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短編小説

神はざまぁをご所望です

作者: 笹月美鶴
掲載日:2026/10/12

~悪役令嬢マリベーラ・ヴォレイル~




「マリベーラ・ヴォレイル! お前との婚約を破棄する!」


 男爵令嬢であり、聖女認定されたヒロイン、メリーベル・シフォンを片手にぶらさげたこの国の王太子、ロベール・ビイレ・アルナンザが婚約者である私をまっすぐ指さす。


 とうとうこの日がやってきた。

 私は自分に突き付けられた指先をぼんやりながめ、小さく息を吐く。


「理由をお聞きしても?」

「お前は嫉妬に狂い、メリーベルにいやがらせをおこなった。彼女を孤立させ、教科書やノートを破る、噴水に突き落とす、はては階段から突き落とし、彼女の命までも奪おうとした!」


 それはいつの何時何分ですかと聞きたいところだけど、いじめの検証についてはあとでお父様にお任せしましょう。


「お前のような心が醜い女と婚姻などできない! 私は真実の愛に目覚めたのだ。ここにマリベーラ・ヴォレイルとの婚約を破棄し、聖女メリーベル・シフォンを新たな婚約者とすることを宣言する!」


 テンプレだなあ。そんな感想しか浮かばない。

 思わず失笑しそうになるのを必死にこらえる。


 さあ、どうくる。

 国外追放か、投獄か、はたまた修道院行き?

 いきなり斬られるなんてことはないわよね。


 私には、前世の記憶がある。

 別の世界。日本で三十二年生きた記憶。

 付き合った人はいたけれど、結局結婚しないままおひとり様を満喫していた。


 前世の記憶が蘇ったのは六歳の時。

 第一王子の婚約者選びのお茶会でロベール様を見た瞬間、どっと記憶が流れ込んできた。

 ネットで連載されていた漫画。

 ここがその世界だと、私がその漫画で悪役令嬢と言われていた存在だと。

 何の抵抗もなく、私はその記憶と自分の役割を受け入れた。

 まるでそれが自然なことのように。


 さて、このあとどうなるのかしら

 問題は、王太子が婚約破棄を宣言した後のストーリー展開を知らないことだ。

 だってこのシーンを見ながらページをめくることなく死んだのだもの。


 物語の山場。おなじみの断罪シーン。しなだれかかるヒロイン。

 王太子が婚約者である悪役令嬢に向かってびしっと指をさし、婚約破棄を宣言する。

 私はスマホの画面を食い入るように見ながら指を画面中央におき、スワイプしようと滑らせたその時、強い光に目が眩んだ。

 残業帰り、人気のない十字路。遠くにあったライトがあっというまに迫り、体に今まで感じたことのない衝撃が襲う。

 息がつまり、手からスマホが飛んでいく。いや、飛んでいるのは私のほうか?

 空中に投げ出された私の目がスマホを追う。地面に落ちたスマホが大きくバウンドして、跳ねた。


 スマホが割れちゃう!


 最後に思ったのは、そんな言葉だった。

 夜道の歩きスマホで注意力散漫だった私は何も考えずに十字路に足を踏み入れ、車にはねられて、気が付くとマリベーラ・ヴォレイルになっていた。

 そして今、原作通り断罪の時を迎えている。


 でも大丈夫。どんな結末になってもいいように、対策はしてある。

 騒ぎが起こったらすぐ家に知らせるように。

 暴力を振るわれた時のために会場には護衛が数人。

 国外追放でいきなり馬車に乗せられた場合に備えて私が乗った馬車が会場を出たら追うように、会場の外に人員も待機させている。


 とにかく、この場を凌げればどんな冤罪をふっかけられようとお父様がなんとかしてくださるだろう。

 冤罪なんか調べればバレないわけがないのに。バカだなあ。


 笑いをこらえながらヒロインのメリーベルを見ると、ぷるぷる震えていた。

 か弱い演技かしら。まったく、たいしたものね。


「わ……わ……」


 何か言おうとしてる? 今度は何かしら。


「私は、マリベーラ・ヴォレイル様にいじめられてなどおりません!」


 …………ん?


