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猫又さんの優雅な日々  作者: 出島優
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6.猫又さんと「にらめっ子」

こんにちは、猫又さんです。

この前男の子に蹴られちゃったの。ビックリしたわ。まさかなんにもしてない猫に手をあげる、いや脚をあげるなんてね。

まあ昔はお武士様に逆らったら切られちゃうってこともあったから、それと比べれば平和になったのかしら。


ところで、猫又さんはちょっとだけ妖術や仙術が使えます。だって猫又さん、長生きだもの。

妖術の中にはこんなのもあるわ。日本でいう「にらめっこ」みたいな幻術なんだけどね、かけられた人が誰かに与えた痛みや歪みの分、その人は恐ろしい幻覚を見るの。幻覚は、その人のいわば「業」の分だけ恐ろしく、長くなると言われているわ。

そしてこの術の一番怖いところは、術を使った人も、かけられた人と同じように歪んでしまうの。そう、「にらめっこ」とおんなじように。


妖術や仙術というと、人間のみなさんはなんでも簡単にできるって思ってらっしゃるみたいなのだけど、実際はすごく難しいのよ。術をかけるためには色々なものの力を借りなければいけないし、それはつまり自分にも支払いが生じるの。だから本当は使うよりは、自分で頑張った方がいいのよね。

私は「助けてほしい」ということは悪いとは思わないけど、自分でなにもしないで、「あの人だったら何とかできるだろう」って頼む人をなんにもなしに助けるほど、できた猫ではないのよね。こればっかりはどんなに長生きしても変わらないわ。

さて、とりあえず家に帰りましょうか。明日になったらまた、違う一日が始まるでしょう。






「えー、誠に残念ですが、みんなの仲間の金田智樹くんが入院してしまいました。」

「なぁコバンザメって…」

「ああ、いじめてた奴だよ。」

「たしか不良のショウゴも急に大人しくなったって。」

「…あいつ、何をしたんだ?」


教室がザワザワしている。

みんな、内心ホッとしてるんだろう。明日は我が身だとか思ってただろうし。僕がいじめられてる時は、誰1人助けちゃくれなかったのに。

席を立った。クラス中がシンと静まり、チラチラと僕を見る。僕は適当に、固まってた2人の男子のところに歩いて行った。2人とも「おはよう」「おっす」と挨拶をして、引きつった笑みを浮かべる。

僕は笑った。僕は悪くないはずだ。だってあいつらは同じことをやって、なんの罰も受けなかったんだから。







ー猫又さんと「にらめっ子」、終わり

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