26話 老婆の依頼
いつもの事ながら、遅くなってすみません。
少しでも楽しめたら幸いです。
3人は冒険者ギルドに戻り、依頼が貼っているボードを見つめていた。
討伐依頼が主に多いが、落し物、捜索願などの依頼もある。
「グラッド、何を受けるつもりだ?」
「討伐はまだ早いから、捜索願の方にするか」
「グラッドさん? わたくしの力を侮って貰っては困りますわね」
アリスは、不機嫌そうに腕を組んでいる。
グラッドは慌てた様子で、両手を開いたまま前に出し
「あ、いや。そういう意味じゃなくてな? もう時間的に夕時になる前にクリアできそうなものをだな……」
グラッドがそう言っている間に、ミイナは、ボードから、ある紙を取りグラッドに手渡した。
「じゃあ、これなんか良いんじゃないか?」
「ん? あ、ああ。いいかもな」
「なんですの?」
「老人の依頼で、依頼の品を買ってくるおつかいクエストだ」
「……わたくし、そんな依頼嫌ですわ。狩りたいんですの!」
アリスはそう言って、地団駄を踏んだ。
「僕に文句を言うな。言うなら、グラッドに言え。未だに狩りのクエストは受けられて無いんだ」
ミイナのセリフを聞いて、アリスは、グラッドをキッと睨んで
「わたくしの力を! なめないでくださいな!!」
ずいっ。と近寄った。
「あ、アリスの言い分はわかるが、今日は勘弁してくれ。準備もしなければならないし、今からじゃ遅くなる。明日にしよう? な?」
「だそうだ。アリス、明日やるなら良いだろ?」
「……わかりましたわ……。わたくしは帰りますわ。他の方にお任せしてくださいませ」
アリスは紅い扉を作って、あっさり帰っていった。
頑固に粘るかと思っていたが、聞き訳は良いようだ。
グラッドは、ホッとした様子で受付にクエストの紙を持っていく。
「受理お願いします」
秋葉は、はっとした様子で
「あ、グラッド様とミイナ様! はい、畏まりましたっ!」
秋葉は、クエストの依頼を確認後、すらすらとサインらしきものをして
「受付は終了です。依頼人の場所を明記した地図をお渡しします。ご質問はありますか?」
グラッドは、秋葉から受け取った地図を軽く確認した後、首を振り
「いや、ない。ありがとう」
「あぁぁ! 褒められるだなんて! 光栄ですっ。頑張ってくださいませ!!」
秋葉は、きゃーきゃー騒いでいる。よっぽど嬉しかったようだ。
「え? あ、ああ……。いってきます」
グラッドは、動揺しながらそう言ってその場を後にした。
ミイナも一緒についていく。
秋葉は、大きな声で「いってらっしゃいませ~~!!」と言いながら手を振っていた。
……なんで、あんなにテンションが高いんだ? ……少し苦手なタイプだ。
☆★☆
「さて、依頼人の家は、このあたりのはずだが……」
グラッドは、地図を見ながらマリアの町並みを歩いていく。
どこを歩いていても、桜の花びらが散っている。……なんで枯れないんだろうか?
魔法がかかっているとしても、魔力が枯れることは無いのか? ……ま、いいか。
「ここか。……ん? ミイナ、どうした?」
「いや、何でもない」
「そうか」
グラッドは、ノックを4回してから
「すみません、依頼を受けて来た者なんですが……」
「あー、はいはい、ちょっとまっとくれ……」
ずり……ずり……。
扉の奥から、足を引きずりながら歩いてくる音がする。
1分くらいかかってから、ドアが開いた。
外はまだ明るいのに、部屋の中は真っ暗で、
依頼人の老婆は、黒いローブを着て、フードを深くかぶっていた。
白雪姫の老婆になった魔女のような姿だったので、
ミイナは悲鳴をあげそうになったが、自分で押さえ込んだ。
一方、グラッドは、一瞬は驚いた様子だったが直ぐに笑みを出した。
「すまないねぇ。見て通り、わたしゃぁ、足が悪くてね。わたしの代わりに買い物をしてきて欲しいんだよ。紙に書いておいたから、宜しく頼むよ」
老婆は、買出しのメモをグラッドに手渡す。
「はい、わかりました。では、失礼します」
グラッドは、微笑んでお辞儀をすると、老婆は頷いて、扉を閉めた。
扉の向こうで、足を引きずる音が遠ざかっていった。
「……グラッド、紙には何が書いてあるんだ?」
「えーっとな……食材と、ロウソクとか、生活必需品だけだ」
「……普通だな」
「普通いうな。ほら、行くぞ」
グラッドと、ミイナはその場を後にした。




