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才色兼備、元カレを作る

時間はお昼の12時を周り、数分前に四時間目の授業の終わりを告げるチャイムがなったばかりだった。

周りはお昼休みになり仲の良いクラスメート達で集まり楽しく食事をとる人や1人教科書を読みながら昼食をとる人など様々な人が様々な形で休息を取っていた。

優人も本来は休息を取るつもりでいたが、2時間目と3時間目の間に入った放送によってその休息をとる時間はなくなってしまった。

(最悪だ…。)

優人は呼び出しに不満を持ちながらも仕方がないため、一応姉が作ってくれたお弁当を持ち生徒会室に向かうため立ち上がった。

「おい!優人!!どこ行くんだよ!飯食おーぜ、飯!」

「相変わらず忙しないな。昼呼び出されたの聞こえてただろ?お前も。」

呼び出しに応じおうとしていた優人を昼食に誘ったのは健人だった。

健人はお弁当を持って教室から出ていこうとしている優人を見かけ優人の方に向かってきた所だった。

「あぁ、そういや誰かに呼び出しされてたな。そんなん良いじゃんバックレれば!そんなことよりお昼一緒に食お!てゆーか食わなくていいから、来るだけでいいから!俺の隣に存在するだけでいいから!」

その意味不明なお願いに優人は健人が何を企んでいるかスグにわかった。

「あぁ、そうゆう事ね。お前また俺をダシに使ったな?」

優人は問い詰めるように健人に訪ねた。

「いや、なんとことかわかんねぇな〜。つか、まって!優人君そんな怖い顔しないで!」

「お前も懲りないなぁ。行かねーぞ。」

健人が企んでいたことは今回が初めてではなく前回も似たようなことをしていた。

「いや待ってよ!来てよ!優人が来ないと話になんないんだよ。みんな帰っちゃうよ。」

「みんなって女だろ?お前、俺をダシにしてホイホイついてくる女なんてやめろって。どうしようもねぇぞそいつら。」

「おまッ!カナちゃんとリツちゃんとエリコちゃんはそんなんじゃねぇよ!クラスの評判良いしいい子だよ!合コン来ないんだったらこっちはこよーよ〜。」

健人は学校で1位2位を争うぐらいイケメンの優人をダシに使い女の子と昼食をとる約束をしていた。

「行かねーよ。それじゃ俺抜きで頑張れよー。」

優人は健人とのこれ以上のやり取りは無駄だと思いテキトウにあしらって教室から出ようとした。

「あっ!優人じゃん、生徒会長からの呼び出し頑張れよ〜。」

教室から出ていこうとした優人を見かけクラスメートの男子達が面白がりながらそう言った。

生徒会長、または生徒会からの呼び出しはだいたい生活指導などなためみんな呼び出しをされることを嫌がっていた。

(アイツら人事だと思ってテキトーなこと言いやがって。)

優人は面白がっている男子生徒達を呪いながらそう思った。

「え!?まって!用事って生徒会長のとこ行くの!!めっちゃラッキーじゃん!!俺も行きたい!もうカナちゃんとかリツちゃんとかどうでもいいです!連れてって!」

健人はお昼休みに生徒会長である綾音に呼びたしされた優人を羨ましがりながらも驚きで大声でそういった。

(こいつ…バカだ。)

大声で叫んだ健人をクラス中のみんながそう思った。

「好きにしろよ。ただ、生徒会長さんがダメって言ったら大人しく帰れよ?」

優人は断るとまた大声で面倒くさくなるので健人をテキトーに連れていくことにした。

「やったぁ!」

(連れいくのも連れていくで面倒だな…。まぁ、もういいか。)


