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猫又さんの優雅な日々  作者: 出島優
7/14

7.猫又さんと美人さん

バシャア!

「なによ!このアバズレ!」

タタタッ

「…」


「あらあら大丈夫?」

「あーあ、服濡れちゃった…ん?猫がしゃべってる?」

「私は猫又だからしゃべれるのよ。猫又さんってよんでちょうだい。」

「そうなんだ。猫又なんて初めて見たわね。」

「あら?驚かないの?」

「人間やってたらね、そんなことにいちいち驚いてたらきりがないのよ。今や歴代首相が美少女になる時代よ?」

「すごいわね、あのおじさんたちが。」

「ええ、はるな○いもびっくりだわ。」

「ところで、あなたの名前はなんて言うの?」

「そうね、適当に美人さんとでも呼んで頂戴。」

「自分で言っちゃうの?」

「ええ。何か?」



面白い人だなと思ったので、ちょっとお話していくことにしたわ。

よいしょっと。

「あなた猫なのに、椅子にもすんなり乗れないのね。太ってるからじゃない?」

「! あ、あなた乙女に向かってなんてことを!」

「まあ触り心地はいいけどね。ほーれ、ぐるぐるぐる。」

「にゃ、にゃふっ…ごろごろごろ」

「なんだ、やっぱり普通の猫と変わんないじゃない。」

「もう、いきなりのどを触るなんて…それに私は猫じゃなくて猫又なの!すごいのよ!」

「へー。たとえば?」

「たとえば、そう妖術とか使えるわよ!さっきあなたに水をかけた人を懲らしめたりとかも」

「あ、別にいいわそれは。」

「でき…?いいの?」

「ええ。あれは私が悪いから。」

「そうだったの。」

「そんな複雑なことでもないけどね。町でたまたま知り合いのあの子がデートしてるところに出くわして、彼氏が私の方に惚れちゃったってだけ。全部私が美人なのが悪いのよ。ああ、美しいって罪ね。」

「す、すごい自信だこと。」



「話を戻すけど、あなたはなんか変な術が使えてしゃべれるってこと以外、普通の猫なのよね。」

「それをすごくないっていうあなたがすごいみたいだけど…でもそうね。あとは長生きくらいしかないかも。」

「あなたそんなに長生きなの?」

「ええ。生まれは江戸時代よ。」

「そっか。じゃあさ、一個お願いがあるんだけど。」

「? いいわよ。タイムスリップとか?それとも降霊?」

「そんなんじゃないわよ。」


「あなたが生きてきた中で、美しいなと思ったものの話を聞かせて頂戴。」


「…」

「どうしたの?」

「いえ、今までそんなことを頼んでくる人、いなかったから。ちょっと面食らったの。」

「いなかったんだ。意外ね。」

「そう、そうね。私が美しいと思ったもの…」





―猫又さんと美人さん、続く


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