27話 リアリーの気配
グラッドとミイナは、マリアの出入り口付近にある商店街へと訪れた。
「団子~。美味しい団子は、いかがですか~?」
「お着物、新しいのを追加いたしましたの~。是非見に来て下さいな~」
「綺麗なかんざしは、乙女の嗜み。いかがですかー?」
そんな声が聞こえてくる。宣伝文句は大体和風みたいだ。
そんな中で、主婦っぽい人たちが集まる八百屋さんらしきものを見つけた。
グラッドはメモを確認しつつ、
「えーっと……。すみません、白菜と茄子をお願いします」
「あいよ! 600コルトだな」
「はい」
「まいどありー!」
(えっ? いや、ちょっと待て。白菜? 茄子? 完全に異世界じゃないよな? どういうことだ?)
そう思いつつ、その場を離れたグラッドに声をかけた。
「グラッド、その白菜と茄子は、いつから、そう呼ばれているんだ?」
「え? 俺が産まれる前からだと思うが……なぜそんなことを?」
「いや、なんでもない」
(……つまり、ずっと前から、そう呼ばれていたということか……。
考えてみたら、食べ物もあっちの世界と似たようなものばっかりだ。
食材も同じように呼ばれていてもおかしくない……のかもしれないが……。
僕の他に、こっちへ飛ばされた人間がいるということだ。ここまで影響を及ぼすということは……。
もしかして、前の召喚士のトウマって奴か? 3つの都市を守ったアイツなら影響力があるけど……ま、いいか。僕に危害はないし、どうでもいい。考えるのも面倒だしな)
そんなことを考えているうちに、他の頼まれた物も買い終え、老婆の家に着いた。
コンコン。と、ノックするが、反応がない。何度かやってみるが、反応が無かった。
「すみませーん、依頼受けた者なんですが、開けて貰えないでしょうかー?」
グラッドは、ドア越しで叫ぶが、何も反応が無い。
不審に思いつつ、ドアノブに手をかけ、開けてみる。
──開いた。
中は真っ暗で、何も見えない。しん……と静まり返って居る。
「……ミイナ、アリス召喚しておけ」
「わかった。『火よ、我が命に従い我が元に来い』」
赤い魔法陣から、アリスが現れた。
いつものように高笑いするかと思ったが違った。
「……この気配は……。エアリーですわね。あの脱走者、こんなところに居ましたの?」
「アリス、エアリーって、風の召喚獣だよな?」
「ええ、グラッドさん、そうですわ。どうかしましたの?」
「……いや、老婆の反応がないんでな……。中に進むから、灯りを頼めるか?」
「お安い御用ですの」
アリスは、小さな赤い玉を手のひらから作り出し、そのまま手のひらの上で浮遊させた。
エアリーと老婆に何の関係があるんだろうか……?
読んで下さって、ありがとうございます。
少しでも楽しめたら幸いです。




