけるが繋がらない。帰ったか? そこで、急遽メグから野戦電話機を借りた。
『梢ちん! アタシアタシ! 今すぐ第2運動場来てっ!』
校舎の方からカレンの甲高い声が響いた。どうやって校内放送に接続したんですかねぇ?
『あと聞いてるか古典チビ……。シンイチ、あいつの名前は? つじのぞみぃ。おめーもさっさと来やがれ』
うって変わって、ドスの効いた低ーい声で唸る。
「⁽⁽٩(๑❛ᴗ❛๑)۶⁾⁾ こずえちゃ〜ん、こっちこっち! あ、のんたんもいるよ!」
鹿島は、俺らが引いてしまう程すこぶる笑顔だった。
「私は“いらないヒロイン”なのかな?」
「ちょっ! 違うの、違う違う! 誤解だって。そんなんじゃないから!」
あーあ。鹿島を怒らせたら色々怖いぞ。
「シンイチがちゃんと確認しなかったのが悪いんだって。1発フラグして、憂さ晴らししなよ。アンタもほら、誠意を込めて謝って!」
「なんで責任転嫁するんですかねぇ」
「ねぇキャレン、それよかこっちば紹介してくれん?」
気を利かせたのか、メグが話題を変えた。
「あら? 辻のぞみさんじゃございませんか。信じられないほど身長が小さくて、気づかなかったワ」
カレンの白々しい声色と表情。相対する辻さんは、遠山の眉を寄せてカレンを睨めつける。
「ほ。妾参加せじ。唯之を見るのみ」
「ハッ! 左様ですか。ならしゃーない。ベンチで見させてやるわ。バッターボックスでも見させてやるわ。守備位置からも試合見させてやるわー」
「ところでカレン」
小早川氏がツンツン突いた。
「あっちはフル装備。自分たちは?」
「あ……」
カレェン……ユニフォームはおろか、バット1本ねーじゃん。
「不戦敗だな」
「どうしよう、奪ってくるとか?」
「んなバカなことできるか!」
「⁽⁽٩(๑˃̶͈̀ ᗨ ˂̶͈́)۶⁾⁾ はいは〜い! まいちゃんがなんとかしますよ〜。おーみやくーん」
先輩はスマホを取り出して――
「(✿ฺ´∀`✿ฺ) へいたんぶさん? まいの所に、9人分のソフトボールそうび一しきをねがいま〜す!」
と陽気に要請する。すぐに1機のレシプロ輸送機(ピンク色)が上空に現れた。
「(ᵒ̴̶̷ωᵒ̴̶̷* ) まいちゃん、サプライよべるのですっ!」
皆が感心する中、ドヤ顔で俺にアピールしていると、彼女の真下に投影された影がだんだんと大きくなってゆく。周りが一歩引いた。
「( ᐛ ) ん? どーしたの゙ッ!!!」
Mai was smashed herself or something.
補給品を満載した大きな木箱が、文字通り“まいの所”に投下された。パラシュートじゃなくてハートや星の形をしたカラフルな風船が括り付けられてら。うつ伏せになっている先輩に駆け寄った。
「うわー大丈夫ですか?」
【❦彡Maiちゃん✮彡】:oomiyakun no chuuu de fukkatu dayo
「どさくさに紛れて、変な事チャットで打たないで下さい」
鹿島が蘇生用注射を取り出す。
「櫻どの、木の杭は有るか? 即ち、彼奴の心の臓腑に穿ちて、苔下に送りましょうぞ」
「wwwwww」
あのさ、お前らパソコンを巡って牙を剥きあっているけど、実は仲いいだろ?
「( ;ᯅ; `) ふえーん。おーみやくん、ちゅーしてくれなかったぁ!」
地べたに女の子座りして、白々しく泣かないでください。
「◟(∗ ˊωˋ ∗)◞ それで? それで? 今のごほーしで、まい何ポイントもらえた?」
「3」
「Σ(❁°͈д°͈) 少なっ!」
「オッケー野郎ども、アイテム取って!」
キャプテンのカレンが声を上げると、各々は箱を取り囲み、インベントリ画面を開いた。そして、ユニフォームと用具を自身のポートレイトにドラッグ&ドロップ。一瞬で装備完了だ。デザインは、eスポーツ選手のそれのようで、カレンは満足していた。
「辻さんどーした?」
「妾再度言わん。加入せじ」
「何ば言いよっと? ここまで来て参加せんとかいかんばい。ほら、はよ着替えんね!」
「恵どの⁉︎」
「(੭ु╹▿╹)੭ のんたん早く早く! はっ! まい、おーみやくんにユニフォームすがた、アピールしなきゃ!」
IVってこんな感じなの? 貴女は確かにKAWAIIから、何着ても何やっても見栄えします。だからもう止めてください……。
「よく見ろチビ助。あのピッチャーに対抗するには、ボットじゃ無理なんよ。アンタの力が必要ってわけ。もう意地張って負けるなんて御免だね。お願いだから協力してっ!」
勝負を目前に控えたカレンは、素直に辻さんに願い出た。相手ピッチャーのウィンドミルを見ると、遠目でもすんげースピード出てやがる。カレン、確かに先輩や辻さんを加えろと言ったが、素人にあれ打ち返せるか? 甚だ怪しいぞ?
「……止むを得じ」
小さくつぶやくと、ユニフォーム姿に変身した。カレンはニヤリと笑った。
「っしゃ! パコーンとホームラン連発して、あいつら泣かせるぞ!」
「あはは……そだね」
鹿島は俺を見て、『泣きを見るのはこっちだよ』という表情になった。続けて言う。
「ちなみに、この中で経験者いる?」
「……」
死んだような沈黙。フレンドで作ったチームなんで、そらそうだよな。
「……はい」
おおっ! 小早川氏が控え目に挙手した。ほんの少し希望が持てるような……。
「( •̆ ·̭ •̆)℥ まい、ルールわかんない……」
「ボールを打つか、投げるか、取るか、それか走るか! それだけっ!」
一喝すると、試合を開始するため相手方に歩いていくカレン。
「(´-﹏-`;) そう言われても、わかんない」
「大丈夫です先輩。俺もわからないですし、みんなもよくわかりません」
「ディフェンスどげんすっとやろ? キャレンなんも決めとらんやん」
「適当でいいよ適当で。足りない分はボット出して埋めるだろ?」
「貴方、ヤケになってない?」
「相手を見ろ。まともに張り合えると思えん。だから適当でいーんだよ」
今回も読んでくれてありがとうございました。