表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大宮伸一は桜カレンにフラグされた。  作者: 海堂ユンイッヒ
38/212

【e2m8】全員集合

見直せば見直すほど誤字や変な表現や矛盾が出てきます。今後も見直しは行なっていくので、ご容赦ください。

 放課後、我ら即席のeスポーツ同好会と女子ソフトボール部は、第2運動場に集まっていた。奴さんらは、既に声を張り上げながらキャッチボールや準備運動などをやっている。

 一方、我々はというと――

「なん? 先輩(しぇんぱい)もかたると?」

「ꉂꉂ(๑ˊ͈ ꇴ ˋ͈) はーい! まいがんばりま〜す」

「今日は紫外線が強いのね」

「( 〃 ❛ᴗ❛〃) はいはーい! 日やけ止めあるよー」

「ありがとうございます」

「チッ、あの一寸婆(いっすんばあ)やっぱ来ねーか」

「Huh? 誰ねそれ?」

「スッゲーうざい奴」

 女性4人寄ればなんとかと言うが、全くその通りだ。とめどなく無意味な会話が流れて、文字起こしする気にもならん。

「なああんシン。そげんか所におって」

 なんだか居心地が微妙で、少し距離を置いていたが、それは相手を含めて()一点だったからだ。

「(๑´∀`๑) そーだよ、こっちきて。まいのおとなりにいて!」

「腕組んでる……」

「WOW」

 またしても先輩に絡まれた。それはともかく、さっきからなんかモヤモヤするんだよ。何だろう……?

「ねーシンイチィ、なーんか変じゃない?」

「偶然だな。俺もそう思ってる」

「何か重要なことが抜けてるような……」

「辻さん?」

「いや、それはわかってる」

「(´•ω•) こずえちゃんもいないよ?」

「「!!!」」

 俺とカレンは、青ざめてお互いを見交わした。

「アンタ……梢ちんにソフトやるって言ったよね?」

「いや、それは企画者のお前が言うべきだろ……」

 カレンは慌ててスマホを取り出し、鹿島にかけるが繋がらない。帰ったか? そこで、急遽メグから野戦電話機を借りた。

『梢ちん! アタシアタシ! 今すぐ第2運動場来てっ!』

 校舎の方からカレンの甲高い声が響いた。どうやって校内放送に接続したんですかねぇ?

『あと聞いてるか古典チビ……。シンイチ、あいつの名前は? つじのぞみぃ。おめーもさっさと来やがれ』

 うって変わって、ドスの効いた低ーい声で唸る。


「⁽⁽٩(๑❛ᴗ❛๑)۶⁾⁾ こずえちゃ〜ん、こっちこっち! あ、のんたんもいるよ!」

 鹿島は、俺らが引いてしまう程すこぶる笑顔だった。

「私は“いらないヒロイン”なのかな?」

「ちょっ! 違うの、違う違う! 誤解だって。そんなんじゃないから!」

 あーあ。鹿島を怒らせたら色々怖いぞ。

「シンイチがちゃんと確認しなかったのが悪いんだって。1発フラグして、憂さ晴らししなよ。アンタもほら、誠意を込めて謝って!」

「なんで責任転嫁するんですかねぇ」

「ねぇキャレン、それよかこっちば紹介してくれん?」

 気を利かせたのか、メグが話題を変えた。

「あら? 辻のぞみさんじゃございませんか。信じられないほど身長が小さくて、気づかなかったワ」

 カレンの白々しい声色と表情。相対する辻さんは、遠山の眉を寄せてカレンを睨めつける。

「ほ。(しょう)参加せじ。唯之を見るのみ」

「ハッ! 左様ですか。ならしゃーない。ベンチで見させてやるわ。バッターボックスでも見させてやるわ。守備位置からも試合見させてやるわー」

「ところでカレン」

 小早川氏がツンツン突いた。

「あっちはフル装備。自分たちは?」

「あ……」

 カレェン……ユニフォームはおろか、バット1本ねーじゃん。

「不戦敗だな」

「どうしよう、奪ってくるとか?」

「んなバカなことできるか!」

「⁽⁽٩(๑˃̶͈̀ ᗨ ˂̶͈́)۶⁾⁾ はいは〜い! まいちゃんがなんとかしますよ〜。おーみやくーん」

 先輩はスマホを取り出して――

「(✿ฺ´∀`✿ฺ) へいたんぶさん? まいの所に、9人分のソフトボールそうび一しきをねがいま〜す!」

 と陽気に要請する。すぐに1機のレシプロ輸送機(ピンク色)が上空に現れた。

「(ᵒ̴̶̷ωᵒ̴̶̷* ) まいちゃん、サプライよべるのですっ!」

 皆が感心する中、ドヤ顔で俺にアピールしていると、彼女の真下に投影された影がだんだんと大きくなってゆく。周りが一歩引いた。

「( ᐛ ) ん? どーしたの゙ッ!!!」


Mai was smashed herself or something.