その頃、生徒会室でも一悶着が起きていた。

「会長、それはホントですか?噂の風俗街をうろつく男子生徒を我々生徒会で支援するなんて…。」

2年の生徒会、副会長である川上かわかみ あつしは会長が噂の男子生徒を支援するという事を聞いて驚いていた。

「まぁ、あなたは賛同しないでしょうね。でも、彼もおそらくあのバイトを辞めるきは無いわ。ここで取るべき生徒会の行動は支援だと判断しました。」

「マズイですよ!バレたら会長もタダじゃすみませんよ!」

「覚悟の上です。あなた達には協力してもらいますけど、責任は全て私が取ります。あなた達には一切危害が加わらないよう配慮するのでどうかお願いします。」

綾音は自分がめちゃくちゃな事を言ってることを理解しているうえで、生徒会のメンバーに頭を下げ協力してもらおうとした。

「私は、会長がそうなさると決めたのならそれに従いますよ!」

川上と同じ2年の田代たしろ 芽衣めいは前から綾音の味方なのでスグに賛同した。

「自分も会長に従います。」

芽衣に続いて他の生徒会のメンバーも賛同をしていった。

会長への信頼はそこまで高いもので、会長がやる事に間違いはないとみんな断言出来るほどの信頼を置いていた。

しかし、川上は会長を信頼してはいるもののバレた時に発生する会長へのリスクを心配していた。

「ちょっと待て!お前ら!芽衣も!いくらなんでもこれは無茶が過ぎるだろ。」

「だってぇ〜、会長がこれまでやってきたことで間違ったことはなかったし会長が失敗したこともないよね?会長なら上手くやるだろうし私達もアホじゃない。なら私は会長のしたいようにさせたいな。」

芽衣はまるで心配がないようにそういった。

「ありがと。芽衣。それにみんなも。ごめんね、タダでさえ忙しいのに仕事が増えちゃうし。」

「いえいえ、自分達はいつも会長に助けて頂いているのでこれくらいどうってことないですよ!仕事だって残りはいつも会長が残って片付けてくれたり昼休み削ってくれたりホントに助かってますから!」

「そうだよ〜、綾音ちゃんは三年なんだからもっとやりたいこと思っきり自由にやっていいんだよ〜。」

生徒会と芽衣はいつもお世話になっている綾音に常々恩返しがしたいと思っていたので仕事が増えることなんかはどうでも良くてそれよりも綾音に頼りにされることの方が重要なことだった。

「待て待て、何故副会長の反対を無視して決定してるんだ…。」

川上は最後まで綾音の頼みを反対していた。

「会長はもう既に何校もの名門大学への推薦を貰ってるって聞きますし会長自身も名門大学に進むつもりだったらこんなリスクのあることは…。」

「もう、るッさい!淳、しつこ過ぎ!そんなことは綾音ちゃんが決めることで淳には関係ないでしょ?私達はそんなことよりも綾音ちゃんが悔いのないようにこの高校生活を卒業してもらいたいと思ってるしそうなるようしていくつもり。アンタも覚悟決めなさい。」

あまりのしつこさに芽衣は川上に怒りながらそういった。

そんな芽衣に驚き、芽衣の言ったことに何も言い返せなくなり川上は少ししょんぼりしながら諦めた。

「ウフフ、そんなわかりやすく落ち込まないの。川上君の気遣いも嬉しいよ、ありがと。」

綾音は笑顔で微笑みながら川上を見つめそうお礼を言った。

川上はその美しさに綾音の方を見れず顔を赤らめ照れながら顔を逸らした。

「はぁ、もう諦めます。その代わりバレる事なんかは絶対にさせません。芽衣、皆さん、やると決めたからには徹底的にやります!良いですね?」

川上は諦め、そして何としてもバレぬよう気合いを入れ、そう言った。

「ちょっと?川上君?そんなに気張らなくてもいいよ…?」

綾音は川上が気合いが乗りすぎていると思い少し釘をさした。

「ダメです!失敗は許されませんし許しません。徹底的に隠してここからは目撃者0でいきます!」

綾音の言葉も届かず、川上に変な気合いのスイッチが入った。

そんな川上はやる気に満ち溢れていて、生徒会のメンバーが引くぐらいのやる気を見せていた。

「あらぁ〜、また淳が変な方向に暴走してる〜。」

「副会長…会長の事となると暴走するクセ、いつになったら治るんでしょう。」

川上の暴走は毎度のことで変なやる気ツイッチが入ると訳の分からない方向へ暴走することが度々あった。

「芽衣!さっさくその噂の男子生徒をここに呼ぶんだ!今、私が考えた風俗街への1番目撃者の少ない的確なルートと下校時の心得を小一時間ほど唱えたうえ、現場の状況と私のルートの照らし合わせに行くとしよう!」

