第三話 これからと救出
ハイ!またまた書きました♪見てくださってる方々はありがとうございます♪
「まず問題点その1なんだけど...ってこの状況がすでに問題だけどね♪」
笑うに笑えない冗談を言いながらDIXIEが続ける。
「そこの2人!諦めてこっちに来なさい!後開き直ってる1人も!」
先程見えた隅っこで蹲って居た2人がフラフラと前に出てくる。
1人は褐色の肌に白髪のポニーテールの美人だった、露出の大きいインナーの上から白いショートジャケットを羽織り、下半身はチャイナドレスの様なスリットが入っている、背中には髑髏をかたどった様な杖を背負っていた。
もう1人ノロノロ出てきたのは、テンガロンハットを被ったショートヘアーの女の子、白いショートジャケットにパンツはホットパンツ、腰には角ばったトンカチのような鈍器、左手には丸盾
『アル:LV100:ダークペイン/法士:所属PASHA』
『マジョール:LV100:エンチャンター/科学者:所属PASHA』
そして最後の一人は堂々と少し大きめの胸を揺らしながら歩いてきた、銀髪に二つ結びいわゆるツインテールに白いショートジャケット、フリルのついたフレアスカート、腰には二丁の拳銃を差している。
『トッチー:LV100:ダブルバレット/罠使い:所属PASHA』
「ん?この3人って...あれ?...そういう事か」
この3人は古参でPASHAの主戦力なのだが、3人が3人揃って女性のアバターを使っていた。
今の状況を整理するなら俺らはジェニシスオンラインの中に入ってしまった、つまり自分が作り出したアバターの中に入ったという状況である。この3人は本来外さない男性なんだが、ゲームくらい好きなキャラでやらせろという考えから女性のアバターを選んでいたプレイヤーである、もちろん女性になりきるというよりはボイスチャットでも男声だ叫びまくっていたので本当にアバターだけという事だったか...
「最悪だ...俺、男だぞ?!何だよこれ!有る物が無くて!無い物が有る!気持ち悪りぃよ!」
アルが頭を抱えながら叫んでいる。やはり声は男そのものだ。
「おっぱいが...おっぱいが...」
マジョールもブツブツとけしからん言葉を呟いていた、だがもう1人は呆気からんとしていた。
「僕としてこのままでもいいんだけどねー、なんというか神秘?ってのも理解出来るかもしれないし♪」
自分の胸を揉んだり突ついたり、しながらヘラヘラとしているのはトッチーだった。
これは何というか精神衛生状余り良くないな。
「 さて、この3人どーすればいいのかな?何か思い付く人いる?」
DIXIEが苦笑いをしながらギルメンに質問をする。
どうするって言っても今だに状況は正確に把握はできていない。まずはそこからだろ、じゃなきゃ何も決めれない。
DIXIEから一通り説明を受けて自分のステータスとメニュー画面の開いて見てみる。『ログアウト』のコマンドが消えている。つまりそんな簡単にはい終わりとはいかないようだな。それなら尚更この3人を助けなければこっちも辛いものがある。
そんな事を考えながら自分の持っているアイテム欄を見ていく、パラパラと読んでいたが一つのアイテムに目が行く。
『アバター変更チケット』簡単に言えば作ったアバターが気に入らなかった場合、多少のGと一緒に使えば作り直せるという物だ。ゲーム時代も意外に人気があり、そこそこの価値で取り引きされていた。
アイテム欄を脳内でタッチしてチケットを3枚取り出す。小さなポンっという音と共に手元に紙切れが3枚現れた。
「なぁ、今って一応ゲームの中ってことだよな?ならこれは?使えるんじゃないか?」
3人に1枚づつ渡しながら続ける。
「とりあえず、その姿から声変わりした男の声なんざ聞きたく無いわけよ、使えるかどうかはわかんねーけどよ、使ってくれや♪」
「なるほど、確かにジェニシスならそれで解決だね♪じゃあ3人は個人の部屋に行って直してきてね?トッチーさん、絶対だよ?!」
