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異世界でマーモットの王となりました  作者: バッド
1章 俺たちマーモット

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6マモ 脱出!

 ━━神目線━━


 マーリンによる自分目線ではわからない光景。


「ピギーピギーピギー!」


 デビルバギーに対して懸命に鳴くマーモット。車を恐れて警戒しているのでしょうか。もふもふの小動物が二本足で立ちながら両手を振って、唸り声を上げる姿はとっても可愛らしいですね。大丈夫、それは化け物でないから、バギーはマーモットを食べませんよ。


「ピギー! ピギーピギー!」


 デビルアーミーにしがみつくマーモット。オヤツをお強請りしてるのでしょうか。デビルアーミーの脚にしがみついて、鳴いてます。あらあら、デビルアーミーはオヤツを持っていませんよ。


 そうして周囲百メートルの寝た子も起こす鳴き声に反応して、ゾンビたちは起き上がりマーモットへと集まってくるのでした。


 可愛らしいマーモットの大失敗。これは動画に載せるときっとバズると思います。私はしっかりと動画に撮りました。マーモットのマーリンのサイトを開いて、他のみんなに見せて回りましょう。きっと大人気コンテンツに成長すること間違いなし。手を叩いて喜んじゃいます。


 マーモットって、本当に可愛いですよね!


 ━━以上、神目線でした。


           ◇


「うぁぁぁ」


 苦しむような唸り声をあげて、周囲からゾンビたちがよろよろとよろめきながら歩いてくる。白目を剥いて、唇の欠けた口を開けてよだれを垂らしている。服は血だらけで、噛みちぎられたのか、肉は裂けて骨が見える。もはや生命は宿っていない化け物がそこにはいた。


 食欲だけが残っているのか、それとも生者への憎しみか。俺がピギーピギーと鳴いたから集まってきたとは信じたくない。あれだよね? 生命感知とかだよね? きっとそうに決まってる。

 

 とはいえ、おやつくらいの感覚で食べられそうなのは間違いない。


『アーミー。奴らを倒せ!』


「リョウカイ。シャサツシマス」


 片言の日本語ではあるが、デビルアーミーは慣れた様子で素早く地面に片膝をつけるとアサルトライフルを構えて引き金を引く。タタタと軽い銃声がして、近づくゾンビの頭が粉々に吹き飛ぶ。軍用ライフルの威力は人の頭など軽くバラバラにして、さらには貫通すると後続のゾンビも撃ち倒していく。


 無駄玉を出すことなく、一番近いゾンビを狙い撃っていく。映画とかゲームのゾンビものだと、なぜかマシンガンを撃っても怯むことなくゾンビは迫ってきて、人は食べられちゃうけど、現実にはそんなことはなく、ゾンビは次々と倒れていった。とはいえ、ゾンビは次から次に現れて、尽きることはない。


 弾丸が尽きないか不安になってデビルアーミーを見るけど、手の内からマガジンを生み出してリロードしていた。なるほど、デフォルトの攻撃が銃のデビルアーミーは無限弾なのか。


 それでも、飽和攻撃にはじきに耐えられなくなるだろう。なにせゾンビが押し合い圧し合いと段々と満員電車のラッシュのように増えてきている。


「にしても、この周辺が静かになったのは、全員ゾンビにやられたからか? 銃声を聞きつけてゾンビたちも集まってくるだろうし、早く逃げないと! 『バギー、後部扉をオープンっ!』」


