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13.猫又さんと二月十四日
時計の長針は、11を指したまま動いてないように見えた。
ああ、五分間ってこんなに長かったっけ。彼にちゃんと伝わってるかな。
手が、顔が火照る。チョコレート、溶けちゃってないかな?頭もちょっとくらくらしてきた。
…いっそ、このまま帰っちゃおうかな。
いや、ダメ。絶対にダメ!
いままで逃げて、見ないふりして、それでよかったことなんてなかったから。
しっかり向かい合って、目を見てこういうんだ。
ガラガラ
「! 鹿山くん!」
「やぁ西條さん。…えっと、話って?」
「あ、うんと、えっと、ね。」
「あのね、わたし、あなたが好きなの。よかったらこれ、受け取ってもらえない?」
「彼女は、十三月に行けると思う?」
「どうかな。でも、少なくとも、彼女の淡い願いはきっとかなうだろうね。」
―猫又さんと二月十四日、完