 メリーベルはロベールの腕からさっと手を抜いて私のもとに来るとくるりと振り返り、私を背にしてまるで神聖な儀式のごとく、大仰に両手を天に掲げる。


「私は聖女の力を授かったとき、神よりお言葉を賜りました!」


 ざわり、と会場がどよめく。


「この国の王太子に、ロベール様に次代の王となる資質があるか、確かめよと! そして今、その結果を神にご報告申し上げます!」


 皆が息をのみ、シンと静まる。


「ロベール様に、ロベール・ビイレ・アルナンザ殿下に、次代王たる資質はないと!」


 高らかに宣言する聖女メリーベル・シフォン。


「へえ」


 扇で口元を隠し、小さくつぶやく。

 面白くなってきたじゃない。




ーーーー◇ーーーー◇ーーーー


~聖女メリーベル・シフォン~




 やばいやばいやばいやばいやばい


 自分のすぐ横から聞こえる令嬢を糾弾する声を遠くに感じながら私の頭には嵐が吹き荒れていた。

 嵐の渦に、さまざまな映像が浮かんでは消える。


 ここではない世界

 自分ではない自分


 スマホに映る無料連載漫画のページをスワイプして読みふける。

 物語最大の見せ場、断罪シーン。

 白黒だが細かく描写された夜会の舞台はキラキラと輝いて見える。


 それがそっくりそのまま色づいて、その舞台に私はいた。

 ヒロインであり聖女である、メリーベル・シフォンとして。


 二つの記憶と人格が、ひとつになる。


 前世で死ぬまでの二十八年

 メリーベルとして生きた十六年


 平民だった自分が男爵家にひきとられ、貴族の学園に入学した。

 そこで出会ったイケメンたち。最高の権力をもつ王太子。


 そして思い出す。


 学園に入ってから、私がやった、いや、やらかしたことを。

 王太子であるロベールと彼の取り巻きの美麗な側近候補たちをハーレムよろしく侍らせて、キャッキャウフフの毎日を。

 ロベールの気をひくために彼の婚約者のやってもいないいじめをほんのり匂わせる言動を繰り返したあざとい行為を。


 ぶわっと全身から汗が吹き出し、手先が冷える。

 きらびやかな夜会の会場に響き渡るロベールの声。

 ロベールが指さす方向に佇む美しい令嬢。


 このシーン、見覚えがある。めっちゃ見覚えがある。

 なんで? なんで今?

 なんで前世を思い出すのが今なのよ!


 漫画化されたネット小説。

 小説も漫画も両方読んだ。

 流行りの悪役令嬢もの。しかもざまぁものだ。


 やばいやばいやばい

 ロベールの腕に絡めていた手をそっと緩める。

 誰がざまぁされるって? そんなの決まってるでしょ!


 どうしようどうしようどうしよう

 ざまぁされるのは隣にいるバカ王子と、そして、そして私!

 ロベールの婚約者を陥れようと冤罪をでっちあげるおバカなヒロインの私!


 ああああああ

 完全アウト。今から入れる保険はありますか?

 だめだ、破滅する。破滅した。破滅するでしょう。


 考えろ考えろ考えろ

 考えろ、考えろ自分。


 私は誰だ? 私は聖女だ。

 管轄は神殿。つまり神に仕える身。

 神に……神に……神!


 ピコーンと頭の上で電球が光る。(気がした)

 アホな頭を生涯最高に回転させ、この状況を打破するプランを立てる。


「わ……わ……」

「どうした、メリーベル」


 ロベールの視線を無視してだらだらと汗をかきながら震える自分を鼓舞する。

 がんばれ、がんばれ私!


 プレゼンだ。これは人生かかったプレゼンなのだ。

 体は小娘でも中身は社会経験を積んだ大人! 大げさ上等、詐欺上等! 話モリモリ盛りに盛れ!


