時空魔術は彼のオリジナルだそうです
※ジークリードはまだ6歳です
「ふむ、開眼したところでテストである。今から3つ数えたあとに指を立てる。何本の指を立てるか未来視で見通してみろ。脈拍5回分くらい先を予測したいと念じてみろ」
うお、視界がダブってみえる…棒立ちのシェズバルドと指を3本立ててるシェズバルドがダブってみえてる。左眼を閉じたら指を立ててるシェズバルドだけになった。右眼が魔眼になっているのか。
「3本だな」
「むっ、もう視えたのか。飲み込みが早いな。後で説明するが、お主には魔術も会得してもらい、森の魔物と戦闘を繰り返してもらう。魔力総量を高めてもらうためである。その時にこの未来視を積極的に使ってもらい、出来るだけ早く実戦で使えるようにしてもらいたい。未来視なしの戦闘経験も積んで貰うが」
「魔力総量って、使えば使う程上がるのか?」
「そう思ってくれていい。肉体が発達途中の子どものうちが1番魔力総量をあげやすい。逆に完成形である成人を迎えると器を広げるは非常に厳しい。知能的な問題で、魔術が本格的に使えるのはだいたい10歳前後であるが、お主なら今からでも使える。術式に関しては魔術書を読解して覚えていくのが基本であるが、俺は術式伝承が使える。まず最初に時空魔術から伝承するか…」
「時空魔術?全部で六属性じゃないのか?」
「時空魔術は俺とリンカ・ローレンツというエルフと二人で開発した、属性を持たない完全オリジナルの魔術である。リンカはおそらく今でも外部に漏らしておらんだろうから、現状使えるのはリンカだけであろう」
そんな簡単に魔術作っちゃえるの?シェズバルドさんバランスブレーカーすぎるだろ。
「リンカって人は今でも生きてんのか?」
「むっ、エルフは長寿であるからな。殺されでもしないかぎりハイエルフとして今でも生きておるであろう。ふむ、それより時空魔術を伝承が済んだぞ」
「は?え、いつの間に」
「とりあえずは『インベントリ』と『サードアイ』を伝承した。これ以上お主の魔力を借りるのは厳しいから今日はここまでであるな。といっても、いままで魔術を使ったことがないことを鑑みると、これほど魔力を使っても平然としておれられるのは過去にもなかなか見ないポテンシャルであるぞ」
「そ、そうなのか…ところでそのインベントリとサードアイとやらの説明をしてくれないか」
インベントリはもう説明不要なくらいに察しがつくけどね。スタイリッシュ四◯元ポケットだろ、どうせ。
「インベントリは亜空間に物質を送り込む魔術だ。容量に限界はないが生物は入れられない。死体は入れられる」
テンプレでした。本当にありがとうございます。なんかもう異世界転生に必須だよな。容量無限の収納術って。
「次にサードアイだが…今までに類を見ない概念であるために少し説明が難しいな。あらゆる事象を理解し、それを情報化。情報の整理や表示などを行い術者を支援する術式であるが…伝わるか?」
あれか、もしかしてRPGのメニューウィンドウみたいなもんか?よく森羅万象とか名付けられてたりするアレ。
「…自分のステータスの表示、相手のステータス表示、武器や物の解説、自分が使える魔法、自分が『インベントリ』に放り込んだもの管理する…そんな感じの事ができるのか?」
ここまで無表情だったシェズバルドがわずかに驚きの表情をみせた。図星か。400年前にRPG的なもんを開発したってことなのか…?こいつら未来に生きてんな。
「ふむ、完璧に理解しておるな。やもすると、お主のいた世界に同じような概念があったのか…ふむ、とにかくまあ、だいたいそのような感じであるな。ちなみにインベントリはサードアイを介せずに物を取り出そうとすると、取り出したい物の指定ができないから、次々と関係ない物が出てくることになるぞ」
まんま焦ってるド◯えもん状態じゃん。シュールすぎる。
「インベントリもサードアイも術式が類を見ないほどに難解な為に読解が難しいが、術式展開を一度してしまえば機能は永続する上、魔力の消費も最初だけだ。『イネーブル・インベントリ』『イネーブル・サードアイ』と念じてみろ」
あっはい。イネーブル・インベントリ。
「うっ…ちょっとクラっときた」
「むっ、魔力枯渇が近いか。次で打ち止めであろう」
イネーブル・サードアイ。
「うぅ!?くぅ…ッ!!」
あ、ダメだ。体が重い。頭がボーッとする。あ…もう…無…理……
異世界にインベントリは必須。はっきりわかんだね。