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ロー内恋愛ー26歳の男ー  作者: 小高まあな
第六章 名誉毀損で告訴します。
16/19

6−1

 レポート、レポート、発表、レポート、発表、レポート、レポート、中間試験、レポート。気づいたら、こんな感じで、後期日程が過ぎて行く。

 コートが手放せない季節となった。

 年の瀬。クリスマス。

「クリスマスイブ、なのに」

 年内最後のレポートを提出し、あたしはちょっとため息をついた。

「何故、授業」

「どうせ予定ないんだからいいじゃんかー」

 治君が横から言ってきた。

「リア充め」

 睨む。治君はちょっと笑って、

「むこうが仕事だから意味ないよ」

 肩を竦めた。

 それにあたしは黙るしかない。そっか、治君のカノジョさんは就職しているのか。色々大変なんだろうな。

「そんな杏子ちゃんに、はいどうぞ」

 目の前に小さい袋が現れる。その袋の先を辿って顔を上に向けると、サクちゃんが微笑んでいた。

「メリークリスマス。クッキーだけど」

「サクちゃんっ!」

 手を叩き、それを受け取る。

「わー、サクちゃんありがとー!」

「はい、前田君も」

「うわ、マジ? 手作り? さすがー!」

 治君もそれを受け取り、

「誰かさんとは違うなぁ!」

 あたしのことをちらちら見ながら言って来た。

「むー、あたしだってできるもん」

「どうだか」

「じゃあ、バレンタイン覚えときなさいよ!」

「はいはい」

 くすくす笑いながらサクちゃんがあたしの隣に座った。

「サクちゃん、ありがとー」

「どういたしまして。久しぶりにちょっと作ってみたかったから」

 反対側の隣では、治君が早速食べている。

「ん、おいしいー」

「みんなの分作ったの?」

「ううん、適当。杏子ちゃんと郁子さんには渡して、あとは今日会った人から順番に渡そうと思って」

「わーい」

「あ、じゃあ、俺ラッキー」

 ごちそうさま、と治君が手を合わせた。

「あたし、あとでおやつに食べるー」

「うん。あ、郁子さん」

 サクちゃんが教室に入って来た郁さんのところにクッキーを持って行く。

 それと同じぐらいに池田君が教室に入ってくる。

 サクちゃんは池田君に気づかないふりをして、池田君もサクちゃんの方を見ない。

「……結局、あの二人微妙なままだな」

 治君がこそっと耳打ちしてきた。頷く。

 あれからずっと、二人は極力関わらないようにしているみたい。

 サクちゃんもそれは気にしているみたいで、

「大人同士の付き合いのはずなのにね、子どもみたいなこじれ方してる」

 と苦笑していた。

 まあ、色恋沙汰は一度こじれるとどうにもならないからなーと、身を以て体感したことをしみじみと思っていると、

「池田君」

 サクちゃんが池田君の名前を呼び、

「クリスマスだから、みんなに」

 と、みんなをやけに強調して、

「クッキーつくってきたの。よかったら」

 と、そのクッキーを差し出した。

 池田君は、強張ったような変な顔をしながら、

「……ありがとう」

 と、それを受け取った。

 サクちゃんもちょっと強張った顔で一度微笑むと、隣の席に戻ってくる。

「おつかれ」

 小さく声をかけると、ちょっと笑ってくれた。

 治君も一度にやりと笑った。

「はじめるぞー」

 先生が教室に入ってくる。

 年内最後の授業が始まる。今年は、それなりにいい形で終わりそうだった。



 と、思っていた。

 帰り道、あの人に会うまでは。

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