【e6m1】胸乳賞翫
誰も待っていないとは思いますが、とりあえずまとめた分だけ毎日公開していきます。
「えっ⁉︎ あのノートPCまた壊れた? お前なんかやらk――」
「やってないやってない」
「けど何か原因あるだろ? 終業式前に、生徒用パソコンは全部回収されてメンテ入るから、なんとかしないと……」
「大丈夫だって。もうセンセーに渡してる。簡単な説明もしたし」
「なんて?」
「何もしてないのに壊れた」
本当に簡単だな、まさに類人猿の説明である。その時、教室の扉が勢いよく開き――
「す〜ぱ〜ッ!」
古風な聲が喧しく響むと、カレンは片手でパチンと顔を覆った。
「のんちゃんた〜いむッ!!! いざ人々へ辨へさs――」
「いらねーよ、ンなもん!」
「残念、悪い物でも食べたのかな?」
「なん? またなんかしよっと?」
そしてさ、なんで残りのヒロインどもがゾロゾロ集まって来るんですかねぇ?
「ほッ!」
常田まい先輩エンドで終わるを食い止めたヒロインで、情報科のコバートオプスである辻のぞみ。上機嫌に教壇につと立ち、悅の靨を含ませた。
「やよ、聞かれよ。今日まで御膳立ていとようなし申した。つらつら思えば、色見えで移ろふものは、宮どのの心の花にぞありける。妾が目尻に塩気のみかをり、月眺めてはうち呻かずにはおられぬ夜々。されど、とかく申すに及ばず。宮どのも、花盛り過ぎし女房どもとは、ただそけだけの行きずりの戯れよ。今や心の濁りも清まる心地いたしますなッ」
丈ばかりなる髪、色に細々とうるはしう、末も尾花のやうにて、これ見よがしにたなびかせる。元々人を小馬鹿にして、嫌味を憚らない従姉妹が、こうも言高くのたまふと、他のヒロインの不興を爆買いしてしまうな。そして、彼女は妖しげな笑みを先輩に射向ける。
「就中常田どの。あたびは本意成就ならで、心の秋なり申して、かへすがへすご同情申し上げまする。オホホホッ!」
「(●`з´) あの時、ちょっとでものんたんを気にしたまいが、アホだったよ。さっさとポンポンしておけば良かった!」
前のエピソードでは、この先輩が全員の顰蹙を買っていたが、今は昔。今回は辻さんを引きずり下ろすために、全員が団結しそう。
「われはもや 宮どの得えたり 皆人の 得がてにすとふ 宮どの得たり」
従姉妹は、得意げに鎌足から本歌取りするが、連中に興趣富んだ機知が通じるかな? そしてその内容からすると、俺はもう辻のんエンディングに決定らしい。
「ねーシン、面白かこつ教えてやろか? 前んエピソードのラストあったやん? こん人、シンと先輩がやらかさんごつ、スナイパーば配置しとったのは知っとろーけど、ウチもおったと。家に発破ばしかけて、最悪家ごと吹き飛ばす手筈やったとよ。それにね、ゾミーばり焦っとってウケた」
「すわっ⁉︎」
「そう。自分、『(辻の物真似で)抜かりないであろな? 二心など起こさぬであろな?』と15秒に一回、交信入ってた。うるさすぎ」
「すわわっ⁉︎」
「それによ、オメーはデカ乳じゃねーから、コイツなびかねーよ!」
「あなかまッ! 天下の乳无に言われとうないッ!」
「んだとッ⁉︎ シンイチよりあるわ!」
すると鹿島が、後ろからシュッとメジャーを俺の胸部に回す。
「残念、大宮くんの方があるね」
Shinichi was flagged by Karen’s MP40.
「うっしゃ! デイリーミッションクリア!」
「女房の価値は、乳にはあらじッ! ひと時が目を肥やして何にかはせむッ!」
「そう思っているのは貴女だけ。大宮は無意識に、先輩、ミーガン、そして自分の胸部を、ひと時どころではないほど凝視している。特に先輩には、フレーメンに似た表情をしている」
「バリ嬉か〜ウチにもまだチャンスあるやん♪」
「٩(๑ᵒ̴̶̷͈̀ᗜᵒ̴̶̷͈́)و ̑̑ ✧イェ〜イ.:*♬」
「それに大宮、よく先輩を無意識に可愛いと褒めてる。フロイトは無意識に出た言葉に意味があると言う」
「フロイトって何?」
「あ、あ、あ、あんまりでございまする〜(号泣)」
「残念……蘇生用注射器で、大宮くんを滅多刺しにしないでね。メディック以外がやっても、意味ないんだよ」
あいてて……なぜか心臓に複数の失敗跡があるじゃないか。鹿島の穿刺スキルは最大で、ミスることはまずないんだが?
「おい、オメーちょっとピンクみたいに乳強調したエモートやってみろ」
「おろかな繰り言を。なでふ色道の業魔に似せねばならぬ? 女性の矜恃を滝壺に捨つる愚行よ」
するとカレンは、先輩とメグと小早川氏に目配せする。3人はそば目合うと、一斉に前屈みになり、セーラー服の胸当てをおめらかし、谷間を強調すた。
「おほ^〜!」
「宮どのッ!!!」
「お、おう……」
「表をこちに上げッ!!!」
「ちょ、ちょと待て……F12、F12」
「ほら見ろ? いくら声高に喚こうが、こいつは乳なんだよ。だから、こいつらと同じようにやってみろ」
「〜〜〜〜〜〜〜やむを得じ……」
頬を朱に染めながら、女性の矜恃とやらを、もう滝壺に捨てる覚悟をした辻さん。コホンと咳払いすると、前屈みになり、先輩のごときアニメ声で――
「妾が芥子乳、いとよう御賞翫あれ❤︎ ………………怍ずかしゅうて、顔より火の出まするーッ!!!」
と言った。う〜ん、ないものを無理やり寄せてもな……。そして間髪入れず、蝙蝠扇で紅の表を隠す。人々は、風に揺れる花のように打ち笑う。乳はともかく、こいつがこんな馬鹿な所作をするなんて――ちょっと可愛いと思ってしまった。
「ウハハーッ! おいシンイチ、アタシもやってやろうか⁉︎ カレンのちっぱいを楽しんでね❤︎ どーだ3本目の足立ったか? 感想を言え!」
「マ☆ジ☆き☆め☆え」
Shinichi was blasted by Karen’s Panzerfaust.
「残念、大宮くん窓の外に吹っ飛んで行っちゃった。えっと、だんだん収集がつかなくなっているので、一旦ここで切ります。今回のエピソードもよろしくお願いしますね!」
「すわっ、こずゑどの⁉︎ 御心に任せて畢りにしてはなりませぬッ!」
今回も読んでくださってありがとうございました。