29話 リアリーを追いかけて
外へ出てから空を見渡すと、リアリーの姿は見当たらない。
アリスは、九尾の狐の姿になりミイナに声をかけた。
「ミイナさん、お乗りくださいな。あの子はミイナさんが走っても追いつきませんわ。グラッドさんはその辺にいなさいな」
「わかった」
伏せの状態になったアリスの上に、ミイナが乗る。
動揺を隠せないグラッド。
「え、ちょ、待って?」
「行きますわよ!」
「ああ」
ゴオオオッッッ!と、足に火を出して思いっきり蹴り上げた。
空を飛び、走る時と比べ物にならないほどの速さで移動する。
普通なら、振り落とされるところだが、アリスの尻尾がさりげなく振り落とされないように支えてくれている。ふわふわして気持ちいい。
「気配は……あっちですわね」
着いた場所は、見覚えがある。
以前、マリアに向かう途中にお昼休憩した場所だ……。
あの気持ち悪い半魚人の事を思い出す。ミイナは、気分が悪くなった。
アリスの言う通り、そこには1人の女性……リアリーが立っていた。
アリスは陸に降りてミイナを降ろし、ジッと睨み付けるようにリアリーを見つめる。
リアリーは、こちらを振り向く。
「はぁ……あなた、ホントしつこいわね……」
リアリーはそう言い、あからさまに面倒くさそうな態度をとった。
その態度とは裏腹に、容姿は美しい。
すらりとしたウエスト。しずくと同じくらいの大きな胸。肌は透き通るくらいに白く、耳は物語の妖精のようにピンととがっている。さらさらと、揺れるストレートの長いエメラルドグリーンの髪が、光に反射してキラキラと輝いている。
そう、漫画やゲームなんかでよく見るエルフそのものだ。
「で? 追いかけてきたってことは、あたしを倒して召喚獣契約でもするつもり? 諦めなさい。貴方じゃ無理よ」
「あら、わたくし強くなりましたのよ? 舐めてかかっても良いですけれど、負けたら笑いものですわね」
オホホホホ。とお淑やかに笑うアリスと、冷たい目で見つめるリアリー。
この二人は険悪なのだろうか。と一瞬思うが、アリスはリアリーを想ってのことで、リアリーはそれをウザがっている反抗期の子供のようなものなのだろうとミイナは解釈した。
「……もしかして、負けるのが怖くて戦いませんの?」
アリスは意地悪そうに笑う。それを見て、少しイラッとした表情を見せた後、すぐに冷たい目に戻る。
「……それ、誰に向かって言ってるの?」
「あぁ、そうですわねぇ。どうあがいても、に・ば・んの貴方様に言うべきことじゃありませんでしたわねぇ。それはそれは申し訳ありませんでしたわ。2番のリアリーさん?」
「……ちっ」
リアリーは舌打ちして、アリスに迫ってきた。……来る!




