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猫又さんの優雅な日々  作者: 出島優
12/14

11.猫又さんと十二月三十一日

最近では、冬でも昔よりは雪は降らないわね。

十二月なんて言ったら、もう歩けないくらいに一面真っ白になるのが普通だったのに。


舞い上がる周りには興味がないように、十三月さんは息が白くなるような寒い庭で、また「やぁ猫又さん。」と声をかけたの。


「こんばんは。今夜は冷えるね。」

「十三月さんは、年末の番組とかは見ないの?けっこう面白いのに。」

「僕はそれを願ってはいないからねぇ。」

「そう、じゃあ十三月さんの願いは何?」

「話術が巧みだね。でも教えてあげないよっ、じゃん。」

「…ひょっとして、バカにしてる?」

「ははは、君を馬や鹿と間違えるほどバカじゃないさ。」


除夜の鐘が鳴り響き、周りの家々からは楽しげな声が聞こえてきます。

「十三月さんは、年の瀬とかも興味はないの?」

「ないよー。だって年が終わったらみんな死ぬ、ってノストラダムスじゃあるまいし。」

「やり残したこととかはない?」

「そんなの考えてたら、いくら時間があっても足りないさ。人間の手のひらに対して、この世というのは多すぎる。生きていればそれだけ、取りこぼすものも多いんだ。」

「そうなの。じゃあ私はもっとこぼしちゃってそうね。手が小さいから。」

「ふふ、それはどうかな?」


『今年もあと少しだー!』

『カウントダウンいくぞー!5!』


「そういえば猫又さん。」


『4!』


「なあに、十三月さん?」


『3!』


「僕は明日から、十三月に行くことになったよ。」


『2!』


「え?」


『1!』




『『『ハッピーニューイヤー!!!』』』









私の眼の前にいたはずの十三月さんは、もうそこにはいませんでした。




ー猫又さんと十二月三十一日、続く



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