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11話 変換

「今から数千年以上前に繁栄していたと言われる古代文明は?」


 マグノリアがドラヴェルトに質問を投げかける。


「イシュヴァリオンです」

「現在はどうなりましたか?」

「滅亡しました。ですが各地に遺跡や遺物が残っており、一部のものは現代の生活においても欠かせない価値あるものが多数存在します」


 ドラヴェルトは淡々と質問に答えていく。


「滅亡した理由は?」

「ハッキリとした理由はわかっていません。ですが有力な説が二つあり、一つはエーテルの枯渇による文明の衰退です。もう一つは西の海の向こうに存在すると言われる大陸のモンスターによるものです」

「何故その説が有力なのですか?」


 問いかけにドラヴェルトは、顔の横を指でトントンと何度か叩いてから口を開く。


「過去にはもっとエーテルが溢れていた時代があったことが、遺跡から発掘された記録でわかっています。後者については、今も西海からこの大陸には存在しないモンスターがやってくる事実があるからです」

「いいでしょう。これで古代史の方は合格とします」

「ありがとうございます」


 ドラヴェルトは軽く息を吐き、頭を下げる。


「喜ぶのはまだ早いですよ。次は現代の国々についての質問です。この国を含めて公国はいくつありますか?」

「五つです」


 ドラヴェルトは念のために指で数えてから答える。


「正解です。それぞれの公国の国名は?」

「フォルノスパーダ、エルガノート、ガーラロンク、フィルムネント、リ、リ……リングモーズです」

「公国フォルノスパーダの現公王のお名前は?」

「ヴォルター・ブラン・フォルノスパーダです」


 ドラヴェルトは慎重に口を動かして答える。


「ヴェル様とのご関係は?」

「僕の父です」

「では最後の質問です。先ほど挙げた公国の当主に付けられた一番有名な異名を答えて下さい」

「剣帝に……魔皇、覇槍、聖主に……拳神?」


 答えてから伺うような目線でマグノリアの方を見る。


「全問正解です、よく頑張りましたね」

「ありがとうございます!」

「ドラヴェルト様が優秀なのは理解していたつもりでしたが、まさかたった一日で合格されるとは思いませんでした」

「ではさっそくエーテルからマナだけに変換する方法をお教え願えますか!」


 ドラヴェルトはマグノリアに詰め寄って手を握りしめながら、何度も頭を下げてお願いする。


「わ、わかりました。いいでしょう。だから手を離して少し離れて下さい」

「も、申し訳ありません」

「こほん……ではさっそく。まず先日と同じ瞑想のポーズを取ってもらえますか。ただしあぐら座りをした後に足の裏を合わせ、手は親指を折りたたみ扇状に広げ左右対称になるよう額に。小指だけは鼻に当てて下さい」

「わかりました!」


 ドラヴェルトは絨毯の上で言われた通りのポーズを取る。


「では私がサポートしますから、昨日と同じようにエーテルをマナに変換するように強く意識して下さい」

「はい!」


 マグノリアは長椅子から立ち上がって、ドラヴェルトの裏に回る。


 ドラヴェルトは背に当てられた手の感触を感じながら、ゆっくりと目を閉じて頭の中で念じる。


 念じると身体全体に広がっていたエーテルが胸に集中し、胸が熱く感じると同時にエーテルが新たな別のエネルギーに変化するのを感じた。


「順調ですよ。そのまま生まれたマナが腕を通って体内を循環していくイメージをして下さい」


 ドラヴェルトは無言で頷き、言われた通りのイメージを頭に浮かべる。


 すると胸の辺りで留まっていたエネルギーが穴に流れていく水のような動きで、腕から額にそして腕からまた胸に、そして合わせた足にと流れ体内を循環していく。


 その過程で灰色だったエネルギーが徐々に色を帯びてゆき、最終的には金色に染まった。


「素晴らしいです。では頭の中でマナの変換を止めるように念じながら、合わせていた足を離して、額に当てていた手をそのまま下に滑らせるように持って行ってください」

「はい」

「そして最後に胸の前で手のひらを合わせ、ゆっくりと息を吐いてから手を離しましょう」


 マグノリアが囁くような声で言う。


 ドラヴェルトは言われるままに身体を動かし、最後に息を吐きながら手を離す。


 循環していたエネルギーの流れが止まり、熱くなっていた身体の熱もスーッと引いていくのを感じた。


「さっきまで体内を流れるように循環していたエネルギーがマナですよ。どんな色をしていましたか?」

「金色です。琥珀のような深みのある金色でした」


 ドラヴェルトは頭の中で色を思い出し、答える。


「ヴェル様の瞳の色によく似ていますね。一般的にマナの色は瞳の色と同じであることが多いんですよ」

「では師匠のマナは濃い青色なのですか?」

「いえ……私のマナの色は金色ですね。稀に髪と同じ色になることもあるのです」


 マグノリアは硬い笑顔を見せながらそう言い、長椅子に座り直した。

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