チッという舌打ちが聞こえた気がするがとりあえずはこれで外見の問題は解決って所か。
「次の問題なんだけど、さっきKgさんから連絡があってね、フィールドと賑わいの街での『対人認知システム』が機能してないらしいんだ..」
DIXIEの一言で和やかだった空気が一瞬で変わる。
『対人認知システム』
ジェニシスでは対人戦闘やフィールドでのPKという行為は禁止されてない、むしろそれが軸のゲームなので奨励している位なのだが、フィールドでモンスターを狩りしているときに低LVを後ろから高LVが攻撃なんてのが繰り返されていたらゲームとしても成り立たない、もしくは無駄な戦闘はしたくないプレイヤーも結構存在する。そういった人達の補助システムが『対人認知システム』である、これをOFFにしていれば他のプレイヤーからの攻撃は受けない、勿論対人専用フィールドに移動すれば自動的にONになるがそれ以外での戦闘は回避出来るという訳だ。勿論この機能を使っていると罵声を浴びせられたり、掲示板で雑魚だのビビリだの言われるが快適にゲームをするなら必要な機能だった。
それが機能しないということはフィールドや賑わいなら何処でも強い者が優位に立つという事になる。
「え?じゃあ攻撃によってその、死んでしまったら?」
ユニコが死という単語を濁す様に質問する、その通りだゲームなら町の入り口に戻されて多少の経験値ペナルティ(デスペナ)で済む話なんだが...今はどうなんだろうか、死んだら終わりなのか?
「それもKgさんから報告があって、どうやら復活するらしいよ。ご都合主義って奴だね...俺たちは不死身見たいだよ。」
ホッとすべきだと思うが、これで死による現実への帰還は無くなった訳か。
「つまり、フィールドに出れば襲われる可能性が高くなって、賑わいがより危険って訳だな?」
「そういう事だね...まぁ今はまだ大丈夫そうだけど、落ち着いたらもっと危険になるって事だね。同時に戦闘システムだけどこれは後で中庭で練習してみよう。どうやらKgさんが言うには中々難しいらしいから」
DIXIEに情報を流してくれてる『Kg』は『KgWorks』というチバサーバー集いの街マイハマの中央にある巨大な城をギルドキャッスルにしている大手ギルドのギルドマスターである。DIXIEとは旧知の仲で日本サーバーなら三本指にはいるウォリアーである。
「この問題は結構大きな問題だから俺たちがどうこう出来るって問題じゃないね♪だから次に移るけど次は食料なんだけど、これはどうやら料理は料理人や、上級料理人しか作れない見たいだよ。もちろん味もあるけど料理人がいないギルドは大変見たいだね」
料理人はサブ職業の一つでゲーム時代は能力上昇などの料理アイテムを作る事の出来る一般的なサブ職である。
「なら僕が居ればとりあえずはPASHAは大丈夫そうですね♪」
手をあげて喋ったのはあきききただった。
『あきききた:LV100:プランター/上級シェフ:所属PASHA』
頂点が二つに割れたピエロのような帽子に何処かあどけなさが残る顔立ち、ショートジャケットの上から魔法使いの様なローブを羽織り、足はショートパンツだが薬品を居れるためのポーチがついている。腰には氷で出来た鈍器に左手は丸盾。PASHAの三大クリエイターの1人である。
サブ職の『上級シェフ』は料理人の最高位の職であり、素材冴えあればHPとSP全回復する料理や、一時間物理攻撃が20%上昇するスープなんぞを作ってしまう職業である。
「うんうん♪うちにはあきききたさんが居るから問題ナッシング♪他の子も料理人いるからね♪」
DIXIEの言葉に後ろの方の子達が頷く。実際日本サーバーに100人といない上級シェフのあきききたに憧れて入って来た子達が何人もいる、これで食料事情は解決したわけだ。
「んで...1番大きな問題だね...ば〜やん、何か気付かない?」
ん?何か?今の所異変は感じないが、確かに違和感はある。何だ?
