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猫又さんの優雅な日々  作者: 出島優
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3.猫又さんと飛行機

うおおおおおん


すごい音ね。でもあんな重そうなものを飛ばすには、あのくらいはしょうがないのかしら。

昔は外の国に行くときは決まって船か電車だったけれど、今は空を飛ぶのが普通なのね。


昔、知り合い達がご主人様に聞いていたの。

「人間は翼もないのに空を飛ぼうとする。それが私は不思議でならないんだ。彼らは飛ばなければ何かから食べられるっていうこともないみたいだしね。地面っていう自分の場所があるのに、彼らは何が不満だというのだろう。」

ご主人様はこう言ったわ。

「たしかに人間の居場所は地面だ。でも、人間は自分たちの持っていないものを求める生き物なんだ。それは完ぺきな存在とか、端的に神とか仏とかいわれるやつらかな。人間は、彼らが自分たちのたどり着けない雲の上にいると想像する。そして物理的に手の届かないものには追いつくわけない、自分たちがここにいるのは間違いじゃないと、ちっぽけなプライドを守りたがるんだ。」

「ずいぶんと利己的で、勝手な生き物だことねぇ。」

「だがそんな人間のなかにも、現状だけでは満足しない変わり者がいる。そんな奴らが潜水艦や飛行機を作ったりするのさ。」

「それは、いいことなの?」

「自分の見たかった場所を見れたという点では、まぎれもなくいいことさ。だが悲しいかな、彼らが望んだものはそこにはいなかった。でも彼らはあきらめないだろう。私は思うんだ。彼らはきっと、望んだものを見るためだったら月までだって行くぞ。」

「ははは、それはないなあ。賭けたっていいぞ。」

「よし言ったな?では…」





ご主人様、あれから何十年もたって、人間は最近火星にまで行こうとするようになりましたよ。

ご主人様の言ったように、人間の皆さんは、きっとこの世界の果てまででも行くでしょうね。

でもきっといつか、気づくときが来ると思うの。雲の上まで行っても、月の裏側まで行っても、宇宙の果てまで行っても、自分の本当に会いたい人には、向こう側へ行ってしまった人には、絶対に会えはしないということに。







ねぇ、ご主人様。

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