才色兼備、ついにギャルに図星を付かれる
少女漫画のような、恋をしたい…
それは女の子ならだれしもが思い、夢みる願い
そしてこれは、そんな思いを持つ女の子と大人の世界に染まり過ぎた男の子の恋愛の物語。
第1話 「才色兼備、ギャルに図星を付かれる」
「みさきちゃ〜ん! おはよう!」
そう言いながら、自宅から登校する自宅登校組と合流する女子寮組の一守 綾音。今回の主人公である。
高校3年で生徒会長を務め周りからの信頼もあつく、人気がありかなりモテたりしている。
しかし、彼氏は出来たことがなく作ろうともせず、彼氏いない歴=年齢だった。どうしても、一人暮らしがしたいのと実咲と同じ学校に行きたかっため、親(父親の方)を説得しなんとか女子寮での一人暮らしと実咲と同じ学校に条件付きで通える許可を貰えた。
「おはよう。あやねはいつも元気だね~」
微笑みながら、そう綾音に答える宮越 実咲は綾音の一番の親友で、いつもよく2人で一緒に遊んだりしている。
綾音とは幼稚園からの付き合いでお互いのことならなんでも知ってるぐらいの中だった。
中学の時は同じ学校に通えていなかったが、高校になりまた一緒の学校に通えるようになった。
高2の頃に、綾音がモテるのにあまりに彼氏を作らないので、実咲と綾音はレズなのではないか?という噂が流れるほど一緒にいることが多い。実咲は綾音とは違う魅力があり、綾音よりもクールな美人系で、実咲もかなりモテたりしている。そのため、レズ事件の時は男子にもそれなりに好奇の目に晒されていた。
「こないだでた、キミキス(君の頬にキスをしてという今流行っている少女漫画)の新刊みた?」
綾音は興奮気味で実咲に話した。
「まだ、読んでないよ〜。てゆうかほんと少女漫画好きだね〜。モテるんだから現実で恋愛すればいいのに。」
「いやいや、ないない!東上君(キミキスの主人公の彼氏役)みたいなカッコイイ人だったらいいけど。」
そう、否定しながらキミキスの内容を思い出してまたもや興奮している綾音。
綾音は、幼い頃から親(父親の方)の厳しく育てられ、娯楽は許されておらず、その娯楽の中に少女漫画も入っていた。そんなことから高校に入るまでこそこそ、父親に隠れ少女漫画を読んでいて、一人暮らしで堂々と読めるようになりついに趣味が爆発したのだった。母親の方は、「お父さん、あの歳になってまだ娘離れできてないのよ。まぁ、そこが可愛いんだけどね?」
「綾音には迷惑かけると思うけど頑張って。おかーさん応援してるし、綾音の宝物(少女漫画)は絶対守るから!おかーさんも読むし!お父さんなんかに東上君を手荒に扱って、たまるもんですか!」と綾音のこと(?)をサポートしてくれたりしてくれていた。
少女漫画の内容を思い出しながらうんうん唸っている綾音を見て実咲は
「あのねぇ〜、いるわけないでしょ。生徒会長までやってテストの結果も毎回上位をキープしてる人の考えてることとはまるで思えないわ。」
少女漫画の内容を思い浮かべ、うんうん唸ってニコニコしてる綾音の横顔を見ながら勿体ないなぁっと半分呆れながらそう言った。
「いくら、少女漫画しか興味ないって言ってもそろそろ、良いなぁこの人って思える人いなかったの?」
その、質問に綾音は急に現実に戻されたように考えて始めた。
「うーん、優しく人とかカッコイイ人とかは確かにいたけど、ピンと来ないんだよね〜。」
綾音は今まで告白された人達を思い出しながらそう答えた。
「あんたねぇ〜、高望みし過ぎ!ハードル高すぎだよ!いつか絶対後悔するからね〜。周りは結婚してるのに取り残されても知らないからね。」
「大丈夫!その時は実咲に貰ってもらうし!少女漫画があるし!」
