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3

そして着いたのは森の中の少し開けた所


中心には他よりも群を抜いて高く太い大樹が一本そびえたっている


マナはその木のしたで馬を止めた


私もマナの手を借りて地面へと着地する


「あの、ここは…」


質問を投げると返答の代わりに手招きされた


マナは大樹の枝に手に持った手綱を結び、近くの茂みへと足を踏み入れる


ついて行かないと置いて行かれてしまう


私もマナに続いて茂みへと踏み込む


「………マナ?……」


足元には膝丈まで伸びた草


頭上には周りの木々から垂れ下がる蔓


どう考えても道ではない


強いて言うならばそれは、獣道


「……こんな山奥に住んでる人って…」


そんな人いるのだろうか


マナには色々と聞きたいけれどそれは後で


とりあえず迷子にだけはならないようにしないと…


獣道とも呼べる道を歩いたその先にあったのは廃墟にもみえる一軒の家だった


マナはドアをノックし声を張る


「誰かいる?」


しばらくしてドアノブからカチャっと音が鳴りドアが開く


マナに続いて家に入るとドアの先には無人の廊下が続いていた


「……」


今、勝手にドアが開いた?


そんな事って…


ふと、ドアの方を見ているとドアはゆっくりと元にあった場所へと戻っていく


あの、とマナに話し掛けようと後ろを振り返る


マナは廊下のだいぶん進んだ所を歩いていた


私は慌てて追いかける


追いかける私に気付いたマナは足を止めてくれた


「ごめん、速かった?」


マナは私が追いつくとさっきよりも遅い速さで歩き始める


「いえ、そんな事は……」


改めて左右を見てみると廊下の壁には等間隔にドアが付いていた


それも10や20じゃない


ものすごい数だ


私の考えがわかったのだろう


マナは立ち止まり説明してくれる


「このドア、一種のトラップみたいなもんなの


正しいドアを開けないとアラームが鳴るようになってるんだって


ものによっては感電させたりするのもあるらしいよ


本人曰く防犯対策らしいんだけど、こんな山奥の家に防犯対策も何も…って感じかな」


近くのドアノブに伸ばしていた手を大人しく引っ込める


するとマナは私の触ろうとしていたドアノブに手を伸ばす


「アイサって案外、勘いいのかもね」


これは正しいドア、と笑いながらマナはドアを押し開けた


マナに続いて私も部屋へ入る


本棚に囲まれた部屋


中心には紙が積まれて木が見えない机と揺り椅子


左側をみると一部本棚が途切れた場所がある


どうやら続き部屋になっているようだ


「……なんで…」


ポツリと呟かれたマナの言葉には驚きが


「…リーア………リーア!」


叫ばれた言葉には心配が


マナの足は続き部屋へと向かう


私も後を追う


でも、止められた


マナは手近な棚から本を抜き取って渡す


「これ、魔術書


初心者用だと思うから、向かいの部屋で読んどいてくれない?」


「え……あ、はい」


私は本を受け取る


そしてマナにされるがままにドアの方へと体を向けられ、背中を押された


ドアノブを捻る


廊下へでる直前、一回だけ後ろを見た


何があったのか見えなかった


でも、マナは私に見せない方が良いと判断したんだろう


たぶん


だから、今はとりあえず言われた通りに


大人しくしとこう


後ろでにドアを閉めれば、あとは向かいのドアノブを回すだけ


私はマナのいる向かいの部屋に足を踏み入れた

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