【e1m14】ギリセーフ
前回公開まで間隔があったので、今回は短めにします……。
RoadMaster123〔体育館 〕:HOOOO! うまかー!
めでぃまる〔体育館 〕:え?
❀R0cketeeR✿〔センター 〕:7点狙いなさいよ。
「New round in 5, 4, 3, 2, 1……」
めでぃまる〔駐輪場2階 〕:わ、またここ?
❀R0cketeeR✿〔体育倉庫 〕:舞台上手にロケラン、下手にショットガンがある!
RoadMaster123〔体育館南 〕:ピロティーにはビームライフルあるごた。
めでぃまる〔駐輪場2階 〕:ここにミニガンがあったよ。
❀R0cketeeR✿〔体育倉庫 〕:よし、武器整えてから突っ込もう!
Wolfplayer〔体育倉庫 〕:だからそう言ってるだろ。お前バカか? バカなんだな⁉︎
Wolfplayer was ripped by ❀R0cketeeR✿’s shotgun.
めでぃまる〔駐輪場2階 〕:いい加減にしようね?
❀R0cketeeR✿〔体育倉庫 〕:だってムカつくし!
あいつさぁ、本当に後先考えずに引き金を引くよな。見渡すと、舞台上手にリスポーンしていた。カレンの言う通り、ここにロケランがあったので一応取った。ロケジャンに使えるかもしれない。
❀R0cketeeR✿〔体育館北 〕:よしボール近辺を確保。援護し――
❀R0cketeeR✿ rode Q.E.D.’s lightning.
RoadMaster123〔体育館北 〕:What’s the…? Oh NO!
RoadMaster123 rode Q.E.D.’s lightning.
あーあ。2人して狙撃されてやんの。隠れていた小早川氏が、ボール付近で気が緩むのを待っていたのだろう。ノコノコ撃たれに行ったようなものだ。
The blue team has the ball, take it back!
2人不在の中、ボールをキープされた。幾ばくもなく、連中は乗り込んできた。どうする? 撃つか……?
Wolfplayer〔体育館 〕:ええい!
モブに照準を合わせずトリガーを引いた。反動と共に1発のロケット弾が射出、バレルが回転して次弾が装填された。ただし、着弾まで確認できなかった。重装甲すら貫く高電圧の弧が、電荷差異を求めて俺の体の隅々まで駆け巡ったからだ。
Wolfplayer rode Q.E.D.’s lightning.
「Blue team increases their lead!」
Mobman scored the goal! 【Red:3 - 14:Blue】
RoadMaster123〔体育館東 〕:(LOL)なあん? シンもくらされたん?
「New round in 5, 4, 3, 2, 1……」
❀R0cketeeR✿〔駐輪場2階 〕:あんのぉ※@★◯! 蜂の巣にしてやるっ!
RoadMaster123〔駐輪場2階 〕:落ち着かんね、頭から火ィ噴いとるやん。
めでぃまる〔体育館西 〕:カレンちゃん、私たちは全年齢向けヒロインだから、言葉に注意してね。
Wolfplayer〔舞台上手 〕:おい。もう投げ入れるだけで俺らの負けだぞ。
カレンとメグは、再び武器拾いに行って守りを固めるだろう。俺はチプカシを見た。残り3分半。再びロケランに手を伸ばした。
❀R0cketeeR✿〔駐輪場2階 〕:全アイテムを駆使してでも死守すんのよっ!
Wolfplayer〔体育館 〕:クワッドダメージとケッグオーヘルスは残しとけ。
❀R0cketeeR✿〔駐輪場2階 〕:なんで⁉︎
Wolfplayer〔体育館 〕:スポーン時間考えろ。前者は1分22秒、後者は2分だろ? 最後のラッシュで使う。
❀R0cketeeR✿〔駐輪場1階 〕:それ無しで戦えんの⁉︎
Wolfplayer〔体育館 〕:相手はノービスかエクスペリエンスド程度では?