綾音はそうキッパリと答えた。本気でそう考えて言っている綾音に実咲は、勘弁してよーと言いながら学校の校門を綾音と2人でくぐった。
「じゃね、私こっちだから」
実咲は手を振りながり綾音と別れようとする。
「じゃね〜、早くキミキスの新刊読んでね!語り合お!」
綾音も、実咲にそう言いながら手を振った。
「あ!そういえばあやね、今日生徒会なんだっけ?何時ぐらいまでやってる?なんなら私、図書室で待ってるけど。」
そういいながら実咲は綾音に再び振り返った。
「うーんとね、今日は何時に終わるかわかんないんだ、先帰ってていいよ〜。ごめんね。」
綾音は申し訳なさそうにそう言った。
「あぁ、いいよいいよ、気にしないで〜。じゃあ生徒会頑張ってね!」
実咲は今度こそ別れを告げた。
綾音も自分のクラスへ歩き出した。
(綾音、ほんと大丈夫かなぁ〜。将来が心配で堪らない。登校中、男子生徒に見られてることにも気付かずっていうか、興味も無さそうだったしなぁ〜。)
実咲は、ため息を付きながら自分のクラスの教室に入っていった。
昼休み、朝の遅刻で生活指導を受けてしまった。派手めの女子生徒(ギャル系)を急用が入り指導を出来なくなった先生のかわりに生徒会長である綾音が指導することになった。
「やった!ゴリ(生活指導の生徒)じゃないじゃん!ラッキー。しかも優しい生徒会長で良かった〜。昼間っからゴリの説教とかほんとなえるし〜。」
そういいながら、女子生徒はネイルを塗り始めた。
「えーと、三条 雪さんだよね?まず最初は、なんで遅刻したんですか〜?」
綾音は書かなくてはならない資料を見ながらそう問いかけた。
「寝坊でーす!昨日遊び過ぎちった!会長も今度ウチらと遊ぼ〜!会長なら大歓迎、美人だから男寄ってくるし、合コンできるし!」
そう、テキトーに答えながら綾音を遊びに誘った。
「遅刻ね、はいじゃあ遅刻っと。後、私合コンとか何したらいいのかわかんないから他の遊びならいいよ〜。」
綾音は提出書類を記入しながら答えた。特に合コンにも興味もなかったため三条の誘いには断りを入れた。
「会長ってほんと真面目だよね〜。でも、堅すぎないから親しみやすいし!そりゃ、モテるはずだしファンも出来るわけだわ〜、私生まれ変わったら会長になりたいわ〜。」
三条は再び、ネイルを塗りながらそう答えた。
「ファンなんていないよ〜。それに私に生まれ変わったしても結構面倒だよ?生徒会長って言っても雑用ばっか押し付けられるし。」
三条はそんな綾音の言葉にアハハっと笑いながら、確かに〜と答えた。
「えーと、次は今月もうこれで7回目の遅刻なんだけど、これから遅刻しないためになんか対策を取らなきゃいけないわけね?なんか対策あるかな?おかーさん、おとーさんに起こしてもらうとか、目覚ましかけるとか。」
「うーん、ウチ親と仲悪いかんな〜。それにウチ寝起き超わりぃし。」
三条は悩みながらそう答えた。
「じゃあ、友達は?朝電話してもらうとか、なんなら私でもいいけど。」
「マジ?朝から会長の声聞けるとか超至福じゃん!会長狙ってる男どもに超自慢できるし! でもまぁ、会長に迷惑かけるわけにはいかないから友達頼るわ。ありがと会長!モテる理由わかったわ。」
そう笑いながら綾音に感謝を告げた。
「てかさぁ、思ったんだけどそんな誰にも優しくて美人でモテんのになんで彼氏いないわけ?あれ?いなかったよね?なんで作んないの?」
三条は不思議そうにそう綾音に訪ねた。
「うーん、いい人がいないから?」
そう、曖昧に疑問形で綾音は答えた。
「えぇー、あのほら!バスケ部のキャプテンとかにも告られたんしょ?なんで断ったの人気あるしモテてんじゃんあいつ。つか待ってもしかして会長って……今まで彼氏とかいなかった系?」
三条は少し深刻そうな顔をして綾音に尋ねた。
