4.猫又さんと「いじめられっ子」
「ううっ、うう…」
「あら、どうして泣いてるの?」
「...?!ね、猫がしゃべった?!」
「そうよ、はじめまして。私猫又さん。」
「猫又さん…?」
「うん。猫の妖怪の。だからしゃべれるの。」
「そ、そうなんだ。」
「ええ。それで、あなたはどうして泣いてたの?」
「僕はいじめられてるんだ。毎日学校で殴られて、けられて、お金もとられるんだ。」
「そうなのねぇ。なんとかできないものかしら。」
「先生たちは面倒だからって、みんな僕のこと無視するんだ。いじめられる方にも原因がある、とかいってさ。同じクラスのみんなは、いじめてくる奴のことが怖くてだれも助けてなんかくれない。」
「…」
「そうだ、猫又さん!猫又さんは妖怪なんだよね?僕のことを助けてよ!」
「え?どうして?」
「どうしてって、猫又さんは僕の話を聞いてくれただろう?かわいそうだって思わない?」
「それは思うけど、私はただの猫又だしねぇ。」
「ただの猫又って…妖怪なんだったら、すごい妖術とか使えないの?」
「わたしは元が猫だもの。鬼さんとか龍さんのようにはいかないわよ。」
「じゃあそれでいいよ。術が使えるすごいヤツ連れてくるのでもなんでもいいから!」
「それだって難しいの。あの方達は神様だから、それなりの貢物とかしないといけないわ。」
「えー!まだ僕から何かを取ろうとするの?!あさましいな!」
「とは言ってもねぇ、こればっかりは…」
「なんだよー、ただあいつらをサッとやっつけてくれればいいだけなのに。」
「そう…じゃあやっつけられるなら、どうなってもいい?」
「いいよ。あんな奴ら、いる価値なんてないさ。」
「あんな奴ら、ね…。」
―猫又さんと「いじめられっ子」、続く