❀R0cketeeR✿〔駐輪場1階 〕:……。
めでぃまる〔体育館西 〕:スーパーシールドは?
鹿島が割って入ってきた。こいつにもちょっと働いてもらおうか。
Wolfplayer〔体育館 〕:54秒だからいいぞ。お前さ、ピロティに隠れて連中を見ててくれない?
めでぃまる〔体育館西 〕:うん。
Wolfplayer〔体育館 〕:体育館に入ったら、こっそりボールのスポーン地点で待機してくれ。
The blue team has the ball, take it back!
めでぃまる〔体育館西 〕:あ、ボールキャリアの小早川さんが、別の方行ってるよ。
Wolfplayer〔体育館 〕:マジか⁉︎ 早く援護!
RoadMaster123〔体育館南 〕:すぐ来るけん待ちんしゃい!
❀R0cketeeR✿〔体育館南 〕:アンタ、今度ばかりはフラグしてでも守りなさいよ……?
やはり攻撃は気がひけるが、今度ばかりは死守しないと、カレンを激怒させるだろう。せめてシールドを飛ばす程度はやらないと。カレンらと青の到着は同時だった。互いに見交わした瞬間、各種弾薬も交差する。
❀R0cketeeR✿〔体育館 〕:何突っ立ってんの? さっさ撃て!
いや、このモブ3人は囮で、ボールキャリアは別ルートから狙うに違いない。ゲーマーの勘でそうピンときた。時間差で北扉から? 裏をかいて南?
ワァーと観衆が驚きの声を上げた。バルコニー! 小早川氏は、2階ギャラリーの手すりを疾走していた。
Wolfplayer〔体育倉 〕:上っ!
カレンとメグはミニガンを浴びせる。しかし、彼女はスーパーシールドを着用していた。その距離で150のアーマーは削れない! どうするつもりだ? 小早川氏は南端まで来ているので、その角度から狙えないぞ。
と思ったのが馬鹿だった。彼女が巧妙にダブルジャンプした先には、バスケのバックボード!
Wolfplayer〔体育倉 〕:ウォールジャンプ⁉︎
この壁蹴りジャンプは、信じられないぐらいの跳躍力がある。彼女は反対に返る形に跳んだ。空中から投げ入れるつもりだ! ボールは手から離れ、光の尾を残しながらリングに向かっている。ポカンと口を開ける2人の頭上は既に通り越した。俺も、“走っていたら”間に合わない。
無意識に足は動いていた。目の焦点はボールにがっちり食いつき、手にはロケットランチャー。床を割るが如く踏み込み、跳躍した瞬間、下に向けて発射、そしてロケランを手放す。下から暴風が吹き荒れ、堪え難いほどのスピードで上昇していく。眼球がむき出しになりそうだ!
お約束のスローモーだ。ゴールに突き進むボールの軌道は、飛び出してくる俺によって妨害された! しかし悲しいかな、キャッチはうまくいったものの、着地に失敗してゴロゴロと転がってしまった。
「Last second save by Red!」
You have the ball take it to enemy goal!
Wolfplayer〔体育倉 〕:鹿島、準備!
全力を振り絞って南口から遠投した。
❀R0cketeeR✿〔体育館 〕:バカ! 何やっ――!
Wolfplayer〔体育倉 〕:鹿島を援護!
The ball was reset!
ボールがマップ外に出てしまうと、スポーン地点にリセットされる。そして、鹿島は今そこにいる。しかも、青チームは全員ここにいるので、自陣がガラ空きなのだ。
めでぃまる has the ball!
めでぃまる〔センター 〕:I’ve got the flag
RoadMaster123〔体育館 〕:DOC! MOVE MOVE!
Wolfplayer〔体育倉 〕:走れ! 急げ!