 念話を送ると、バギーの後部扉がガチャリと上にオープンする。モワッと暖気が漏れ出てきて、エアコンがバッチリなことも教えてくれた。


 俺は車の縁にしがみつくと、コロンと車内に入る。早く逃げる用意をしないとな。外に出る前に、アイテムボックスを満タンにする勢いで、店の物はしまってきた。


 え~と、まずは布切れを敷いて、次に藁を敷き詰める。そして、寝心地を確かめるためにゴロン。ウムウム、なかなか良い寝心地……一眠りしようかな……。


 マーモットの本能に負けて眠っちゃいそうなマーリンだが━━。


「あ~、姿が見えないから心配で見にきたら、新しい巣を作ってるぅ。あったかーい!」


「あの巣は寒すぎだからな。マーリン、ここが新しい巣なのか?」


「隅っこ貰ったよ」


「この隅っこは私ですわ」


 車内にドスンと入ってきたのは仲間たちだった。エアコンの暖かさに顔を緩ませて、藁の上にコロンと寝そべると早くも寝始めちゃう。ルーとリリーは車内の角に寄りかかり、むふんと鼻を鳴らして幸せそうだ。


「みんな、勘が良いなぁ。俺が新しい巣を作ったって、よくわかったね?」


「寝ててもビュービュー風は冷たいし、よくない臭いもしたし、マーリンが良い巣を見つけたんじゃないかなって、皆で話したのぉ」


「ちゃっかりしてるなぁ。呼びに行く手間が省けて良いけどさ」


「なぁなぁ、外うるさくないか? 今日はなにかお祭りでもあるのか?」


「おやつくれるかもぉ」


 デビルアーミーの射撃音に顔を顰めるガブと食いしん坊なミカ。うん、今はお祭りでも、オヤツをくれる人もいないよ。さっさと脱出しないと━━。


 ガシャン


 なにかが飛んでくると、車両の屋根を潰して降り立つ。なにかと思えば、やけに手足の長いゾンビだった。覗かす舌も鞭のように長い。ゾンビの中でも、とりわけヤバそう。四つん這いになっており、こちらを憎々しげに睨んできた。なんかヤバそうなゾンビの予感。


『生き物を倒して進化したゾンビに見える。強靭な手足、強化されて獣のように走れるようになり、長い舌で拘束したり、突き刺してくる。舌ゾンビと名付けました!』


「そこまでそっくりなら、もうリッカ◯で良いよ! 人の形はしてるけど、能力はリ◯カーだよね!?」


 AIアシスタントのネーミングセンスの悪さにツッコミを入れつつも、冷や汗が流れる。◯ッカーはボスよりも強いと思うんだ!


 しかも、舌ゾンビもどんどん集まってきて、こちらの周囲に姿を見せてくる。このままでは包囲されるのは時間の問題だ。


「キシャー!」

  

 一匹の舌ゾンビが獲物と見たのだろう。走ってくる。まるで飛ぶようにステップをして、かなりその動きは速い。


 だが焦ることなくデビルアーミーはアサルトライフルの銃口を向けると舌ゾンビを狙い撃つ。軍用ライフルの弾丸だ。ゾンビと同じように一発当たれば、大穴が空いて倒せると思ったが、吹っ飛んだ舌ゾンビはすぐに起き上がると、威嚇するように吠えてきた。


 デビルアーミーは倒せなかったことに動揺を見せずに、さらに弾丸を叩きつける。時間にして数秒くらいだろうか。弾丸のシャワーの前には耐えきれなくなり、身体がボロボロとなり舌ゾンビは力なく倒れるのであった。


 げげ、倒せたけど、簡単には倒せないか! 早くも暗雲が漂ってきたぞ。銃無双とはいかない予感。


『アーミー、倒すのは諦めて近づく奴の足を止めろ! ライフル弾なら吹き飛ばすくらいはできるから舌ゾンビを近づかせないで! バギー、発進だ!』


 焦りながらも指示を出す。舌ゾンビを倒すことに集中することはない。逃げれば良いんだしね。


 デビルアーミーが車内に飛び込み、デビルバギーのタイヤがキュルキュルと猛回転すると、急加速して発進した。


「あ」


 急加速に耐えられず、コロリンとミカが落ちてしまう。


 なにが起こったのか理解できずに地面に座り込み呆然とするミカ。バギーは停止することなく走り、ミカの姿がどんどん遠ざかっていく。そしてミカの周りを包囲するゾンビたち。


