第二章 小さな?大きなおとしもの
「みなさん、種は持ちましたか?」」
大きな豆を持ちながらそう説明する先生。
「さあ、それではいよいよ穴の中に植えていきます。黒い部分を下にして、土をやさしくかけて下さい。」
「つるつる滑るので気を付けてくださいね。」
先生の言葉とともに一斉に手で土をやさしくのせていくクラスメイト達。
まずは黒い部分を下にして。
重たい種を両手で抱えながら…土の上に…。
「って、うわっ。」
つるんと土の上に置こうとしたあたしの手をすり抜けていく種。
よく滑るとは言ってたけどさ。
こんなきれいに滑ることある?
さらに種はクラスメイト達の掘った穴でくるんと一回転。
「ちょ、アリア危ないじゃない。」
「ははっ、ゴメンて。」
そのあとジョウロをひっくり返し、天井にあたり跳ね返り、クラスメイトたちの頭上を通り過ぎて…。
「ん、今なんか通った?」
「あれ?俺のかつらは?」
「あれ?私のリボンは?」
そしてパリーンとガラスを割って、飛んでいき、雲の下へ。
追いつく暇もなく、唖然とするあたし。
「マジっ?」
いや、確かにツルんといったけども…。
つかむ暇もなく、その種はぽっと小さな雲のかけらを生み出し、消えていった。
あ…おわった。
さようなら私の種。
残念ながら、私の種は宙に届く前に地へと落ちていったよ。
猛スピードで。
「あーもう、アリアがさつなんだから。はいっこれ。イオ先生に予備の分もらってきたよ。」
マリアの手の中には真新しい、ジャイアントマメマメの種。
これがこの豆の本来のサイズっぽい。
「うん。ありがとー。今度は失敗しないよ。」
半泣き顔でひとまわり小さい種を受け取るあたし。
今度は落っこちないようにそーっと植えて、土をかける。
よしっ、今度は大丈夫そう。
「はーい、皆さん、できましたか?」
と先生の声。
クラスの大半はもう植え終わってたみたい。
まあ、それもそうだよね。
あたし、2回戦目だったから。
「それでは大きく育つように、最後に水やりをしましょう。」
いっせいに渡されたジョウロを持つみんな。
『大きくなりますように…☆』
「天まで届きますように…☆」
そう、願いを込めるのだった。
☆☆☆
ちなみにガラスの残骸は私たち二人と、イオ先生で片づけました…。
「とりあえずは、こんなものね。」
ガラスの割れた箇所は木の板をばってんの形にして修復。
まあ、そのままよりはいいよね?
「あとは魔法学の先生に頼みましょう。」
「賛成‼」
☆☆☆
「あのう、イオ先生?」
「なんでしょう?」
「魔法ってそういうの使うものじゃないのじゃが…。壁の修理は大工の仕事では?」
「モノとハサミは使いようです。」
「あのそれ、はじめから、役立つものに使う例えじゃなくない?」