(こいつ…アホだ…。頭良いけどアホだ…。)

芽衣と生徒会のメンバー、綾音すらも川上をそう思った。

「川上君、心配しなくても例の噂の子はもう呼んであるよ。」

綾音がそう言ったその時、生徒会室のドアがノックされた。

「すいません。三年の金城 優人です。呼び出しされたんで来たんですけど〜。」

扉の向こうで気だるそうな声をした優人が答えた。

「はい。どうぞ〜。」

「失礼しま〜す。っと、生徒会のメンバーがこんなに…。」

優人はせいぜいいても2人か3人くらいかと思っていたので少し驚きながら生徒会室へ入ってきた。

そんな戸惑いながら入ってくる優人を見て綾音は疑問に思った。

「金城さん?そのお方は?」

綾音は優人と一緒に入ってきた招かれざる客を見てそう優人に聞いた。

「え〜と、こいつはクラスメートで…。」

「はい!自分は優人と同クラ(同じクラス)の足立 健人(あだち

けんと) です!!来週やる綺音さんの来る合コンの参加メンバーです!!よろしく!」

健人が自己紹介を終えると生徒会室は静まり帰った。

「・・・。なんだこの空気…。なんかやっちゃった?俺?」

流石の健人も生徒会に漂う空気をおかしく思い優人に訪ねた。

「最悪の自己紹介だな…。生徒会の副会長見てみろ。すげぇ睨んでっぞ。」

ふざけた健人の自己紹介を聞いて川上はすごい剣幕で健人を睨み付けていた。

メガネをかけて顔もシワを寄せるとヤクザ並の迫力があるため健人はビクつきながら、優人の後ろに隠れた。

「おい!いつから生徒会のメンバーにヤクザが入ったんだ?ヤベェだろあれ!ドス利きすぎだから!」

健人は優人にしか聞こえないくらいの小声で強く優人に言った。

「怖いよぉ〜、生徒会。怖いよぉ〜。」

泣き声を言う健人を無視して優人は綾音の方へ向きかえった。

「呼び出しして俺に話す件って昨日の件以外に思い浮かばないんだけどそれでいい?」

「ええ、それで問題無いわ。もちろん生徒会のみんなにはもう事情を話してしまっている。教員にバラすような人はここには居ないからそれだけは安心して。」

綾音は優人が噂の男子生徒だと言うことを生徒会のメンバーに話している事を伝えた。

「そうか…。まぁ、協力してもらうわけだから当たり前か。」

「それより、これからその話をする訳だけどいいの?彼?」

綾音は優人が風俗街に通っている話をする際に健人がいたらバレてしまうのでは無いのかと心配になり優人に健人がいても話を始めていいのか訪ねた。

「あぁ、健人は1年の頃から俺が通ってること知ってるしこいつが知ってて周りにバレてたこともなかったから別に問題ないよ。」

「そう、じゃあ始めるけどその前に。健人さんでしたっけ?さっき私が参加する合コンがどうとか言ってたけどどうゆうこと?」

綾音は先ほどからずっと引っかかっていた疑問を優人の後ろでビクついている健人に聞いた。

すると健人は綾音かれ話を振られていつもの調子に戻り話始めた。

「えっとぉ〜。来週、生徒会の女子メンバーと合コンをする予定がありまして、それに綾音さんも来るって聞いてまして。」

そんな健人のハッキリしない話を聞いて綾音は思いつき、芽衣の方を向いた。

「芽衣ね?私、そんな話聞いて無いんだけどどうゆう事かしら〜?」

綾音は笑顔の表情は崩さずしかし明らかに怒っている雰囲気を漂わせていた。

「会長、怖いです。」

芽衣も健人と同じように綾音をダシに使って合コンをしてイケメンを捕まえようと計画していた。

(なんか、健人とこいつ似た者同士だな。)

