【e5m25】百敷をのぞみて
短いですが、書けました。
「あれアメリカで発売されたって。steel_appid.txtに28050って書き込めば、VPN無しで遊べるってスレにあった」
翌日の昼休み。このように、カレンとゲーム談義するのが珍しくなりつつあるな。
そこに神妙な容貌、且つ武士めいた声で教室に入ってきたのは、辻さんだった。
「やあやあ、櫻どのやおわすや?」
「おう。ココにいるぞ」
「すこし物なお尋ね申したい。御意を得たい」
「んだよ?」
辻さんは、チラと俺を傍見した。
「宮どのは、ちと席を外――」
Shinichi was shot by Karen's Luger.
「何?」
「――完たく、そちは戯れがましき女房よ。まあよいわ、聞け」
「もったいぶらねーで早く言え」
「常田まゐという色魔の申し子を、宮どのの御心にのさばらせてよいものか⁉︎」
「ハァ?」
「わ御前は、曲がりなりにも題目を張る女房であろ?」
「…………辻のん、オメーは従姉妹だろ? だったら、こいつの昔を知ってるよな? 少なくともアタシより」
「そが何か?」
「こいつが何考えてるか知らねー。けどチチ吸いたきゃ、吸わせとけ」
「…………そちはよほど懐が深いと見える。それとも底なしの馬鹿かの? 庇を貸して母屋を盗られるという謂を知らんのか? 既にそちは風下の身。次には、題目の名を削れと押しまくる事必定よ。それでよいのか?」
「いーもわりーも、アタシは別にこいつ好きじゃねーし。どうでもいーよ」
「えこそ心得ね。女房は百敷を望むのが理ではないか。されど、名うての大猛鬼櫻も、さのみ雌伏すとは、これは聞こえぬ。血の巡りの悪さよ。輸血でもして来い」
「オメーのだけは勘弁な」
「よう聞け。かの桃御前は、一見阿呆を装おうておるが、裏表ぞ? 戀の道に於いては者切で、宮どのもにくからず思うておるのは、天の川に遍く嗚呼と面目立てるそもじも心得ておろ? 後々妾らに惨禍を残すことになろうぞ。いざ衆力して、桃退治なさん! いかに? 只今申切ッ!」
「…………オメーさ、夏なのにまだタイツ履いてんの?」
「それがなにか?」
「黒タイツ女に説教されたかねーわ」
「や? いづくにか行く? 話はまだ了っておらぬぞ」
「生徒会とか聞いたこともねー団体から、同好会のあり方に話があるってよ」
「ほ。上にのさばってあれやこれや口出す者なぞ、傾聴の価値だにあらず。無きにやなせ」
「オメーの愚痴聞くよりマシだ、バーカ」
「…………あな口惜」
「……カレンちゃん」
いつの間にかフラグされてた件。鹿島に蘇生してもらうと、カレンの姿はなかった。
「イテテ、あの野郎〜。あれ? 辻さん、なんでそんな辛気臭い顔してんの? ん? またケンカした? カレンはどこ?」
「ハァ……宮どのはこの有様よ。妾はこれほど身をやつしておるのに」
「えw?」
「本当だね(苦笑)」
今回も読んでくれてありがとうございます。