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猫又さんの優雅な日々  作者: 出島優
2/14

2.猫又さんとスマートフォン

おっとっと。


「なんだ、ネコか。邪魔だな。」


もう、危ないのはそっちの方でしょう。ずっと手元ばっかり見てて。歩くときは前と足元を見なさいな。

それにしても、最近は大人も子供もあの小さい板に夢中ね。スマートフォンっていったかしら。

猫又さんは妖怪だけど、やっぱり猫だから難しいことは分からないから、あの板がどういうものかは知らないわ。でも人間の方たちはあれがすごくお気に入りなのね。マタタビとかオリーブオイルよりいいものなのかしら。口にいれたり匂いを嗅いだりしているところは、見たことはないけれど。


そういえば、この世にテレビっていうものができてからずいぶん経ったわね。昔は白黒で、映像も今よりきれいなものではなかったけれど、それでもみなさん夢中になって見ていたわね。あの頃はテレビより進んだものなんて生まれっこないなんて思ってたけど、長生きはしてみるものだわ。でもそのテレビも、今の若い人はあまり見ないんだってご主人は言っていたみたいね。あの小さな板もピカピカしてるけど、あれはテレビとは違うのかしら?


実は猫又さん、あんまりテレビとかは好きではないの。

テレビとか、スマートフォンもそうだけど、あとパソコンっていうのもそうなのかしら?あれは、どんな人でも、ピカピカしていたらみんな食い入るように見ているの。まるで、「あの中に入りたい」って思ってるみたいにね。猫又さんは長生きだから、たまに考えてしまうの。今よりももっとすごいものができて、人間の方たちがピカピカしてるところの向こう側に行けるようになってしまったら、だれもこっちにはいなくなってしまうんじゃないかって。


そうなったら、きっとすごく寂しいわ。私はきっと、そちら側にはいけないもの。

私はみなさんを止めることなんてできないけど、せめてたまには帰ってきてほしいわね。

猫又さんは猫だけど、せめてお茄子と胡瓜くらいは用意して、のんびりピカピカの前で待ってるわ。

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