【e5m17】自相報
申し訳ないです。注を加えている時に、一話飛ばしているのを発見しました。しかも結構重要なシーン。
「٩(ˊᗜˋ*)و キャー❤︎ また子どもデキちゃったぁ!」
リビングで踊り出す先輩。俺らは今、ボードゲームのライフシムをやっていて、なぜか同じ車に乗っている。そして、必ずと言っていいほど“子どもが生まれる”のマス目に留まっているのだ。
「……これは一体?」
その時、先輩のスマホが鳴った。今の今まで天衣無縫だったが、急に強張る彼女の表情に、俺までただならぬ不安を覚えた。
「( ; -᷄ ω-᷅) せ、せき外すね」
スマホを持って、廊下に駆けていく。しばらくすると、沈欝な表情を隠さず帰ってきた。
「(◞ᾥ◟) ごめんね……もうゲームの気分じゃないの。隣、いいかな?」
「ええ」
先輩はちょこねんと座って、俺の手を握った。下を向いて、どこにを見ているわけでもなく、ただ沈痛な面持ちである。取り乱すまいと、胸が大きく深呼吸して、生あくびまでしてる。こんな時、俺はどうすればいいのか? 詮索は彼女をえぐってしまいそうだ。けど、何も言葉をかけないのも、無関心を決め込んでいるよう酷い。
「あの、先輩の構わない範囲で、教えてくれます?」
「…………」
「わかりました。じゃあ隣にいます」
それからどれだけ経っただろうか? 唐突に先輩が口を開いた。ただ、視線は下を向いたままだ。
「(◞‸◟) ねぇ、まいのこときらいにならない?」
「そんなことないです」
「(◞‸◟) 本当?」
「はい」
「(◞‸◟) 本当に本当?」
「はい」
真偽を確かめるべく、やっと先輩の顔が上がった。こんなの初めてだ。彼女は俺の手を絶対に離さないと、ぎゅっと握りしめる。
「( ·́.̫·̀ ) あのね、さっきのお電話、じ童相談所からなの……まいはね……その……よう子だから……」
ショックを受けた。俺は先輩の人柄や所持アイテムなどから、裕福なお嬢様とばかり考えていたからだ。
「(´._.`) それでね、昔お世話になった、じ童ようごしせつにね、まいの本当のママから、“会いたい”電話があって、それが回ってきたの。まい、生みのママのことは知ってたんだ。けど、会う気にはなれなくて……」
なるほど、先輩もワケあり家族だったんだ。
「(´•̥ ̯•̥`) ひどいよね、まいちゃん」
体や声が徐々にわなないて、感情があぶれ出しそうになっていた。既に目尻にはいっぱいの涙が差し汲まれ、今にもこぼれ落ちそうだった。
「( ˃ ⌑ ˂ഃ ) まい、ママに会ったら、文く言いそうで。“なんでまいをすてたの?”って、おこってしまいそうで。生んでくれただけでも、かんしゃしないといけないのに……!」
俺は先輩の過去を知らない。だが、母親に対する多種多様の気持ちが渦巻いて、どうすればいいのかわからないのだろう。いつもの愛くるしい顔には、涙の筋跡がいくつも残っていた。
「(´•̥ ̯•̥`) まいどうすればいいの」
何と慰めればいいのかわからなかった。ただ、先輩の頭をギュッと抱きしめることしかできなかった。それからまたしばらく時間が経った。涙のにわか雨は既に止んでいたが、気持ちは沈んだままのようだった。
「(◞‸◟) ごめんね、気を取りみだしちゃって……」
「今すぐ応えを出す必要もないですし、ゆっくり考えません? 先輩の気持ちが第一ですし、今のご両親や、先生、それに相談員さんの考えとかもあるでしょうから。俺はいつも先輩のそばにいますよ」
「(◞‸◟) うん……」
「ココアでも淹れません? 甘いもので落ち着きましょう」
「(◞‸◟) もうちょっとギュってして」
「はいはい、喜んで」