「akiさん」
気付いた。そうだあいつが居ないじゃないか、いやログインしてないだけじゃないか?自分の顔から一気に汗が吹き出てるのを感じた。
「まてよ、ハハッDIXIE冗談は辞めてくれよ。どうせログインしてないだけだろ?」
「ううん、インしてるよ。確認したから...どこに居ると思う?」
鼓動が早くなる。akiは現実世界での俺の家内、つまり嫁さんだ、元々ゲームなんか一切やらない子だったが結婚して俺のPCのデスクトップを見て
「このキャラクター可愛いね♪なにこれ?」
「ジェニシスオンラインってゲームだよ。」
「楽しそう♪一緒にできるんでしょ?私もPC買ってやろーと♪」
なんて言い出してから早4年、気づけば立派なPASHAの一員になってた。
恐る恐るフレンドリストを開く、akiの名前が光っている。現在地をみる。
『トウキョウサーバー:エドガワの洞窟』
「なっ!あいつなんで洞窟なんかいるんだよ!フィールドじゃねーかよ!!モンスターとか出るんだぞ!しかもよりによってエドガワってアダチの近くじゃねーか!おい!どーなってるんだよ!!馬鹿か!」
先程までの落ち着いてた心が一気に混乱する。
「落ち着いて、ば〜やん。akiさんは交流戦があるからってプルプル君とノブナガ君を連れてレべリングとレアドロップ狙いでエドガワに行ってたんだ...一応連絡は取れて今の所は安全らしい。」
確かに今日は他のギルドとの交流試合の予定だった、落ち着いてられるわけがない!仮にも嫁だぞ!?しかもエドガワといえばそこそこ高LVのモンスターと何よりトウキョウサーバーの賑わいの町アダチが近くPKが良く起きる地域でもある、すぐに立ち上がり外に出ようとする。
「落ち着け!って言ってるでしょ?ば〜やん、最後の問題なんだけど、これからPASHAは何をすべきかだよ?...ば〜やん以外にはもう聞いてあるんだけどね♪」
俺は震える脚を抑えながらギルメンの方を振り向いた。みんな頷いてくれた、なら一つしか答えはないだろ?
「akiを、嫌、ギルメン三人を迎えにいく!!」
「「「了解!!」」」
「うんうん♪そういう事だよ♪なら戦闘もあるから練習がてら中庭にとりあえず行こう♪大丈夫!akiさんは強いからw」
仲間に連れられ中庭俺は歩いて行った。待ってろよ?
『トウキョウサーバー:エドガワの洞窟』
「クギャギャギャギャ!!」
けたたましいゴブリンの奇声が辺りに広がる。ゴブリンは知性こそ低いが武器を持ち集団で襲ってくるモンスターである、LVも様々で高LVの個体も中には存在する。
そのゴブリンの群れおよそ20を前に1人の女性が立っていた。後ろに短剣を二本震えながらも構える青年と同じように鈍器を構える少年が立っている。
「ギャァァァ!!」
叫びながら1体のゴブリンが突進して来る手にはトゲだらけの棍棒を持ちそれを振り上げながら女性に向かっている。
「うるせ〜んだよぉ!!クソがぁ!」
振り下ろされる鈍器を軽く避け、鋭い右フックを叩き込む。側頭部を打ち抜かれたゴブリンはその場で爆ぜた、打ち抜いた籠手をはめた右手と左半身に軽く鮮血が飛ぶ。
「次から次にワラワラとっ!一人残らず叩っ殺すぞ!」
言葉を理解する知能を持たないゴブリンでさえ1、2歩その場から下がる、すると後ろから弓が飛んでくる、おそらくゴブリンアーチャーの放った弓であろう、その弓を右手で摑み投げ返す。放った弓よりも高速で飛来する弓をゴブリンアーチャーは避けれず眉間に突き刺さる。
「さっさとどけや!」
そう叫ぶと震える2人の方を振り向く。
「ノブナガ君♪プルプル君♪私の後ろに居てね♪絶対に守り切るから♪」
『aki:LV100:モンク/拳法使い:所属:PASHA』
「しっかし、早く来てくれないかね?結構ツライのよ?ば〜やん」
ようやく大体説明も終わってこらから冒険の始まりです♪
文章で魅せる戦闘って難しいですねw