「私は、メリーベル・シフォンは」


 すうっと息を吐く。


「マリベーラ・ヴォレイル様にいじめられてなどおりません!」


 腹から声を出す。

 中学の文化祭の演劇の出し物で主役を張った演技力を見せるんだ!(やる人いなくて押し付けられただけだけど!)


「なっ、」


 ロベールがぎょっとした顔で私を見る。

 私はロベールの腕からさっと手を抜いてマリベーラのもとに行くと彼女の前に立って振り返り、マリベーラを背にしてまるで神聖な儀式のごとく、大仰に両手を天に掲げる。


「私は聖女の力を授かったとき、神よりお言葉を賜りました!」


 ざわり、と会場がどよめく。


「この国の王太子に、ロベール様に次代の王となる資質があるか確かめよと! そして今、その結果を神にご報告申し上げます!」


 会場の皆が息をのみ、シンと静まる。


「ロベール様に、ロベール・ビイレ・アルナンザ殿下に、次代王たる資質はないと!」


一世一代の大芝居。やってやろうじゃないの!




ーーーー◇ーーーー◇ーーーー


~なんとでもなれー!~




「わけのわからぬことを、お前、私をだましたのか! 衛兵!この女を捕らえよ!」


 さっきまで真実の愛とかほざいていたくせに今度は私を捕らえろって? ほんとクズだなコイツ。

 しかしロベールがわめくが誰も動かない。

 私がおや? っと思っていると、その場の空気がピンと張り詰める。

 会場にいる皆が扉を見ていた。開かれた扉を入ってきたのはまぎれもなくこの国の王。

 あれ、王は今隣国に行っているのではなかったかしら。

 ああ、なんか相手の都合で予定がキャンセルされてこの断罪劇を目の当たりにして、王太子にトドメを刺す流れだったわね。トドメ刺されるのは私もだけど!


「話を続けよ」


 威厳がハンパない重低音の声に思わずヒエッと声を上げそうになる。

 さすが王様。なんというカリスマ。めっちゃ怖い!

 この人からなんでこんなバカが生まれたのやら。


「父上? 隣国に行ったはずでは」

「先方の都合で予定が変わったので戻ってみればなにやらお前が騒ぎを起こしていると聞いて来たのだ。マリベーラ嬢との婚約を破棄すると聞こえたが?」

「それは、その、あとでご報告を」

「まあそれはあとで聞こう。聖女メリーベル・シフォンよ、続きを話すがよい。神の言葉とは、まことか?」


 どこから話を聞いていたのだろう。でもラッキー。

 あとでまた話さなきゃならなくなったら矛盾が出るかもしれないもんね。

 メリーベルの頭っておバカだし!


「まことでございます。しかしながら、その方法までは指示されませんでした。そこで私は考えました。王の資質とはなんなのか、と」


 ごほんと息を吐く。

 もったいぶっている風を装いつつ、時間を稼いで必死に考える。


「私が選ばれた理由。私は男爵家に引き取られるまで平民として暮らしておりました。貴族は一握りであり、真にこの国を支えているのは大多数である平民です。その民が自身を統べる王に何を求めるのか。誠実さ、正直さ、そして、判断力。我々を導く王として、尊敬に値するカリスマ。民を守る力強さ、民を虐げない正義。それらを民は求めております」


 うむ、と王が頷く。


「では、ロベール王太子殿下はどうでありましょう」

「メリーベル! 貴様、黙……ウグッ」


 王がすっと手を上げると、白い鎧を着た騎士がロベールを羽交い絞めにして口をふさぐ。

 王室直属の聖騎士かしら。カッコイイー!