綾音は、高1のころからモテていたが、特定の誰かと付き合ったという話はなく、実際そのとおりだった。
そんな、質問と三条を表情を見て焦った綾音は焦った。
「… え? いたいた!中学2のころに!まぁ、ケンカ別れしちゃったんだけどねぇ〜。」
綾音は、高3にもなって彼氏が出来たことがないなんて恥ずかしいと思い。思わず嘘を付いてしまう。
その答えを聞いた三条は安心した表情を浮かべた。
「だよね〜、いなかったわけがないよね! でも、あのバスケ部のキャプテンでも無理だった会長を落とした男ってどんなんだ?」
三条はう〜んと唸りながら首を傾げている。
綾音は彼氏がいたということ、怪しまれないように具体的に特徴を伝えようとしたが
「えーとね、身長はそれなりにクラスでも高くてね。幼なじみだったんだ〜。サッカーやっててカッコよかったよ〜」と今まで恋愛漫画での恋愛しか知らないためテキトーな事しかいえず、三条はますます悩み。
「会長の元カレ見してくれない? ケータイとかに写真ないの?」
驚きのあまり、一瞬動きを止めたがすぐ様、正気を取り戻し綾音は答えた。
「ないない!ケータイ変えちゃっちし、変えた時に消えちゃった。」
綾音は、動揺を隠せず声の音量が上り、怪しい行動を取ってしまう。
「えぇー、じゃあ今度合わせてよ!1回でいいから見てみたいんだ!お願い!会長。いくら喧嘩別れしたっていっても美人な会長が一声かければ絶対来るって!」
三条は綾音の元カレをどうしても見たく、綾音に頭を下げた。
綾音は焦りながら
「ちょ、ちょ、無理無理!相手にも都合あるだろうし、喧嘩別れしちゃったから、会ってくれないかもぉ〜。なんちって。」
なんとか、三条に諦めて貰おうと会えない理由を考え伝えていたが、三条はそんな焦って顔も合わせようとしない会長を見て
「え〜、てか、会長さっきから怪しすぎ、口調もなんか変になってるし。元カレだよ?元カレ!会うぐらいでどんだけ同様してんのよ。なんか元カレに事情でもあるの?」
三条が綾音を疑い初めた。
その様子にますます焦り
「ないない!う〜んと、元カレでしょ?元カレ! 事情なんか得にないよ〜。」
三条はなんか変な会長と言ったような感じで少し考えて
「あ!、じゃあさ、卒アル制作に友達も誘って協力するからさ!あれ今、いろいろ大変なんでしょ?お願い!」
その言葉に一瞬綾音は戸惑った。
高3になって、今まで高1から撮ってきた卒アル用の写真を選出したりまとめたりと卒アル委員がいなかったためその役割が生徒会にまわってきて、忙しいのは確かだった。
「確かに、今大変で困ってるけど…」
あまりに助かるので返事に困っているところに、三条は有無を言わせないように
「じゃあ、決まりね!土曜の12時、駅前のダタールっていう喫茶店で待ち合わせね!それじゃ!友達も呼ぶから〜」と生活指導室からでていってしまった。
取り残された、綾音は一瞬放心状態になり、次の瞬間机にうつ伏せ、激しく後悔する。
(ヤバイ!ヤバイって〜!私、元カレなんていないし、今更嘘でした〜なんて恥ずかしくて言えないし作り上げてきた私の完璧生徒会長像が崩れてしまう〜!)
綾音は、当日あるいわ前日にやっぱり連れてこれなかった〜と言う事も考えたがどれもこれもしっくりこず。
(ちょ、ほんっとどうしよ!こうなったらなんとかしてでも、土曜までに元カレ役を建てなければ!今日は月曜だからまだ猶予はある。何とかせねば!最悪実咲なら、カワイイ系と言うよりはクールで美人系だから男装させれば・・・いける!!いけるよね?いや、いけるいける実咲なら!)
と本人が聞いたらあまり嬉しくないようなことを考えてながら対策を立てていた。
こうして、才色兼備は今カレではなく元カレを求めた…