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大宮伸一は桜カレンにフラグされた。  作者: 海堂ユンイッヒ
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【e6m48】保健だより

「ふぁあああ、よく寝た……」

 夕課外の化学は座学だったので、しっかり寝てしまった。まあ居眠りしても、ホーキンス博士は何も言わない。レポートは提出し、期末テストも終わっているから、もう消化授業みたいなものだ。

「あ、今帰り?」

「おー」

「その顔……寝てたでしょ?」

「ご名答」

 偶然出くわした鹿島と合流する。途中、保健室に立ち寄った。彼女はプリントの束を持って出てくる。今月の保健だよりだった。彼女が、タブレットの文書作成ソフトで作っているのだ。

「明日のホームルームで配ってもらいたいから」

「なあ。毎号載っている、なぞなぞあるじゃん。あれもお前が考えているの?」

「そだよ? なんで?」

「あれ難しすぎじゃね? “超いぢわるなぞなぞ”とか、そんな類から取ってるだろ? 発想の跳躍がないと解けないな」

「うーん、流石に高校生に簡単なのを出すのもなって思って、毎回悩んでいるの。というか、誰も読んでないと思ったよ」

「俺は楽しみにしてるぜ。正解したら、お前に勝った気になるからな」

 目を丸くした後、彼女の顔が柔和に綻んだ。なんでなぞなぞを解くだけで、そんな微笑むのかわからない。

「うふふ。そう言ってくれるなら、出題のしがいがあるな。またがんばるよ」

「それに、この記事はなんだよ。スマホやゲームのやりすぎって。俺とカレンを遠回しに非難しているのか?」

「のぞみちゃんみたいな事しないって。記事は先生と話し合って決めているんだから」

 そうか、考えすぎか。まあ、辻のんなら、記事に“みやどのただせ”と縦読みの1つや2つ仕込んできそうではある。


 教室に帰ると、カレンの奴は既にいて、補習の数学プリントを必死に解いていた。これから延長夕課外とか、キッツイよな。

「おーおーおつかれ」

「今から疲れんのっ!」

 怖っ……当然と言えば当然だが、気が立ってやがる。鹿島はアハハと困った笑顔をしていた。

「ちとタンマ、今何時ぃ? 補習始まる前に職員室行って、わからんトコきかないと」

「えっ? 今なんと?」

「だからセンセーに質問しに行くの」

 平然と答えるカレンに、鹿島と俺は、お互い怪訝な顔を見合わせた。

「残念……頭強く打ったの?」

「なんでよwww」

「職員室の前に保健室、いや病院だな」

「アタシが数学やんの、そんなおかしいかよw 昨日から教えてくれるセンセーが、メッチャ丁寧なのよ。わからん所は、小中学レベルまで落としてくれるし。それに、いい加減追試に合格しないと、センセーも事務作業の時間減るじゃん。お、じゃ行ってくらぁ!」

 プリント片手に、ノシノシと教室を出ていくカレン。それをあっけに取られながら見送る俺たち。

「あまりにもバカすぎて、ついにひっくり返ったのか?」

「明日の天気、パンツァーファウストが降りそうだよ」

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