全プレイヤーが、彼女目指して疾走していた。俺らは援護するため、相手は撃ち抜くためだ。体育館を出ると、鹿島の後ろ姿が見えた。あいつ、直線に走っているではないか。警告する暇もなく、青が遠距離を正確に狙えるビームライフルを発射した。
めでぃまる〔センター 〕:ヒヤャンッ!
1発背中に直撃したが、スーパーシールドがダメージを吸収した。
❀R0cketeeR✿〔体育館北 〕:こんのぉお!
鬼の形相で、すぐ近くにいるモブ男子にロケランを向けた。
Wolfplayer〔体育館北 〕:“止め! 止めぇぇ!”
今フラグするのはまずい。リスポーン地点は自陣付近なので、鹿島は迎え討たれてしまう。
❀R0cketeeR✿〔体育館北 〕:どうすりゃいーの⁉︎
Wolfplayer〔体育館北 〕:体張れ!
もう、鹿島はクラブにいるのかと思うほど、あちこちからビームを撃たれている。
Wolfplayer〔センター 〕:おい、ドッジングとダブルジャンプしろ!
呼応こそしなかったが、彼女の動きが変化した。あのさぁ、それジャンプしながら走ってるだけだからな。バニーホップにもなってねーじゃん。ゲームだったら、『オプション画面を開いて、セッティング>ゲームメニューからボタンタッピングの間隔を調整しろ!』と言うのだが……。
鹿島の後ろから雷が貫いた! やられた? いやシールドこそ消し飛んで、出花表現も見られたが、フラグには至っていない。ボールで急速回復している。小早川氏はしゃがんで、ライトニングボルターの充電を完了した。まずい!
爆発!
カレンのロケット弾(俺が手放したランチャー)だった。ただ直撃させていない。上手い具合に、爆風で吹き飛ばしただけだ。小早川氏はカレンに一瞥もくれず、即座に受け身を取り、ボルターのスコープを再び覗いた。
RoadMaster123’s bone was made extra crispy by Q.E.D.’s lightning.
なんと! メグが犠牲となった! アニメのように全身の骨格が露見し、全身真っ黒のアフロになって倒れてしまった。クソッ! 次は俺がフラグされる番だっ!
しかし、小早川氏がとった行動は予期せぬものだった。ロケランを取り出し、真下に撃って自ら倒れた。武器は失うが、自陣に一気に飛ぶ利を取ったのだ。
Wolfplayer〔武道館南 〕:鹿島っ! 小早川さんがリスポーンするぞ!
めでぃまる〔弓道場 〕:えっと、土足でいいの?
Wolfplayer〔武道館南 〕:さっさと突っ込め!
めでぃまる〔弓道場 〕:でも……。
Wolfplayer〔武道館南 〕:後で掃除も土下座もしてやるから急げっ!
ここで点が取れないともう逆転はできそうにない。そして、敗北後のカレンが怖い……。
Wolfplayer〔武道館南 〕:カレン! 準備っ!
モブキャラらを指差した。それだけで言わんとすることは伝わるはず。
めでぃまる〔弓道場 〕:ゴールは奥にあるんだよね?
恐る恐る入っているようだ。帰宅部には馴染みのない場所だからな。
めでぃまる〔弓道場 〕:わー! 小早川さんキタァ!
Wolfplayer〔弓道場 〕:行け!
俺らは、ようやく武道館1階、弓道場の入り口に追いついた。鹿島が懸命にゴールに向かっている。リスポーンした小早川氏は、鹿島の背をアサルトライフルで撃っている。中距離以上の集弾性がガタ落ちなので、正確なエイムだろうがヒットは期待できない。奴も同じことを考えたのか、グレネードランチャーを放った!
「Red team scores!」
めでぃまる scored the goal! 【Red:10 - 14:Blue】
めでぃまる exploded by Q.E.D.’s grenade.
俺らなりのチームワークで点を得たが、最後がコミカル、いや残念なものになってしまった……。
次回でゲット&ランは終了です。