28話 命を奪う青い鳥
老婆の家は、天井や高いところはホコリが積もっていたり、蜘蛛の巣がある。
廊下は綺麗なので、手の届かない場所以外は掃除していないようだ。
玄関から、直ぐ左右に扉がある。グラッドは、立ち止まりアリスに問いかけた。
「アリス。リアリーの気配はどっちだ?」
「このまま真っ直ぐですわ。真っ直ぐ進んだところに、扉があるでしょう?
あそこから気配が感じますの」
「わかった」
グラッドは、それだけを聞いて剣を手にして、左右を警戒しながら、ゆっくりを歩を進めた。
歩を進める度に、ギィッ……ギィッ……と木が軋む音がする。
廊下はそんなに長い訳でもなく、直ぐに気配がするという扉の前に着いた。
グラッドは、ゆっくりとドアノブに手をかけ……勢いよく開けた!
まるで、警察24時のように直ぐ入り込み、剣を構え、左右を厳重警戒している。
その後に、胸を張って腕を組み、偉そうと歩くアリスと、その背後にミイナが付いていく。
目の前には、薪を使う昔ながらの懐かしいキッチン。
右側には……おとぎ話に出てくるような木のロッキングチェアに、老婆らしき人物が、こちらに背を向け座っている。その前には暗くて見えないがスラリとした女性が1人立っている。
女性は、そっと老婆に額に手をあてていた。すっと手を元に戻した。
ロッキングチェアは、ゆらり……ゆらり……と微かに揺れて止まった。
「永遠に……おやすみ」
冷たいような綺麗な声で、その女性は老婆に向けて言った。
「やはり、リアリーですわね。何年ぶりですの? 初代召喚士とトウマ以外の人には契約を結ばずにほっつき歩いていたと思えば、こんなところに居ましたのね」
女性……リアリーは、顔を上げアリスの方を見た……が、暗くてよく顔が見えない。
「……まだ飼い犬やってるの? くだらない」
「『召喚獣は、召喚士があってこそ力を得て、わが身が消えずに済む』初代召喚士が耳にタコつくくらい貴方に言っていたはずですけれど、お忘れになって?」
「あたしの召喚士は、初代とトウマだけよ。他は認めないわ。
それに、召喚士がいなくとも、こういう人がいるから生きていけるし」
リアリーは、そう言ってピクリとも動かない老婆を見つめた後、ミイナを見た。
「はぁ……。そのぺちゃぱいのチビが新しい召喚士? あたしは認めないわ。
せいぜい他の召喚獣と仲良く冒険ごっこでもしてなさい。じゃあね」
「あ! 待ちなさいな!!」
リアリーは、鳥の姿に変わって窓の隙間から外へ飛び去ってしまった。
アリスは、ギリギリと歯軋りしながら、悔しそうに口を開く。
「ミイナさん……。あの子を捕まえる許可をくださいな。あの子、老婆の命を奪いやがりましたわ。
いくら死にたいと望んでいたとしてもやっていけませんのに……!」
「なっ! おばあさん!?」
グラッドは慌てて声を荒げ、老婆の元へ駆け寄る。
手首をつかみ、数秒確認した後、ミイナの顔を見て首を横に振った。
「はぁ……。頑固で面倒そうな奴だな。また鬼ごっこか。アリス、捕まえるぞ」
「わたくしにお任せくださいな!!」
ドタバタと、その家を後にした。
少しでも楽しめたなら幸いです。