 補給品を満載した大きな木箱が、文字通り“まいの所”に投下された。パラシュートじゃなくてハートや星の形をしたカラフルな風船が括り付けられてら。うつ伏せになっている先輩に駆け寄った。

「うわー大丈夫ですか?」

【❦彡Maiちゃん✮彡】:oomiyakun no chuuu de fukkatu dayo

「どさくさに紛れて、変な事チャットで打たないで下さい」

 鹿島が蘇生用注射を取り出す。

「櫻どの、木の杭は有るか? 即ち、彼奴の心の臓腑に穿(うが)ちて、苔下に送りましょうぞ」

「wwwwww」

 あのさ、お前らパソコンを巡って牙を剥きあっているけど、実は仲いいだろ?

「( ;ᯅ; `) ふえーん。おーみやくん、ちゅーしてくれなかったぁ!」

 地べたに女の子座りして、白々しく泣かないでください。

「◟(∗ ˊωˋ ∗)◞ それで? それで? 今のごほーしで、まい何ポイントもらえた?」

「3」

「Σ(❁°͈д°͈) 少なっ!」

「オッケー野郎ども、アイテム取って!」

 キャプテンのカレンが声を上げると、各々は箱を取り囲み、インベントリ画面を開いた。そして、ユニフォームと用具を自身のポートレイトにドラッグ&ドロップ。一瞬で装備完了だ。デザインは、eスポーツ選手のそれのようで、カレンは満足していた。

「辻さんどーした?」

(しょう)再度言わん。加入せじ」

「何ば言いよっと? ここまで来て参加せんとかいかんばい。ほら、はよ着替えんね!」

(めぐみ)どの⁉︎」

「(੭ु╹▿╹)੭ のんたん早く早く! はっ! まい、おーみやくんにユニフォームすがた、アピールしなきゃ!」

 IV(イメージビデオ)ってこんな感じなの? 貴女は確かにKAWAIIから、何着ても何やっても見栄えします。だからもう止めてください……。

「よく見ろチビ助。あのピッチャーに対抗するには、ボットじゃ無理なんよ。アンタの力が必要ってわけ。もう意地張って負けるなんて御免だね。お願いだから協力してっ!」

 勝負を目前に控えたカレンは、素直に辻さんに願い出た。相手ピッチャーのウィンドミルを見ると、遠目でもすんげースピード出てやがる。カレン、確かに先輩や辻さんを加えろと言ったが、素人にあれ打ち返せるか? 甚だ怪しいぞ?

「……止むを得じ」

 小さくつぶやくと、ユニフォーム姿に変身した。カレンはニヤリと笑った。

「っしゃ! パコーンとホームラン連発して、あいつら泣かせるぞ!」

「あはは……そだね」

 鹿島は俺を見て、『泣きを見るのはこっちだよ』という表情になった。続けて言う。

「ちなみに、この中で経験者いる?」

「……」

 死んだような沈黙。フレンドで作ったチームなんで、そらそうだよな。

「……はい」

 おおっ! 小早川氏が控え目に挙手した。ほんの少し希望が持てるような……。

「( •̆ ·̭ •̆)℥ まい、ルールわかんない……」

「ボールを打つか、投げるか、取るか、それか走るか! それだけっ!」

 一喝すると、試合を開始するため相手方に歩いていくカレン。

「(´-﹏-`;) そう言われても、わかんない」

「大丈夫です先輩。俺もわからないですし、みんなもよくわかりません」

「ディフェンスどげんすっとやろ? キャレンなんも決めとらんやん」

「適当でいいよ適当で。足りない分はボット出して埋めるだろ?」

「貴方、ヤケになってない?」

「相手を見ろ。まともに張り合えると思えん。だから適当でいーんだよ」

今回も読んでくれてありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