表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大宮伸一は桜カレンにフラグされた。  作者: 海堂ユンイッヒ
157/212

【e6m11】落第(1)

「今のぞみちゃん()にいるんだ? 昨日留守だったから」

「ああ」

「ん〜……まあ、あのコなら安心かな?」

 唇に人差し指を当てて、小首を傾げるメディック。何が安心なんですかねぇ? 彼女は俺の疑念を察して、苦笑い。

「えw? ほら、まい先輩と同棲していた時は、ちょっと(・・・・)心配だったから」

「不純異性交遊ってか? いつからお前は、風紀委員も兼任しているんだ?」

「そんなわけじゃないけど……」

 正直言うと、最後に辻さんにフラグされなかったら、もう先輩エンディングに到達してたと思う。彼女と離れ離れになっていた反動で、俺も舞い上がっていたから。

「あれからまい先輩、どんな感じなの?」

「今は辻さんに遠慮しているよ。最近は突撃して来ないし、ラブラブ猛攻撃もちょっとは落ち着いたようd――」

「٩(๑ᵒ̴̶̷͈̀ᗜᵒ̴̶̷͈́)و ̑̑ ✧ イェーイ!!! まいちゃん登場〜❤︎」

「残念、そんなわけありませんでした」

 ドッヂングで回避する暇もなかった。先輩は俺をガッチリ掴んで、そのまま他の生徒、机や8脚の椅子などを、物理演算でぶっ飛ばしながら突進。教室の端まで叩きつける。

 ヒロインで最も豊満な胸に俺の顔を押し込め、またもや溺れさせるつもりである。そして、久しぶりにバニラエッセンスの甘ったるい香りが、鼻から脳天まで突き抜ける。


大宮: [死に際の叫び声]


「まい先輩、ちょっとは自重しませんか?」

「(˶‾᷄⁻̫‾᷅˵) イヤッ❤︎」

「モガモガ……先輩先輩、まじヤバイですって! 辻のんエピソードで、奴に隠れてこんなのとか、後で八つ裂きにされますよ俺ぇ!」

「(*´°`*) まいはのんたんのパートナーだから、大じょう夫❤︎」

「だぁかぁらぁ、俺が大丈夫じゃないですって! おい鹿島、カレン! 黙って見てないで助けてくれ!」

「“死に際の叫び声”とか日本語字幕出たけど、絶対喜んでるよなアイツ」

「そうだね……自己救済できないとか言ってたけど、あれも嘘だよ」

 2人とも、極めて冷やき目で傍観している。先輩の包容力は、一層強まり巨乳の深淵に俺を沈めて行くばかりだ。

「んで、今までの様式美からすると、あとは“三寸ばかりなる人”が、いつこれを嗅ぎつけるかだな。頭から火ィ噴いて怒るんじゃね?」

「おいっ! フラグ立てるなっ! あいつどこにいようが、ファストトラベルで飛んでくるぞ!」

 その時、ピンポンパンポーンとチャイムが鳴って――

『2年F組、桜カレンさん。2年F組、桜カレンさん。職員室に来なさい。繰り返します――』

 先輩の大好きホールドが解けた。あー頭痛い。また窒息でフラグされるかと思った……。

「(´•ω•) また悪さしたの?」

「してねーよっ!!!」

「ワルはみんなそう言う」

「サブヒロインだった時、『どーせピンクのエピソードなんだし、アタシに関する重大なイベントは起きねーだろ』って、生徒会室で暴れたのは、ノーカンよね?」

「残念。思いっきりイエスカンだよ」

「けど聞き取りも無かったし、あれから日にち経っているからあり得ないって」

 聞き取る必要すらないんだよなぁ……。けどそうなら、すぐ掲示板にA4一枚紙が貼られるはずだけどな。

「チッ! しゃーねーな。おいシンイチ、ちょっとついて来て!」

「なんで俺g――あーわかったよ」

 先輩から逃れるので、好都合だった。それにマジで気になる。最近のカレンの行動を思い出すが、そんな悪目立ちする愚行をやったか? まあ俺の知らない所で、何かやらかしているのかもしれんが……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