「ミカ〜!」


 映画から悲劇的展開。哀れ残されたミカはゾンビたちに群がられて死ぬのであった。


 人間の場合だ。


「置いてかないで〜。待ってよ〜」


 テテテテテテテテテ


 ミカは猛然と走り出すと、バギーに追いついてくる。うん。ステータスが上がったミカは、その小さな身体に溢れるパワーを持っている。そのため時速60キロは軽く出せるのだ。


 ゾンビの間をチョロチョロと躱しながらミカは走る。舌ゾンビが長い舌で攻撃するが、元々50センチ程度の小さな体躯だ。しかも高速で走っているため、全ての攻撃は当たらず、ミカはバギーに近づいてくる。


「俺の手を掴め、ミカ」


「うん! しっかりと捕まえてね!」


 俺が両手を上げると、ミカがコクリと頷き、ジャンプする。迫るミカの両手を掴み、背筋を伸ばして、頭を持ち上げる。


「ギュイーン」


「ギュイーン」


 二人でギュイーンをすると、横倒しに車内に倒れ込むのであった。


「ナイスキャッチ、マー君」


「ナイスラン、ミカ」


 二人で顔を見つめ合い、ふふふと笑うのであった。


 人間なら感動的なシーンだけど、マーモットなのでお鼻をツンツンつつき合い、ピィと鳴いちゃうマーリンとミカエルである。とっても可愛らしいシーンとなりました。


「危なかったなミカ。ナイスだマーリン」


 隅っこは譲らないぞと死守するルーとリリーは別としてガブが安堵の表情を向けてくる。


「にしても、これから俺様たちはどうするんだ? 外に出てどこに行くんだよ?」


「あぁ、そうだね。もうお店には戻ることはないだろうし、これからは自分たちの力で生きていかないといけなくなる」


 遠ざかるマーモットカフェに寂しさを覚えて、鼻をひくひくと蠢かす。今まで俺たちを飼ってくれてありがとう。幸せだったよ。


 でも、これからは野生の世界に入らないといけない。その代わりに━━。


「俺たちは自由となっ━━」


 ドカン、ガラガラガッシャン


 決め台詞を決めようとしたら、ビルが崩壊し、巨大な体躯のゾンビが瓦礫を押し退けて出てきた。


「ぐぉぉぉぉ!」


 耳をつんざくような咆哮。その背丈は10メートルはある。肌は紫色でハルクのように身体は筋肉で覆われており、その手足は丸太のようだ。白目であるのは他のゾンビと同じで死者であるのがわかる。なぜか拘束を受けていたかのように身体に鎖が巻き付いている。


 ドスンドスンとアスファルト舗装を破壊しつつ、巨大なゾンビは走ってくる。巨体の一歩は人の数倍で、あっという間にこちらへと近づいてきた。


『悪意とマナが融合した強力なゾンビ。かのゾンビの周囲の死者はゾンビとして蘇る。デカゾンビと名付けました!』


 見たまんまの名付け。このAIアシスタントはポンコツな予感を感じつつ、迫るデカゾンビを見る。


 こんなのゲームで見たことあるぞ。デカゾンビに追いつかれないように逃げるミッションだ。


 危険はあるけど、必ずクリアしてやるぞ! マーモットの底力を見せてやるよ。

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― 新着の感想 ―
神目線… ステータスボードの設計者でしょうか しかし世紀末というか黙示録な世界観とマーモットのほのぼの展開がせめぎ合っていますね。 ほっこり動物路線な展開に行こうとすると、気色悪いクリーチャーが現れて…
まさに感動的なはずの救出場面でギュイーン。さすがマーモット。さすモー。語呂悪。
 マーモットたちは愛玩枠だからゾンビパニックものでポンコツなのは仕方ない、つーか謎の神さまもモフモフのそーゆー振る舞いで取れ高をゲットするつもりなので期待通りなんですよね(^皿^;)代わりに普通なら召…
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