表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/106

復讐の決意をしたそうです

ニック退場。ちょっと区切りにくいところなので短いです。

俺はソフィアを抱いて石像のように固まっていた。何も考えられない。何もわからない。ソフィアは息をしていない。涙が止まらない。声も出ない。


リディアナさんが来た。息を切らしている。顔が真っ青だ。ケガはしていないようだ。血まみれの俺たちを見つける。口もとを押さえ驚愕と悲哀の表情を浮かべる。俺のもとへ駆け寄る。ソフィアの死を嘆いている。悲しんでいる。


リディアナさんはハッとした顔をし、「リリィは!?」と聞いてくる。が、束の間「お母さん!」という声とともに玄関からリリィが出てくる。リディアナさんに抱きつく。リディアナさんは抱きとめる。リリィはこちらに気づく。リリィは泣き出す。


「リディアナさん」


リディアナさんは涙を浮かべながらこちらを向く。俺を慰めようとしてくれている。


「ニックは…ニックは知りませんか」


リディアナさんの顔が歪む。言葉に詰まっている。


「教えてください。ニックは」


リディアナさんは嗚咽をしながら答えてくれた。




ニックも殺された。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



その夜、リディアナさんが全てを話してくれた。村のあちこちで村の人間が殺されたらしい。襲われたのは加工所と我が家を含めた民家10軒で、加工所からは大量の家具や工芸品が、民家からは陳列された全ての錬成品が略奪された。襲撃者は三人の男で、二人は長い刃物のような物を持っていて、一人は何も無い所から火の玉を飛ばしてきたらしい。また三人とも黒いバンダナのようなもを付けていて、全員が赤い髪をしていたと言う。明らかにアクシアでない人間だ。


父であるニックは加工所で作業をしており、男たちが家具を大量に持っていく所を止めようとしたころ、刃物で首を切られたらしい。

リディアナさんの夫も加工所で作業をしていたらしく、ニックの叫び声を聞き、男を引き止めたところ、火の玉をぶつけられ燃やされたらしい。リリィの父も死んだのだ。


襲撃にあった他の人たちは、みんな同じように殺されたらしい。これまで外部の者に村を襲撃されたことは、ただの一度も無かったらしい。


村は深い悲しみに包まれていた。

咽び泣く声と嘆きの慟哭で溢れていた。

初めて目の当たりにした殺生に震え上がっていた。



しかし



憤怒の激情を


復讐の決意を


怨嗟の殺意を



その心に宿す者などいなかった



俺は違う



略奪者は必ずまた来る


高品質な錬成品を抵抗されることなく、大量に得ることができたのだ


味を占めるに決まっている




二度目などアクシアが認めても




俺は決して認めない




俺が必ず、殺す




ニック「(作者を)許さない。絶対にだ」


すまんなニック…お前の出番は出産の立会いだけや…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