 は! イケメンに目を奪われている場合ではないわ。

 バカ王子が黙ったところで私は話を続ける。


「まずは誠実さ。婚約者がある身でありながら、私のようなものに簡単に篭絡され、人目もはばからず寵愛されました。しかもいろいろ貢いで、いえ、贈り物もいただきました。あ、私への贈り物のお金がどこから出ていたのか調査をオススメいたします」


 口をふさがれたロベールがむーむー唸っているが、騎士の手はびくともしない。


「次に判断力と公平さ。私がいじめられたという言葉にその真偽も確かめず、鵜呑みにされました。これはすなわちロベール様が王となった時、気に入った人間の言動ひとつで国が動く可能性を示唆するものであり、こたびのように悪意あるものがささやくことで、罪なき者が冤罪で断罪されるという未来の可能性を物語っております」


 会場にいる者たちがごくりと息を飲む。


「王命で決まった婚約者をないがしろにし、人目もはばからず公然と浮気をし、証拠も確認せず人の話を鵜呑みにして罪なき者を断じる。彼が王となった時、どのような世となるか」


 眉をひそめ、いかにも恐ろしいとばかりに私はぶるりと身を震わせる。


「陛下、私は不敬罪に問われてもかまいません。されど、ロベール様を次代王とすることは、いま一度お考え直しいただきたい! これは、神の御意志でもあります!」


 不敬ととられれば死罪は免れない。まあどのみち破滅一直線なのだ。なんとでもなれ!


「愚息の、ロベールの行動は報告を受けていた。そなたや、ほかの側近候補たちのこともな」


 王は苦々しい表情でこめかみを押さえるとふうっと息を吐いた。


「若気のいたり……同じ男としてそんな言い訳、いや、甘い考えで学生時代の一時的な気の迷いだろうと放置していた。王妃にさんざん言われていたのだがな……私が間違っていたようだ。これほど深刻な事態を招いていたとは。神よ、愚かな我を許したまえ」


 お? これはもしかして、いいかんじ? なんか手ごたえ感じるんですけど。


「ロベール、お前は廃嫡とし、新たに第二王子ルーベントを王太子とする! これは決定だが、発表があるまで他言無用とせよ! そして聖女メリーベル・シフォン、そなたの諫言、感謝する」


 ざわり、と、どよめきが起こる。王が、私に頭を下げたのだから。

 ロベールはへなへなと、その場に崩れ落ちた。




ーーーー◇ーーーー◇ーーーー


~選択~




 ひととおりの話も済んで、あとは退場して別室で話を、という雰囲気になったのを見計らい、私は背後に立つマリベーラに向き直り、小声でささやく。


「ロベール様との婚約は解消されるでしょう。そこで今後、あなたには三つの選択肢があります」

「選択肢?」


「ひとつは、レイノルド・サンクレッド辺境伯をご存じでしょうか」

「氷の貴公子と噂の? とても、怖い方だと」

「こののち、彼から婚約の打診がくるかもしれません。冷たい氷の貴公子などと噂されておりますが本当は優しいお方です。彼は以前よりひそかにあなたを愛しておいででした。もしも彼の申し出をうけたなら、彼はあなただけを愛し、きっとあなたを幸せにしてくれるでしょう」

「……!」


「第二の選択は新しい王太子との婚約です。こちらは王家より打診がくるでしょう。今までの王太子妃としての教育を無駄にしたくないとお思いならばこちらもよいかと。新たに王太子となられる第二王子はとても立派な方です。ロベール様のこともありますし、王家はあなたを大切に扱ってくださるでしょう」


「第三、は?」

「それは、あなたが自由に決める未来です。あなたのお父上はあなたをとても愛しておいでです。このような騒ぎで傷心のあなたに次の婚約をせかしたりはなさいません。やりたいことをしてもいいし、気になる方がいるならそれもよいでしょう」

「わたくしが、自由に」


「選ぶのはあなたです。神はあなたを見守っておられます。マリベーラ・ヴォレイル様に、幸多からんことを」


 私はふわりとカーテシーをして、マリベーラから離れる。

 ロベールは騎士にひきずられるように退出していったが私を捕らえようとする者はいない。


 やりきった。私はやりきった。やりきったどーー!


