7話 情報収集
僕は、久しぶりに朝ごはんを食べてギルドから出た。
「ミイナちゃーん、気をつけてねー。いってらっしゃーい♪」
アリシアは、大きく手を振って見送っている。
仕事があるので残るそうだ。その方が良い。怖いから。
ズカズカと進んでいくミイナ。グラッドは慌てて付いてきた。
「ミイナ、どこに行くんだ?」
「情報収集だ。君は魔法を覚える方法を知っているか?」
「魔法を覚えたいのか? 素質があるかどうかわからないが……魔法の本を読んで理解できれば出来るはずだぞ」
「そうか。で、魔法の本とやらが売っているのはどこだ?」
「こっちだ。」
グラッドに本屋へと案内される。
広場や大通りとは違い、入り組んだ路地へと進んでいく。
……僕だったら、迷子になるな。グラッドがいて良かったかもしれない。
「ここだ。アクアマリンは、水の魔法が多いけれど覚えさえすれば使えるものがあると思うが……俺は知らないから何とも言えない。」
「今にも壊れそうなボロい建物だな。建て替えようとは思わないのだろうか。」
「……それ店主に言うなよ? 俺は、外で待ってるから。」
そんなのは心得ているよ。
僕だってそこまで悪態つくほどでは……なくはないか。
本屋の中に入ると、古びた本棚に様々な本が納まっている。
どれを手に取るか迷ってしまう。表紙を見て、これだ。と思うものだけ手に取ろう。
……ん? あそこの本、光ってないか?
……この展開、カー○キャプターさ○らか?
この歳でカード封印は嫌だ。恥ずかしくて死ぬ。
光っている本を手にとってみる。フッと光が消え表紙が見えた。
『大いなる召喚士の伝承者』なんだ、このタイトル。この本を買えば伝承者になるってことか? はっ、そんな訳ないだろ。……いや……? ここは異世界だよな? ないとは限らないのか?
「おや、その本を手に取るとはねぇ。その本は、人を選ぶんだよ。開けてごらん」
「ひっ!? ……おばあさん、どこから来たんだ?」
「ひっひ。そんなこと、気にしないのさ。ほら、開けてごらんよ」
言われた通りに開けてみる。簡単に開いた。
「おやおや、珍しい。どうやら、お嬢さんを選んだようだね。どれ、力を貸してあげるよ」
ミイナは、開いた本を両手に持ったまま首を傾げて、おばあさんを見つめた。
おばあさんは、その本に片手をかざしながら口を開いた。
「本よ、選んだ者に力を与えよ。汝が覚えうる全て、あらゆる知識を彼の者に」
本は、光り輝いていく。それと同時に、強烈な眠気がきた。
……立っていられない……ダメだ……眠い……。
「おばあさん……なにを……し……た……」
「お休み。1日かかるだろうけれど、なに、すぐ終わるよ。外の彼氏に家に送って貰うよう言っておくからね」
僕は倒れた。薄れ行く意識の中で彼氏ではない。と、突っ込みながら。