12話 初めての依頼を受けよう。
冒険者になったのは良いが、戦闘力に関して僕と、るんは全く無いよな……。
これじゃグラッドの足手まといにしかならない。
他の召喚獣との契約はどうすれば出来るのだろうか……。
そう考えつつ、僕は依頼のボードを見つめていた。
「ねぇねぇ、ミイナ」
るんは、服の裾を引っ張りながら声をかけてきた。
「なんだ?」
「他の子と、契約したいの?」
「……また人の心を読んだな?」
「う……。ごめんなひゃい……。契約したいなら、この依頼こなしてみて」
るんが指差す。依頼にはこう書かれていた。
『依頼主:アクアマリン冒険者ギルドのシェフ、マール
依頼:エメラルドフィッシュを11匹釣ってきて欲しい。
報酬:エメラルドフィッシュを使った料理をご馳走します』
アクアマリン冒険者ギルドのシェフ、ということは
僕たちが普段食べている食べ物を作っている人が依頼主か。
報酬が魚料理って……。お金とかじゃないのかよ。
魚料理と契約は関係があるということか?
「……地味な依頼だな。」
「初めての依頼なら、これで良いんじゃないか?」
グラッドが、うんうん。と頷いている。
まぁ、いいか。契約と関係がある。それは、るんが言うんだから間違いない。
「依頼を受けるには、どうするんだ?」
「この依頼の紙を取って、アリシアに渡せば大丈夫だ」
依頼の紙を取り、受付に居たアリシアに渡す。
「はい。これなら危なくないし、お姉さんも安心だわぁ。
依頼主は、キッチンに居るから説明を受けてね。
失敗した場合の罰金はないから安心して」
「失敗すると罰金になる依頼があるのか」
「ええ。時には1億の借金になってご飯もまともに食べれないまま働く
冒険者がいたりするわ。ミイナちゃんは、そうならないように気をつけてね」
恐ろしい話だな。というか、罰金1億ってどんな依頼だよ。
「わかった。気をつける」
「この依頼の手続きをしてくれ」
「はーい」
アリシアは違う冒険者と会話して依頼の認定をしている。忙しそうだ。
僕たちは、キッチンに向かうことにした。
ジューッジャッジューッと音がしている。依頼主はチャーハンを作っているようだ。
依頼主のマールは、太っているおばさんだった。
「おい、そこの女……むぐっ」
グラッドに右手で口封じされる。
「俺がやるからいい。すみません、マールさん」
ジューッジャッジューッ。黙々とマールはチャーハンを作っている。
「すいません! マールさん!!」
グラッドは大きな声で話しかけた。
「なんだい!?」
大きな声で返事が返ってきた。
「依頼の説明を受けに来ました!」
「あいよ! ちょっと待ってな!」
手際よくチャーハンを皿に盛り、魔法をかけた。
ふわふわと飛んでいく。
次に、ラーメンのどんぶりにスープを入れ
茹でていた麺を湯きりして入れる。
トッピングにチャーシューに大量のネギを盛り付け魔法をかける。
また、ふわふわ飛んでいく。
チンッ。とオーブンから音がなる。
マールは、ミトンを装備して中から取り出す。
鳥の丸焼きだった。うまそうだ。また魔法をかけて飛ばしていく。
キッチンの受付から顔を出して丸机に居る冒険者たちに
「冒険者ども! 一旦、注文は受け付けないよ! わかったね!」
と大声で言った。
「へーい」
「はいはい」
「はーい」
「返事は、はい。で1回! まったく、いつも言ってもだめな子達だ」
「マールさん。ご苦労様です」
「ああ、やかましくて悪いね。依頼うけてくれたのはグラッドか。
……ん? 隣の娘どもはどうした?」
「パーティの仲間です」
「そうかい、そうかい。グラッドも遂にパーティか。アンタの妹もさぞ喜んでいるだろうに」
「……だと、いいんですがね……」
ははは。とグラッドは苦笑いした。
「そこの2人、名前は何て言うんだい?」
「るんは、るんだよー」
「ミイナ」
「そうかい。ミイナは、もう少し食べた方がいいね。ガリガリだ」
「そうですか」
「うまい魚料理を出してやるから、たんとお食べ!さて、依頼の説明をするよ!
この釣竿とエサを渡すから、アクアマリンの池で泳いでいるエメラルドフィッシュを
11匹釣ってもってきてちょうだい。日にちの期限はないから安心しな!」
「わかりました」
グラッドはそう言って、釣竿とエサを3つ受け取る。
グラッドは僕たちの居る方向に振り向いて
「2人とも、行くぞ」
「ああ。」
「うん!」
「では、マールさん今晩にでも届けますので」
「あいよ。楽しみにしてるよ! 気を付けて行ってきな!
冒険者ども! 注文を受け付けるよ!」
冒険者ギルドを出る時、マールさんの方を見ると
注文を受けて忙しそうに働くマールさんがそこにいた。




