【e5m9】おーみやくん時限独占(8)
イベントを小出しにするとスッキリしないですね。
先輩のボトルガンにフラグされ、リスポーンポイントの自室から降りてくると、液体が床にぶちまかれていた。
「あーあ、どーするんですかコレェ」
「(꒪̥̥﹏꒪̥̥ ) 2/3ぐらいなくなっちゃった……」
「こぼれたのはさすがに使えないから、雑巾で拭きあげます」
「( -`д-´) けど見方をかえると、まだ1/3はのこっているよ。まいちゃん、ポジティブに考えなきゃ!」
その気持ちの切り替えは、能天気のようだが羨ましい。う〜ん、やっぱ能天気だな。
「( ⁼̴̀꒳⁼̴́ ) さあ、いよいよたまごをやくよ」
そう、まだ火すら入れてないんだよ。コンロの前に立つと、常に愛敬づいている顔が、真剣になっていた。温度を確かめるため、菜箸の先に卵液を浸し、それをフライパン内に振り払う。
「(∩ˊᵕˋ∩) ……えへへ、今のプロっぽいでしょ?」
「ここだけ切り取ったら、ですね」
先輩は“まいちゃんオリジナル”に使う、LATOUR 1938を手に持った。まだ卵は固まってもいないってのに。どうせ火柱が上がるのは明らかだ。消火器は――冷蔵庫の後ろだったな。
「って、先輩ぃぃぃ!」
彼女は、ボトルを真っ逆さまにして、全部の液体をぶち込んでしまったのだ! しかし――
「( •᷄ὤ•᷅) あれ? 火がでないよ? なんでぇ?」
とりあえず、家が火事にならなくて済んだ。
「俺に聞かれても……このブランデー古すぎたのかな?」
「( •᷄ὤ•᷅) ブランデー? これワインだよ?」
「あの……普通ブランデーとかじゃないですか? ワインだとアルコール度数が低すぎて、燃えないから」
「( ꒪⌓꒪) えっ⁉︎ そーなの?」
お互い絶句してお見合いになった。相当な失敗と、字数とお金を浪費した挙句、出来上がったのはグツグツと煮えたぎる、溶き卵のワイン煮だけだった。
今回も読んでくれてありがとうございました。