20話 お昼休憩と?
更新遅くなって、申し訳ないです。
少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
川上りをし始めて、何時間か経過した。そろそろお腹が空いてきた。
時計が無いので時間はわからんが、昼ごはんにするか。
「しずく。一旦、陸に上がって休憩だ。昼ごはんにしよう」
「畏まりました」
しずくは、ゆっくりと速度を落とし停止。
僕とグラッドは、陸に上がる。
しずくも、人型に戻って上がってきた。
「ご主人様、少々お待ちください」
しずくは、そう言うと扉を作って頭と手だけ入って何かしている。
はたから見ると、体しか残って無くて怖いんだが……。
扉から、色々出てきた。
木の長い机に、携帯コンロ、食材、包丁、まな板、フライパン……
キッチン用品の準備が完了した。
「ご主人様。お待ち下さいね。ランチをお作り致しますので……」
「いや、マールさんに貰ったサンドイッチがあるから必要ない」
「そうですか……。では、食後のデザートは如何でしょう?」
「頼んでいいのか?」
「もちろんです。ご主人様に使われるのが私の幸せですから」
しずくは、そう言って微笑んだ。
「そうか。じゃぁ、イチゴと生クリームのサンドイッチが良い」
前に、スーパーのパン屋で売っていて
小学生の頃、食べた時に美味しくて感動したものだ。懐かしい。
「畏まりました。食べながらで結構ですので、楽しみに待っていて下さい」
しずくは、嬉しそうに、一旦、食材を戻す。
生クリームが入ってる容器を取り出し、木のボウル、手動の泡だて器、
更に、木の籠に入ったイチゴと、食パン、砂糖を取り出した。
グラッドと、僕はサンドイッチを食べながら、しずくの様子を見ている。
しずくは、生クリームを木のボウルに入れると砂糖を加え、
泡だて器を手に持ち……人間では、ありえない速度でかき混ぜ始めた。
電動泡だて器よりも早い。というか、見えない。
グラッドは、ぽかーんと口を開け、しずくの手元を見つめている。
「はや!」
僕がそう言うと、しずくは微笑んだ。心なしか、ドヤ顔しているような……?
あの速度では当然だろうが、ほんの数秒で生クリームが完成した。
見事な手際で、パンの耳をカットして生クリームを敷き
半分に切ったイチゴを乗せ、更に生クリームを軽く乗っけて
サンドして、斜めにカット。
あっという間に、イチゴと生クリームのサンドイッチの完成。
量が多い所を見ると、グラッドの分もあるようだ。
「ご主人様。どうぞ、食後にお食べ下さい」
「ああ、君にしては、まぁまぁの仕事だったな」
「褒められるなんて、光栄です。ありがとうございます」
マールさんのサンドイッチを食べ終わり、
しずくのイチゴと生クリームのサンドイッチに手を付ける。
……うん、うまい。久しぶりに食べた。懐かしい。
思わず、顔がほころんだ。
しずくは、とても嬉しそうに僕の顔を見つめている。
「あんまり見るな。……しずくは食べなくて良いのか?」
「はい。食べなくても魔力を頂いているので、
私のお腹は、いっぱいです」
「そうか」
あっという間に作った、しずくのサンドイッチは
数分かけて、僕と、グラッドで、全部食べてしまった。
「ご主人様、飲み物をどうぞ」
しずくは、いつの間にか紅茶を作っていたようだ。
オシャレなティーカップにポット。
ポットを高く上げ、紅茶が注がれていく。
そして、僕に手渡した。無言で受け取る。
至れり尽せりだな。
グラッドも紅茶を渡されていた。
「しずくは、召喚獣なのに、ここまでするのか?」
「はい。ご主人様に使われるのが私の幸せですので」
引きこもってても生きていけそうな気がしてきた。
いや。そういう訳には行かない。僕はビックになるんだ。
「少し胃が落ち着いたら、行こう。また呼ぶから、一旦帰れ」
「はい、畏まりました。ご主人様」
しずくは、微笑んでお辞儀をすると、青色の扉を作り帰っていった。
そういえば、僕の魔力は、どれくらいあるのだろうか?
RPGゲームみたいに、MP表示なんかしてないしな……。
しずくで、どれだけ消費してるのかもわからない。
マリアに無事着くと良いんだが……。
そんな事を考えてたら、急に右手を掴まれた。
「なにをするんだ、グラッド……うわぁぁぁあ!」
掴んできた奴は、半魚人のような奴。
全身ウロコだらけで、顔なんか見ていられないほど気味が悪い。
掴まれた手は、ぬるぬるしている。
にたぁ。と気持ち悪い笑顔をして、そのまま川に引きずり込まれた。
「ミイナ!!」
グラッドの叫ぶ声。それと同時に水に入っていく感覚。寒気がした。
もしかして、このまま僕は死ぬのか?
異世界に来れたというのに? ……そんなの……いやだ!!
「がぼっ……ごぼっ……」
だめだ。水の中では唱えられない。やばい。息が続かない。
死ぬ……。もういいや……元々、自殺しようと思ってたし……。
川は深いらしく、どんどん下へ引きずりこまれていく。
下を見て、あの気持ち悪い半魚人と顔を合わせたくないから
上を見つめた。
上は、太陽が差し込んでキラキラと輝いている。
綺麗……だな。水の中も悪くない……かもしれないな。
とか思ってたら、服を着たままのグラッドが必死な顔をして
引きずられている僕を追いかけている。
いや、無理だろ。相手は半魚人だぞ? 追いつけるわけないだろうに。
とか思ってたら、物凄い勢いで追いついた。
そして、半魚人に向けて思いっきり剣を振って切った。
半魚人は逃げようとしたが遅かった。胴体と人魚みたいな尾は
真っ二つに切り裂かれた。緑色の血が川の水を濁らせる。
グラッドは、僕の手を掴むと、そのまま上へと引っ張っていく。
「ぶはっ! ……ごほっげほっ」
「はぁっ! ……大丈夫か? 怪我、してないか?」
「……ああ。別に助けて貰わなくても対処できた」
「……素直じゃないな。今にも泣きそうな顔してるが?」
「そんな顔していない!」
「はいはい。そういうことにしておいてやる」
グラッドは、そう言うと僕の頭を撫でようと手を伸ばす。
僕は、その手を払いのけた。
「先に行くぞ。『水よ。我が命に従い、我が元に来い』」
もう水に引っ張られるのは嫌だ。
しずくさえ居れば、もう2度と、そんな事にはならないだろう。
青い魔方陣が現れ、水が噴出し……しずくがひざまづく。
「ご主人様、申し訳ありません……お守りすることが私の使命なのに……」
しずくは、泣きそうな顔で謝ってくる。帰した僕が悪いのに。
「もう過ぎたことだ。謝る必要はない。
……それに、こうなったのは僕自身の責任だ」
「……ご主人様は、お優しいのですね。ありがとうございます。
では先へ進みましょう。どうぞ、乗ってください」
しずくは川に入り、水竜になった。
僕とグラッドは、背中に乗る。
「行きますね」
水竜は、物凄いスピードで泳いでいった。
時々、下に向けて攻撃をしていた。
浮かんできたのは、ミイナを水へ引きずり込んだ半魚人。既に死んでいる。
こうして、アクアマリンからマリアに住んでいた半魚人たちは
全滅してしまった。しずくの手?によって。
お昼休憩を挟んだミイナご一行は、無事マリアに着いた。
掛かった時間は、4時間半だった。




