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5

翌朝、私達は再び馬に揺られていた


目的地はこの島の北にあるアルブ山


その麓にマナの友人がいるかもしれない


確証は無いけどとりあえず行ってみる


そう言われたのは昨日の晩


今いる森を北上するルートが一番近いらしいのだけど、危険な獣や使い魔達が徘徊しているのだとか


マナは危険過ぎるからと言って私をアルブの町に置いていくつもりだったらしいけど頼み込んで同行させてもらう事にした


私を連れて行く事を最後まで気掛かりだと言っていたけど、何とか納得してくれた


日が沈むと夜行性の獣が活動を始めるから移動はできない


空を見上げる


葉や枝で覆われていて陽の高さはわからないけれど、空が橙に染まって来ていた


もうすぐ日が暮れる


さっき数匹の使い魔と獣に遭遇したくらいで今のところ特には何も起こっていないから、そこそこ順調に進めたと思う


もうあと1時間くらいしか移動できないのかな…


そんな事を考えていると


「……っ!」


視界の端にマナが思いっ切り手綱を引いたのが映った


馬は前脚を大きく上げ、歩みを止める


私はマナに回した腕に力を込めた


手綱が引かれ馬は元来た道を戻り始める


そして道の傍に飛び込んだ


ひらりと馬から降りたマナは手綱を地面へと落とす


そして私の方を向く


いつになく真剣な表情をしていた


「アイサ、私達は追われてる」


追われてる…


それは獣に?使い魔に?


聞こうと思って口を開く


でもそれより先にマナは私の手を取り馬から降りるように促す


私はとりあえず地に降りてマナを見上げる


「追われてるって……


何に、ですか?」


「誰かはわからない


私が何とかするからアイサは近くの木に登って隠れといて」


誰かはわからない……


ということは相手は人間…?


私と同じ、マナと同じ、人間…


背を叩かれた馬は森の奥へと掛けて行く


私は背中を押され木に登る


マナは腰に差した白銀のレイピアを抜き、私のいる木の裏に身を隠した

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