「メリーベル様!」


 呼びかけられて、振り向く。マリベーラがためらいがちに口を開いた。


「今度お茶会に招待しても、よろしくて?」


 少し頬を赤らめた彼女に私は微笑む。


「喜んで!」




ーーーー◇ーーーー◇ーーーー


~なんとかなった!~




「ヴォレイル様、長きにわたり、ご不快な思いをさせたこと、心よりお詫び申し上げます」


 ここはヴォレイル家の庭園。マリベーラにお茶会に誘われたのだ。

 お茶会と言ってもここには二人きり。今までしてきたことを思えば正直、ガクブルである。

 今からでもざまぁされないかとびくびくしながらマリベーラに媚びへつらう。


 ロベールは王太子の地位を剥奪され、処罰が決まるまで幽閉されている。

 本当なら私も牢にぶち込まれ、聖女の力を利用するために王家の飼い殺しの目にあうところだった。

 同じく私に侍っていた側近候補たちも婚約者から婚約破棄されたり辺境に飛ばされたりとお先真っ暗な感じになったみたいだけど、知ーらないっと。


「そうね、ひとこと言ってほしかったけれど、そうもいかなかったであろうことは理解いたしますわ」

「申し訳ありません」

「お気になさらないで。彼が王になっていたら国がどうなっていたか。ある意味あなたはこの国を救ったのよ」

「ヴォレイル様……」

「わたくしのことはマリベーラとお呼びになって」

「マリベーラ様」

「ふふっ」


 満足そうに微笑むマリベーラ。学園では冷たい表情しか見たことがなかったから、少し新鮮。


「そうそう、わたくし決めましたの」

「何を、でございましょう」

「レイノルド様のもとに嫁ぐことになりましたわ」

「まあ!」


 第二王子じゃなくて辺境伯を選んだか。ま、これがシナリオ通りなのよね。

 マリベーラが婚約破棄を言い渡された時、「なら私のもとへ」てな感じにずずいっと割り込んでくるはずだったのだけど、私があんなことを言いだしたから出るに出られなくなったみたい。柱の影でソワソワしていたのが見えたわ。

 出番を奪って少し心配だったけど、ちゃんと正式に婚約の打診をしたみたいね。よかった!

 不幸のあとの溺愛ルート! むしろこちらが本編だったりする。よきかなよきかな。


「心よりお祝い申し上げます。あの方はきっとマリベーラ様を愛し、大切にしてくださいますわ」

「これもあなたの助言のおかげよ。あのままだったらきっと第二王子、いえ、新たな王太子と婚姻することになったでしょうから」

「マリベーラ様が国母になられればこの国にさらなる繁栄をもたらしたでしょう。国民としましては少し惜しい気もいたします」

「よして。王族とかかわるのはもうこりごりよ。お父様は残念がっていたけれど、わたくしの気持ちを尊重してくださったわ」


 幸せそうに笑う頬はバラ色だ。

 やっぱりマリベーラは美しい。眼福眼福。


「あなたのおかげでわたくしは幸せをつかむことができたわ。とても感謝しているの」

「そんな、もったいない」

「これからもお友達でいてくれる?」


 マリベーラの言葉に私は心の中でガッツポーズをきめる。


「はい! 喜んで!」




ーーーー◇ーーーー◇ーーーー


~終焉とはじまり~




 こうして、私の大ボラ劇は終わった。

 マリベーラが新王太子を選ばなかったので王太子の婚約者に私が打診されたがもちろんお断りした。


 私が王妃とか! 今から王妃教育とか! 無理だから!


 神妙な顔で「私は神に仕える身なので」とかなんとか言ってどうにか納得してもらえた。

 本来なら断れない立場だが、私が望まないことを無理にしようとすれば神の怒りを買うとでも思ったのだろう。

 ふっふっふ。神の威光バンザイ!


 マリベーラの物語はこれからだけど、幸せは約束されている。

 この物語での私の役割は終わった。

 この先何が待ち受けるのかわからないけれど、衣食住には不自由しなさそうだし、できることをすればいい。


 がんばれ私!

 がんばったね私!


 私のこの世界での人生の物語は始まったばかり。

 テキトーに、のんびり生きていきますか!




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