念願の魔眼を手に入れたようです
ただ遠くが見えるだけじゃちょっとなぁ…とか考えてたら千里眼がぶっ壊れ能力に
※6/4 魔眼について前に改稿したつもりが反映されていなかったので再び改稿しました。「他種族が魔眼の存在を知らない」という旨の説明部分です
「まず約400年前の情報ではあるが、この世界について説明する。この世界には人間族、獣人族、エルフ、ドワーフ、魔族が存在する。獣人族は一括りにしているが猫人族や狼人族などいろいろな動物の遺伝子をもった種族が存在している。が、基本的に彼らは同じ種族としか子を成すことができん。
逆に人間族、エルフ、ドワーフ、魔族は種族間をまたいで子どもを作ることができる。そういったハーフはかなり珍しいがな。特に人間と魔族のハーフは、種族間の禍根を鑑みてもまず存在しないであろう。言うまでもないがアクシア族は人間族に属しておる。人間族は他種族に比べ、能力的な面で優れた部分は特にない。しかしながら数の多さとそれなりの魔力を持っておる。だが高い能力を持つ魔族やアクシア族の存在があったため、全種族のてっぺん、というわけではなかった」
「弱体化前のアクシア族ってそんなに強かったのか?」
「むっ、アクシア族は全種族中最高の魔力総量、火・水・天・地・聖・闇の全属性の魔術適正、錬成能力、魔眼、獣人族に引けを取らない身体能力と、どう見ても全種族で最強の一族であったな」
ウェイウェイ。魔眼って言った?おいおい…銀髪オッドアイに全属性魔術に魔眼とかもはや厨二マイスターじゃねーか。闇の炎に抱かれて死ねとか言ってきそう。
「魔眼は非常に強力である。その強力さの余り『開眼の術式』を埋め込むのは錬成が使える歳になってから、という掟があった。人格形成の過渡期にある子どもにおいそれと与えられる程チャチな能力でないからな。また、他種族は魔眼の存在を一切知らん。魔眼の存在を他種族に明かすのはアクシア族における最大の禁忌。増長しやすい子どもに与えることは尚更できん」
なにそれ、そんなぶっ壊れなの。もともとのポテンシャルだけでも無双できるのに魔眼使ったら鬼に金棒どころじゃねーよ。全盛期のイチローと互角に渡り合えそう。
「魔眼には『未来視』『千里眼』『心眼』の三つの力がある。未来視は文字通り未来を見通すことができる。脈拍10回分くらい先まで見えるが、そこまで先の未来はアテにならん。脈拍5回分くらい先ならばほぼ正確だな。脈拍3回分くらい先ならば相手がかなりの手練でも、まず予測通りになる。こいつに関しては使いこなすのに1番鍛錬を積まんといかんだろう」
はい、チート御用達の未来視キター。つーか魔眼の力三つもあんのかよ。アクシア族始まったな。あ、聖杯奪われて終わってたわ。
「千里眼は遠くを見通す力で、遮蔽物さえ無ければどれだけでも先が見える。また、通常の視認距離にすると、後方や側方が視認できる周辺視の力、遮蔽物を任意で透過させることできる透視の力もある。暗視の力も常時発揮する。未来視と違って、少しばかり練習すればすぐマスターできる」
遮蔽物を任意で透過…だと…!?これはもう使用用途はひとつしかないじゃないか、いい加減にしろ!!
「心眼は相手の心を見通す力だ。しかし、この力は1番使いにくいもので、相手の精神に強制的に入りこむせいか、自分にかかる負担が大きい。乱発しておるといずれか精神崩壊を引き起こす。一日に一回までが限度であろう。また、覗かれる側も精神に入り込まれたのを感じ取れる。仲間内に使うのは控えた方がよい」
まあ、心の中を覗かれたら不愉快でしかないよな。俺も前世じゃ上司ハゲろとか会社爆発しろとか考えまくってたし、覗かれたら困るどころの騒ぎじゃない。
「でも大人になるまで使えないんだろ?そもそも開眼の術式とか、今のアクシアで使える奴いなくね?」
「俺がおる。遺志の光であるから魔力を持っていないが、魔力さえ供給してくれれば術式伝承なんぞお茶の子さいさいである。というか俺の専売特許である。お主にはさっさと使いこなせるようになってもらいたい。ふむ、こっちへ来い」
掟とは一体なんなんだったんですか?魔眼超欲しいから文句ないけど。異世界チーレム王に、俺はなる!
「ふむ、右でも左でも良いから手を突き出せ。で、目を瞑って精神を安定させろ」
え、こんなドキがムネムネなシチュで精神統一とか無理っすよ…ここは前世の知恵を活用してだな…舍利子。色不異空。空不異色。色即是空。空即是色………
「終わったぞ」
「え、早っ!?なんか『神に愛されし一族に全知全能の眼を与えん!!』的なかっこいいセリフとか、かっこいい魔方陣みたいなエフェクトが発生するとかないの!?」
「むっ、無詠唱も術式回路の不可視化もできんようではアクシアの面汚しであるぞ」
マジかよアクシア族始まったな。
野菜を洗うか、野菜を貰ってくるだけの主人公はもういません。俺たちの戦いはこれからだ!!