優人は芽衣を見ながらそんな事を考えていた。

「はぁ、もういいです。その件は後でじっくり芽衣に聞くとして、今は金城さんの件の話をしましょ。」

綾音は生徒会室にある時計を見て無駄に時間を使ってしまったことと芽衣に呆れながらも本題に入ろうとした。

「では、会長。その件についてまず私から提案があります!」

先程からずっと眉間にシワを寄せ怖い顔をしていた川上がここぞとばかりに張り切って前へ出た。

「まず、あなた。あぁ、先輩でしたね。金城 優人先輩の付き添いでついていく生徒会委員の選抜ですが、月曜~火曜が田代 芽衣 水曜~金曜が私が付き添います!」

「えぇー…。あたし〜?」

急に決められた日程に小声で田代は嫌がった。

そんな嫌がる芽衣を無視し川上は続けた。

「付き添いごときの仕事にわざわざ会長が出向くこともありませんしさせません!二人にきりにはさせません!」

「優人〜、なんかあの副会長変に気合い入ってね?顔さっきからずっとヤクザ顔だし。」

健人は川上の変な態度をみて優人に耳打ちをした。

「妙に気合い入ってるってゆうか…。なんか変だよな。」

健人の疑問と同じように優人も疑問を抱いていた。

「川上君。流石にそれはハードスケジュールだわ。それでは芽衣と川上に負担がかかりすぎています。川上も良い大学狙って勉強をしているのでしょう?ならもっと負担を分けるべきです。」

「大丈夫です会長!芽衣は毎年暇人野郎で私はおそらく付き添いも勉強も並列してできます。」

綾音は川上と芽衣への負担を心配したが、川上は自信アリげに堂々と答えた。

「ちょっと〜、私の意見無視ですか〜。私も来年受験生ですよ〜。」

芽衣は自分の意見を聞いてくれることを半分諦めながらもそう呟いた。

「いえいえ、副会長。流石にそれはどうなんでしょう?自分達も手伝いたいですし。」

暴走している川上に他の生徒会メンバーも異議を唱えた。

「川上君、少し落ち着いて下さい。付き添いのローテーションにかんしては生徒会のみんなで話し合ってじっくり決めましょう。とりあえず、今日は私がいきます。」

「会長!それはなりません!」

「ヒュ〜、綾音ちゃん大胆〜。」

綾音の決断に川上は反対し芽衣は冷やかしのような事を言った。

「芽衣ぃ〜、貴様は真面目にヤレぇ〜。」

ふざけている芽衣のコメカミを手でグリグリしながら川上は言った。

「今日、付き添いする相手を決めるため俺を呼んだ訳じゃないだろ?」

なかなか話が進まないため、優人は話を進めるため綾音に問いかけた。

「え?あぁ、そうね。来てもらった理由はまず、協力してもらう生徒会のメンバーとの顔合わせてと金城君に詳しい話を生徒会のみんなにしてもらうために来てもらった訳なんだけど…。」

その時、昼休みが終わるチャイムがなってしまった。

「あ…。」

「終わっちゃたな…。」

「終わりましたね。」

健人と川上が虚しくそう呟いた。


詳しい話は後日となり優人と健人は生徒会室から出ていった。

「はぁ、なんのために来たのやら…。」

優人はせっかくの昼休みが潰れため息をつきながらそう言った。

「まぁまぁ、なんか生徒会のメンバーも楽しそうな人たち多くてこれから楽しくなりそうじゃん?」

「お前ぇ、人事だと思ってんだろ?」

その時、優人のお腹が空腹を知らせるため大きな音をたて鳴った。

「ヤバイ…。俺、昼休みなんも食ってねえ…。」

優人のその後の授業は空腹との戦いになった事は言うまでもない…。

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